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いつもの君に恋してる《白亜編》
真一の本当の気持ち《32》
しおりを挟む『白亜、ごめんな。唯彦と契約してる。唯彦と付き合ってるのはあくまでも契約なんだ。唯彦が白亜の足引っ張ったりしそうで………』
渡された録音機の独特の音。
『音、止めて!聴きたくない!人のせいにする真ちゃんなんて、真ちゃんじゃない!』
僕は再生ボタンを一時停止にする。
近くのソファに腰かけた秀英が言う。
『らしく、無いわけ訊きたいか?』
真剣な、でも、やはり物腰は柔らかに秀英は訊いた。
『う、うん………』
『唯彦からお前を守るため。唯彦は今、真一狙いだ。たまたま………キスを真一が唯彦に仕掛けるのみた。見つからないようにバックレたけど』
『真ちゃんが?』
『壁ドン、顎クイで。真一にアレやられたら落ちない奴はいないよ』
そして、秀英の録音機は真一の秘密を明かしていく。
ずっと幼い頃から白亜を想い続けていたこと
焦がれて、どうしようもないくらい。
自分はどうなってもいい。白亜が笑っていれば隣は誰でもいい。白亜が幸せなら。
もし、唯彦にほんの少しでも揺れたなら、それは白亜に、唯彦の印象がにているから。
『偽物を抱きしめて、悲しみを癒したんじゃないの?真一は白亜は琥太郎のものって言うのが強い。琥太郎がいれば、白亜は幸せになれるって思ってた。白亜が笑ってる、幸せになる、それが真一の思い方だよ』
順を追って、秀英は僕に真ちゃんの秘密を話した。
『自ら嫌われるの解ってて汚れ役をやった。唯彦に真一自身が密かに白亜への気持ちを隠してるって思われた方が怖いと思った。まあ、唯彦も馬鹿じゃないから解ってると思うけど。まあ、一連のことは白亜が好きだから唯彦が好きなふりをした。顔張れば、流石に唯彦は自分の味方だと思う。だよな、真一』
ドアの奥から声がした。
『白亜。傷つけてごめん。全部、傷つけた。本当に、ごめんな』
『真ちゃん。ごめん。こっちにきて』
真ちゃんの悲しい顔は見てきたけど、泣き顔は初めてだった。
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