いつか帰ってくるよと君は泣いた

カシューナッツ

文字の大きさ
上 下
30 / 37
いつもの君に恋してる《白亜編》

雨の中の白馬の王子さま《30》

しおりを挟む


頭に血が上った僕は、最後の仕上げとばかりに、唯彦に掴みかかった。

「お前だけは許せない。人の感情そんなに弄んで楽しいか。真ちゃんも、コイツとグルだよね。味方がいない唯彦が可哀相で庇ったのかって思ったけど、違うよね。真ちゃんは僕を殴った。言っていい?カウンター僕にくらわすくらいだもん、好きなんでしょ?仲良しのやさしい真ちゃんは死んだ!やさしい阿呆な琥太郎も死んだ!お前、良かったな。親身になってくれるクソ野郎が、二人もできて。真ちゃんも、琥太郎も、勿論お前も、許さないから。ずっと許さないから!お前らなんか死ねばいい!」




帰ろう。疲れた。

「え~僕のこと殴らないんですか~?手が汚れるとかいうつもりですか~?」






やめとけ!そう足早に荷物をまとめ。昇降口へ向かう白亜に、タチの悪い言葉をかけ続ける唯彦に、真一は言った。

「白亜は柔道段持ちクラス。下手にやったら歯なんて見えるとこ全部折られて、肋骨も折られるぞ!」






僕はボロボロに泣きながら、靴を履く。雨がやまない。

「乗りなよ。あと、ハンカチ。泣いていいよ。泣くのは悪いことじゃないから」

秀英だった。



泣きながら全部僕は秀英に話した。車の音が、振動が暖かい。





秀英は、ちょっと待ってて、と言い誰かに電話をしスマホで喧嘩みたいに怒鳴ったり、水のように静かに問い詰めたりした。

「大丈夫。俺だけは何が起こっても、白亜の味方だからさ」



笑う秀英は、街灯の光を浴びて綺麗だ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...