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いつもの君に恋してる《白亜編》
真ちゃん………ありがとう《20》
しおりを挟む屋上に行くと、でっかい図体した真ちゃんが、針ネズミのブランケットにくるまって昼寝をしていて、笑ってしまった。泣けてきて仕方なくて、声を殺して泣いた。
「真ちゃん………」
「………ん、白亜。どうかしたか?な、何で泣いてるんだ?」
「ううん。何でもないよ」
「人間、何かなければ泣かないよ。良ければ一緒に食べないか?お弁当だろ、今日。その見た目からするとでっかい弁当だな。白亜は食いしん坊さんか?まだ食べてないな?」
真ちゃんは、優しい。笑わせよう、笑顔にさせようというのが解る。
「父さんと僕の、母さん間違ったみたい。やっぱり父さんのは大きいや」
まあ食べよう。と真ちゃんは言う。いただきますのあいさつをする。大盛りのり弁(下段)を手伝ってもらう。父さんはこれ毎日食べてるとは、凄い!
「白亜、俺のだし巻きと春亜おばさんのトマトソースのおっきなハンバーグ、交換しない?だし巻き2個で。白亜、少ないか?」
段々お腹が一杯になってきてハンバーグは大きかったので真ちゃんのだし巻きと交換は正直嬉しく快く受けとる。出汁感があって、凄く美味しい。
「だし巻き本当に美味しかったよ。コロッケ1個と唐揚げも交換してもらっちゃってごめんね。唐揚げ鳥胸肉で生姜なんだね。さっぱりして食べやすかった」
「今日のお弁当は、全部俺が作ったんだ。美味しいって言ってもらって、嬉しかったな。ところで、どうした?泣いてたけど」
「僕たち、僕と、琥太郎。終わりだ」
「何で? 」
「パーフェクト・クラッシャーに目をつけられた」
「マジか………泣くな白亜。可哀相に。この際泣くだけ泣け。俺がいるよ。守るから」
丸まる僕の背中を撫でたのは大きな手。
静かに、呼吸が治まるのを、真ちゃんは、ずっと切ない顔をして、待っていてくれた。
「真ちゃん、僕たち終わっちゃうのかな?もうダメなのかな?」
弱気になるなと頭を撫でていた手は頬を滑り『のびるのびる』と、僕の頬を引っ張るものだから嫌でも笑いが込み上げる。
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