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蒼の親友〖第3話〗──②
しおりを挟む「暁、その話を俺に信じろと言うのか?」
「……お前は疑り深いな。いつか絶対後悔するぞ。直せよな、そういうの。まぁ、昨日は悪かったよ。その後その子と遊んでたら遅くなって……その、ごめんな」
蒼はため息をついた。こいつは嘘はつかない。抜けているように見えるが、優しいだけ。馬鹿ではない。そして流石の獅子尾家の跡取りだけあって幻術にかかるほど力は弱くない。何処の子供だろう?
「ほらここ、俺の血だよ。臭いで解るだろ。痛かったんだ」
「ああ……本当だな」
かなり酷い血の跡。これを『あっという間に治す』のは相当な術師だ。普通の術師ならつきっきりでも相当な時間がかかるはずだ。真剣に考えを巡らす蒼の頭の上で、暁の気の抜けた声がする。
「背ちっちゃくてさぁ、アケビとか採るのを手伝ってやったんだよ。普段家から出るなって言われてるけど食べ物がなくて栗拾いに来たら石と土を投げられて蹴られたって。見たら傷だらけの泥だらけで、軽い傷を治す、獅子尾家の所有の神泉が湧いてるとこで身体を洗ってきれいにしてやったんだ。酷い傷は手当てしてやってさ。長い髪も洗ってやったら『暁にいちゃん、友達になってくれる?』って。『友達いないのか?』って聞いたら『大切なひとが一人だけいたけど、もう忘れられちゃったみたい』って声も出さずに泣き出してな。肩震わせて……可哀想でな……。お前も今から行くか?今日は張った結界で、外からの客は来ないだろ。明日、仕事が終わったら林檎と青い蜜柑持って行くからって言ったんだ。青い蜜柑、好きだって言ってたから。早いけど行こうと思って」
可愛い子だったな。髪なんて腰よりずっと長くて腕も華奢で……。そうぼんやり呟く暁は、まるで恋にでも落ちたように見えた。
「何歳くらいの子なんだ?」
「十四、五くらいかなぁ。子供だけど綺麗な子だったぞ」
「お、お前、十五歳は子供じゃない。立派な女子だ!しかも今、ごく僅かしか居ない癒しの術師だ。巫女候補になるかもしれない。暁、お前まさか、手なんかだしてないよな?」
蒼は、詰め寄るように暁に問いかけた。
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