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いつもの君に恋してる《白亜編》
王子様は琥太郎!《8》
しおりを挟む琥太郎とは小学3年からのつきあいだ。
体格が小さい僕は、わざとぶつかられたりしていた。
蹴られたり、囃し立てる周りの奴ら。
頭の悪い奴のやることはワンパターンだな。
『ハーフでちょっと勉強できるくらいでお高く止まりやがって』
ここで泣いていたら、敗けだ。今にも飛びかかろうとしている琥太郎に、
(琥太郎は三年の自己紹介の時に一目惚れしたと言っていた)
いつも僕がたしなめて、小さく
『仕方ないよ、ハーフなのも頭がいいのも、お高くとまってるのも事実なんだし』
と言って、たしなめ、切った口唇を乱暴に袖で拭ってた。ある日、夕陽の差す教室で、血の出る下唇に琥太郎はキスした。
『白亜は血の味も甘い』
………早熟なガキだった。
さて暴力はエスカレートする。普通、琥太郎が割って入り、王子様となり
『白亜をいじめるな!』
となるんだろう。しかしそうはならなかった。僕は、琥太郎に耳打ちした。
『降りかかる火の粉は、ていうだろ?』
淡々と僕は言った。
『暴行罪。二年以下の懲役若しくは三十万以下の罰金。又は拘留。または科料。実際僕を殴ったのは君と君。少年院かな?鑑別所かな?』
顔が真っ青になってく所謂いじめっ子。理由もなく身体中アザだらけにされた。
『僕はなにもしてないって言う、君と君と君。現場助勢罪って知ってる?刑法二百六条。法定刑は一年以下の懲役、十万円以下の罰金、科料』
僕がそう言うと、一人が、
『俺、大人じゃねぇし!少年院とか鑑別所まで行くほど悪いことじゃねぇじゃん。悪ふざけだって。お前も解ってんだろ、白亜』
僕は怒りで目の前が白くなった。 でも、これも予定どおり。
『罪悪感ないんだね』
『何が?』
『琥太郎!警察と各自親御さんに動画添付して送って!SNSにも拡散!』
『やめろよ、やめてくれ。白亜、謝るから母ちゃんにだけは言わないで』
『母ちゃんに怒られる~』と泣き出す馬鹿連中。
僕のアザだらけの身体は、
こいつらの母ちゃんの一喝に、僕のアザだらけの身体は負けるのか。
虚しいなあ。
『反省してる?』
『してるから母ちゃんには知らせないでぇ』
『機会は一度きり、いいね。琥太郎、行こう』
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