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〖第79話〗
しおりを挟むつい、買う予定のないものを買ってしまった。プリッツェルとか、デザートチーズとか。何故かベアグミとか。少し、指定された時間よりは遅くなってしまったけれど無事チキンは受け取れた。だいふくとおはぎに、チキンの骨は裂けて危ないから、昨日真波と一緒に食べ終わった骨を入れる専用袋を作っておいた。そしてあの子たちの大好きなチュルル。
最後に、チョコのアイスケーキ。寒い外、暖かい室内で食べる冷たいものは、すごく贅沢をしている気がする。傘のお礼を言い、返してケーキを受け取る。
「いっぱい買ったね。チキンいい匂い」
「おはぎとだいふくに触られないように、しなきゃ。チョコケーキも。猫にチョコは危ないって。あの子達、人の食べ物は食べないけど、心配で」
「気をつけなきゃ。盲点だった。今度詳しく教えて。取り敢えず、買い物の荷物は冷蔵庫にしまったし、お昼にしようか?」
そう言い、さくらご飯を作って食べた。お醤油とお酒で炊く。おこげがあると嬉しい。炊き上がりに鰹節と白胡麻を混ぜる。香ばしい風味が良い。
お茶碗を洗ってから、だいふくとおはぎと遊んだ。二匹は私のソファのクッションに陣取り、すやすや眠っている。大きくなったと、心の奥が温かくなる。寝姿が可愛い。神様が私に送ってくれたギフト………今、自然とそう思った。
神様は、いるかもしれないと思った。こんなに愛おしいと思えるものに出会えたこと。あの子達を見る目線で、世間の人は子供と言う存在をみているのだろう。私はこの子達で、充分だ。そして目の前の私を見ると微笑んでくれる男の人。
「真波、そろそろ準備、始めよっか」
──────────
テーブルに並べられたご馳走。 パスタはのびてしまうからラスト。コンソメとパスタの茹で汁をフライパンに入れて良く溶かしてから、茹であがったパスタをパスタ鍋からフライパンに入れて味と具を絡めて、盛りつけて。麺は真波のを多めに。ブロッコリーも少し真波の方を多くしてあげよう。そんなことを思いながら真波の皿にパスタを盛りつける。
「出来たよ、真波にはブロッコリー多め。ベーコンも多めだよ」
「わっ!俺、この美雨さんの作るパスタ大好き。これで全部そろったね。圧巻!俺、これ以上のご馳走みたことない。だってみんな好きなものだし」
「うん。ありがと。真波も手伝ってくれてありがとう。洗い物ばっかりごめんね。後でハンドクリーム塗ろう。手荒れが酷いから私、良く使ってるの」
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