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いつもの君に恋してる《白亜編》
ごめんね、琥太郎……《14》
しおりを挟む琥太郎、怒ってる。秀英と内緒でデ………言い訳はできない。これはデートだ。
彼氏に内緒でデートがばれた、それが今の状況。
「秀英、お前白亜に何した?白亜も!何で泣いてるんだ?」
「魔法使いはお姫様を誘ってクラシックコンサート。飯食って、最高の気分の時に………お姫様は俺とお前の名前を間違えた。罪悪感で、つらくて泣いてる。お前を裏切ったからだと思ってもいる。板挟みだ。慰めてやれ」
ポンっと秀英に背中を押され、
「じゃあな。白亜。月曜は休みだぞ。火曜日に。それとな琥太郎。お前は白亜の好きな音楽なんてろくに知らないだろ。白亜が好きだっていう音楽は全部お前が好きな音楽だからだよ。じゃあな。白亜楽しかったよ。おやすみ。もう泣くな。俺は大丈夫だから」
タクシーが遠ざかっていく。田んぼにポツンと屋敷杜と農機具の小屋。氏神さまの社。
魔法が解けて綺麗なドレスは場違いなフォーマルに。ジーンズにスニーカーのいつもの出立ちの琥太郎を見つめる。
「ごめんな、白亜。俺、俺のこと押しつけるばっかりで、白亜のこと考えてなかった」
でも、でも、と歯切れ悪く琥太郎は言い、『おばさんさっきの袋いいですか?』そう、母さんに頭を下げ、僕に差し出した。
「で、でも………これだろ?お前の欲しかった奴。店で、これ手に取って、欲しそうにしてたから………ホワイトデーのプレゼント。安くてごめん。あと、猫のだいふくの可愛い首輪。ちょっと古くなってきたって前に言ってたろ。それと白亜に目立たない金鎖の細いブレスレット。こっちは家で、一人の時開けて」
袋から出てきたのは、僕が以前からほしいと言っていたショパンのノクターンの二枚組のCDだった。
「琥太郎!」
僕は琥太郎にしがみついてまた、ピーピー泣いた。
母さんは
「我が息子ながら絵になるわね~琥太郎ちゃんもいい男だし」
と思っていたらしい。母さんは洋画好きだ。『君の名前で僕を呼んで』みたいねぇ。白亜、外国のアンティーク・ドールみたいだし。
「ここじゃ寒いから、白亜の部屋で話すといいわ」
「家に来て、琥太郎。ちゃんと話したい」
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