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最近、琉弥は昼は主人公と食べている。

俺的には物語が俺無しで進行していて嬉しい。笑顔がちょっと胡散臭いのが怖いけどな。

でも気にしないことにした。きっと主人公の前ではちゃんと普通に笑ってるんだろう。作ってきた弁当を渡す時にだって普通に笑ってるし。

今日も、俺と琉弥と碓氷達6人は移動で1階の体育館に向かっている。

琉弥も碓氷と結構仲良くなっていて、いろんなことが怖いくらいに順調だ。

「そういえば神谷、最近好きなやつとはどうなんだ?」

小川が思い出したように、なんのためらいもなく琉弥に話しかけた。

本人の口からまだ聞いていないことだから、小川の言葉に少しぎょっとしてしまう。

「ん?好きなやつ?」

琉弥は何を言っているのか分からないというふうな顔で聞き返した。

「ほら、いつも一緒に昼飯食べてる、、香川が言ってた。神谷はそいつが好きだって。」

小川~~!!!!

「えっ光?! 何言ってんの?」

「言っちゃってごめん琉弥!!」

琉弥の怒りが大きくなる前に謝る。

まぁ普通そんなこと誰にも知られたくないもんな。

「そういうことじゃなくて....そんなふうに思われてたの?」

怒りと戸惑いが混じった目で琉弥は俺を見た。

「え、、、、?」

違うのか?

「.....酷いよ光、、、、」

え? ちょっと待って、琉弥毎日そいつと昼食べてたじゃん。2人きりで。っていうか物語上お互い好きになるはずなんだけど...!

訳が分からない。

「2人とも、?大丈夫?」

桐島が困惑しながら様子を伺ってきた。

でも今桐島のことは構っていられない。

「琉弥....」

名前を呼ぶと琉弥は前みたいな悲しい顔をして俺をちらっと見て、はぁっと息を吐いた。

「仲がいいからってすぐ好きだとか決めつけるのは良くないよ、光。」

さっきまでものすごく暗かった表情が、急に明るくなった。

「そ、そうだな。ごめん。」

仕方ないなぁ光は、と、琉弥は呆れた顔で笑う。周りのみんなはなんかほっとした表情になったが、俺にはその切り替えが少し怖かった。



「....ってことは神谷は別にその人を恋愛対象として見てないってことだね。」

さっきまで黙って見ていた片山が口を開く。

「そう、みたいだね。」

周りからすると俺はただの1人で勘違いしていた恥ずかしいやつだ。

ただ苦笑いすることしかできなかった。

ここは漫画の世界ではない、2次元のような《現実世界》だ。

だから俺が物語通りに動かなかったら《物語》は進展しないし、この世界は俺のの前世のような普通の世界になる。

その事に今やっと気づいた。






「実は俺さぁ、ずっと気になってたんだよ。」

碓氷がキラキラした目で俺たちを見た。

「な、何が?」

「神谷が昼一緒に食べてる女子!」

「女子?」

琉弥がちらっと俺を見て、納得したような顔になった。

何に納得したんだよ!?

「香川が可愛いって言うならきっと可愛いんだと思うんだよな。俺その女子見逃したのかもしれないし。」

何を根拠に?!

「神谷がその女子のこと好きなら、俺は関わらないようにしようと思ってたんだけど好きじゃないなら別に見に行ってもいいよな?」

「俺もちょっと見てみたいな。ってことで今日神谷達とお昼食べていい?」

「う、うん。別にいいよ。けど、思ってたのと違っても俺はなんも悪くないから。」

「ん? なんのことだ?」

「ははっ。」

大変なことになった。

みんなはきっと、そのが男だなんて夢にも思ってないんだろう。

っていうか主人公とあんま関わりたくないんだけどな
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