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しおりを挟む声をした方に振り向くと、1人の女子(名前知らない)が遠慮がちな目で立っていた。
もしかしてずっと立ってた?気づかなかった!
さっきまで笑っていた琉弥は既にいつもの営業スマイルに戻ってしまっている。
お前身体の向き的にこの子のこと気づいてたんじゃ...?
「どうしたの、湯川さん?」
髪を後ろで結いた女子。この子湯川さんって言うんだ。
「もう知ってるかもしれないけど、2年って来月の体育祭で各クラス援団するじゃない?」
「うん。」
なんかそんなこと言ってたような...?
琉弥は知ってるっぽいな。
「今年って私たち受験期の前の最後の体育祭だし、絶対勝ちたいって話になってて。それで体育委員の私とダンス部の子で振り付け考えたから、全体練習までに覚えてきてほしいの。」
「なるほど...?」
でもなんでそんなことわざわざ直接伝えてくるんだ?普通にクラス連絡とかでいいのに。
困惑していると、湯川さんが思い切ったように俺たちの目を真剣に見つめ直した。
「2人が行事一切参加しない系っていうのはわかってるんだけど、このクラスってどうしても人数他のクラスより少ないから、その中で2人も欠けちゃうといろいろ見栄えが悪くてさ...今年だけでいいから参加してほしい。」
あー...
そういえば俺らってそうだった。反抗期になって以降、学校には通っていたもののあらゆる行事をブッチし、琉弥もそれに合わせる形で参加していなかった。最近はもう反抗っていうかなんとなく流れで参加してなかったけど。
俺たちのいる特進クラスは他のクラスと比べ人数が少ないから、他の行事でもいろいろ支障があったはずだ。
せっかくの青春なのに俺ほんっとバカだな...
「ほんとそうだよな。今まで迷惑かけまくちゃってごめん。援団ちゃんと参加するよ。」
「...光がやるなら俺も参加しないわけにはいかないね。」
琉弥もそう言うと、湯川さんはさっきまでの固い表情とは打って変わってほわぁっと明るい笑顔になった。
「ほんとっ?!よかった...!今まで二人ともほぼ行事参加していなかったけど、最近雰囲気変わったように見えたから。思い切って聞いてみてよかった!」
今まで、多分前の人生でもほとんど向けられたことのないキラキラした笑顔。
可愛いな、
...いやいや何笑顔向けられらだけでぼーっとしてんだ俺!!そもそも俺が微笑みかけられてるわけないだろ、
「わざわざ聞いてくれてありがとう。」
琉弥もにこっと笑う。
「うんうん!あ、それと、二人ともSNSとか全然やってないよね?」
「え?うん。」
「家の事情とかあるかもしれないけど、諸連絡とかほぼクラスチャットでやってるから入った方が便利だよー。ダンスは学校の共有ファイルにあるから大丈夫だけど、今後のためにも。」
あれ...?なんか、俺が自分の意思で入ってないみたいな言い方、、?
「琉弥は、入ってるの...?」
「ううん、面倒くさくて入ってない。」
おう、そっか、存在は知ってたのか。
「...あのぅ、俺、クラスチャットあるの知らなかった...。」
声を絞り出してそういうと、湯川さんはギョッと目を真ん丸にさせた後、ハッと口を押さえた。
「そ、そそそそっか!!!そういうことか!ごめん、ごめん!責めるような言い方しちゃった!えっと、じゃ、招待するから連絡先教えてもらえる...?!」
ポケットから素早く携帯を取り出して何やらぴこぴこ操作している。
俺も自分のを取り出してアプリを開いた。
「あ、うん!いや、なんかごめん。これ俺のやつ...ほんと、気にしないで。ありがとう。」
俺の画面を見せると湯川さんは何やら気まずそうな顔を見せたが、すぐ戻し、
俺にはまだ慣れない登録画面を巧みに操作して一瞬でともだち登録ができた。
「...よし、じゃあチャットに全部載ってるから、よろしくね!!」
彼女はそう言い残し、返事を待たずに去っていってしまった。
画面を見ると、ともだち数が10から11に変わっている。
あーーー
「やば、、なんか俺すごい恥ずかしい。いろいろと...」
「あはは、まぁ俺が言ってなかったのも悪かったよ。チャット、光が入るのなら俺も入ろうかな。」
「お前知ってたんなら入れば良かったのにーー!!」
そして俺にも教えてくれればよかったのに!
「いやぁ、別に入んなくても苦労しないし。今まで別に困んなかったでしょ?」
「そりゃ困んなかったけど...!」
クラス側は困ることだってあったはずだ。
「まぁまぁ。あ、ちょっと光の携帯貸して?」
「なんで?」
そう言いながら携帯を渡す。すると何やらぴこぴこ操作してすぐに返してきた。
「これでグループに入っても勝手に誰かからともだち追加されることはないから安心して。」
「ん?そういうのは琉弥が必要なやつじゃね?」
「俺はもうやってる。」
「おぉ、そっか。」
・・・俺に必要あったか?
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感想ありがとうございます!
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