いつか帰ってくるよと君は泣いた

カシューナッツ

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いつもの君に恋してる《白亜編》

さよなら、琥太郎《26》

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震える声を、潤む声を僕は隠して言う。


『僕じゃなくても、いいんだよね。軽口たたいて、たまにえっちして、中性的な容姿ならそれでもいいんでしょ?良かったじゃないか。唯彦くん、丁度だよ。お似合いじゃない?お弁当も美味しかったことだし。めでたし、でしょ?』

そう僕は泣き笑いしながら言った。

「服、着ようか。春がくるね。3月だもんね。3月は別れの季節っていうね」




琥太郎、何で震えているの? 

「………嫌だ!別れるなんて、嫌だ!」

琥太郎は、涙声で、鼻を啜りながら言った。

「白亜がいい。一緒に思い出を作るのも、綺麗なものを見るのも、同じ時間を刻むのも、白亜がいい! 」




「なんで僕が別れようと言ったか解る?琥太郎」


琥太郎は、俯いた。

「君が当たり前のことに感謝を忘れたからだよ!感謝!思いやり!気遣い!してる?ないよね?昔の琥太郎にはあったよ。今の君は傲慢だ!」


「何だよ、それ!訳わっかんねぇ!帰る!」

「さよなら、じゃあね────すきだったよ」



別れるときは、僕の言葉がなければ幕は降りない。

でも、幕は降りた。




視界が滲んでろくに見えない琥太郎を、二階の窓から見送った。

僕は3日熱を出して特別授業を休んだ。飲まず食わず、ほぼ絶食で、学校へ行く日には2キロ落ちていた。





「白亜、大丈夫だったのか?スマホもLINEも無視だし。これ、日誌。ノート見るか?」

心配そうに、僕を見る君は、僕を捨てた。唯彦の手をとった。キスした。僕しか入れないテリトリーに、唯彦をいれた。




僕をいらない、僕を忘れた、そう思えた瞬間があった人。僕は信じてた。

「いらない。折角だけど遠慮するよ『近衛くん』」

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