いつか帰ってくるよと君は泣いた

カシューナッツ

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いつもの君に恋してる《白亜編》

キスは恋人と《3》

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キッチンで振り向きざま深いキスをした。甘いな、溶けそうだといつも思う。そして、恋人同士なんだなと思ってしまう。

けれど『まあ、ご立派』とサツマイモみたいに反応までしたこいつは馬鹿なのかなとも思う。

でも『馬鹿だなあ』とほだされる僕も馬鹿だ。実際『ヤバい』とストッパーをかけた。キッチンじゃなかったら抱かれてる。

敢えて気づかないふりをして、

『ご飯食べよっか』

と言うと、予想通り

『白亜が食べたい………』

やっぱりな、と思ったので、琥太郎にはトイレを勧め、僕は軽めの昼食。『僕も、楽しみ!』という言い方は嫌だけど、やっぱり琥太郎としたかった。そんな時、一人トイレでスッキリした琥太郎が、リビングへ来た。

『白亜~ラーメン美味しそ~戴きます!』

『……琥太郎の馬鹿!』

え、え?とビックリして整った琥太郎の顔に《?》マークが浮かぶ。

『僕だって、したかったんだからっ!ひとりだけすっきりしちゃって。バーカバーカ』

バカはお前だよと、頭の中のもう一人の僕が言う。情けない。僕もバカだ。

『白亜、……《しよ?》』

『琥太郎?』

啄むような琥太郎のキス。

『数学のテスト勉強、終わったら、しよ。ちゃんとしないひと、白亜嫌いなんだろ?……自分だけ……スッキリしてごめん………でも、どうしようもなかったら言って?』

真剣な瞳で、琥太郎は白亜を見上げる。

『どうしようもないって?』

『五分で終わらせる。口で』

『バーカバーカ!』

口唇を塞がれる。

『好きだよ、白亜』

溶けるのは琥太郎との口づけだけじゃない。琥太郎は声だけで僕をダメにする。

そのあと、思いっきり『した』


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