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初恋の味はチョコレート・ケーキ
〖中〗
しおりを挟む「ユリ、用意できたよ。俺、このケーキ大好き。どっちも。パウンドケーキ、洋酒が聴いていて美味しいよね」
「オミ、オミ!胸は?傷は?」
ごちそうのお礼にユリに花束を。そう言いやさしいピンクの良い匂いの百合を1つ差し出した。
オミは、笑う。
「映画でなかったっけ?恋をしている人に寄生する花みたいな奴」
そんな話をしてオミは私をベッドに寝かせ、私の額に触れるだけのキスをした。用意するはずだったメニューは既にオミが完全に作り終えた所だった。
私はボロボロ泣いた。
「縁起でもないことやめてよ!」
「覚悟を持って!ユリ!自分の誕生日にでも、クリスマスにも、どんな日でも、人間いつ死ぬかなんか、解らないんだ。交通事故に遭うかもしれない。隕石が落ちて地球が木っ端微塵になるかもしれない。未来なんて誰にも解らない」
でもね──そう言い、オミは続ける。
「そんな不確かな未来に、ユリは僕と歩く未来を描いてくれた。だからね、幸せなんだよ。僕は、幸せだよ。君を見つけて、君の家族公認で付き合えて。将来ユリと一緒に働いて、家族になって、全部幸せのレールは見えている。このポンコツの心臓に怯えてるのは嫌だ。でもね、ユリ聞いて。昨日聞いたんだ、お医者さんから。
『もう、大丈夫でしょう。でも無理はしないで』
って 。信頼してる長年罹ってるお医者さんにだよ?だから安心して。ね?」
オミは私の手を握り、笑う。
オミが笑っているのに、私は泣いた。
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