君の隣の席、いいかな?

カシューナッツ

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君の隣、いい?寂しいんだ《エピローグ》②

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「何なんだよ!馬鹿な真似するな!」

「僕は、この村では異常者なんだ。男の人が好きだなんて、変態なんだよ。村の間では。皆僕を見ると嫌な顔をした!でも………君は違ったね。キノコ採り楽しかった。幸せだった………ドクツルタケで死んでも良かったんだ。君は街に行く。僕は家で飼い殺しだ。長男だから。一人っ子だから。下手に金持ちだから!妊活まで、生まれる子供はシャーレで受精させた子供だよ!」



凛太郎は声を震わせて言った。
毒キノコ食べておいてまで幸せなんて、

凛太郎の周りには凛太郎がドクツルタケを食べても何にも思わない人だらけなのか?レールのうえを歩いていれば、凛太郎がどんなに傷ついても構わないのか?

この村がそうなのか?



気持ちが悪い。
なら異常者はお前らだろう。
凛太郎の生き死にがかかってるんだぞ!


「あと、図書室にはもう行かないから………。キノコの本、買ったんだ。君と繋ぐものがあるみたいで、大事に読んでる。学校で僕を見ても、話しかけないで。そろそろ内申書が物を言う季節になるよ。僕といると不利だ」

「いつか、いつか迎えに来るから。街なんか人が多すぎて、他人を気にする暇ないよ。皆それぞれを生きてる街に迎えに行くよ」

「いいなあ、街」

「凛太郎………一緒に行こう、街に、街に行こう。きっとうまく行く。俺と街に行こう」

「どうして君はそんなに僕に親切なの?好きだって言われて優越感に浸ってるの?」

「なんとなく、いや、正直、複雑だけど、素直に嬉しかったよ?勇気振り絞ったんだろうなって。中々言えないもんだな。上手い返しの言葉ってさ。とにかく、自分のこと好きって行ってくれる人がいるって幸せなことなんじゃねぇの?よっぽど相性悪い奴じゃない限り」

「僕と君は?」

「相性?いいと思うよ。あ、卒業式までに内緒で荷造りしとけよ?持っていきたいもの。嫌だったものや、嫌な思い出、嫌な人、皆捨てていこう?」

「うん………うん……」





その次の日、凛太郎は死んだと、担任が事務的に、中庭の草が枯れました。そんな簡単なことのように言った。
しかも、石鹸で手を洗った後みたいな顔をして。

黙祷もなかった。誰も悲しんでいない。

ここはおかしい。
皆おかしい!


凛太郎のお葬式はキリスト教のようなお葬式だった。映画のように花に囲まれて、手に「死の天使」を携えて。


死後硬直で手が開かないそうだ。






俺が殺した。

ゴミ箱じゃなくて、
ぐちゃぐちゃにして山に捨てれば
凛太郎は死なずにすんだ


街行くんじゃなかったのかよ。
俺はお前と行きたかったんだよ。







『希望を捨てるなよ』


去り際に言った言葉が、
あまりにも嘘臭くきこえたのかな。

俺は、卒業まで待っていてという意味だった。
希望を捨てなければ必ず夜が明ける。

凛太郎は、俺に捨てられた、そう思ったのかもしれない。こんな村だけど頑張れよ。探せばいいことを見つけられる。自分勝手な応援にきこえたのかな。

答えは解らない。凛太郎が天使の羽根を食べたから。




風が吹いた。
凛太郎な魂魄みたいなものを見た。見たかったから見えたのかもしれない。


泣きすぎてぐしゃぐしゃになった俺に凛太郎は聞いた。

『いる?』『いらない?』

そうやわらかな、いつもの口調の凛太郎の声が、悲しみが永遠に続く感じがして俺は、

『いらないっ!』

と言った。ふわりとまた、穏やかな凛太郎の声がした。


確かに聞いた

『さよなら。君のせいじゃない。でも、いつか迎えにきて欲しいな』
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