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Bitter sweet love
君と一緒の晩ごはん〖第3話〗
しおりを挟む真剣な顔をした、心持ち涙ぐんだ瞳が悲しかった。やっぱり悠人は笑っている。いつものように。
昔と変わらずに。俺はそっと暗い夜道に手を絡めた。悠人は、睫毛を伏せて、静かに俺に言った。
「暖かいね。生きてるからだね」
と言った。睫毛に、雪が積もった。
「早く帰らないと悠人が凍るな」
「僕は、君の家までのこの道がずっと続いて欲しかったな」
なんてね!僕、お腹ペコペコだよ。軽く屈んで笑う様子は女子より女子だ。いつ見ても笑ってる。学校でも。家に遊びに行っても。
「悠人!」
「なに?」
また、笑う。どうして。
「もう、笑うな。せめて、俺の前だけでいい。泣いてもいい。怒ってもいい。ずっと笑う悠人を見るのはつらい」
笑顔の面が剥がれていく。
面がはらりと落ちて、割れて、現れたのは泣き顔だった。
『う、ううっ』と詰まるような声をあげて、悠人は蹲った。
「君だから言うよ。だから誰にも言わないで。僕はゲイなんだ。だからって病気を持ってたり、してないよ?でも、もしあの村でこの事がバレたりしたら変態扱い、異常扱いされる。そして、頭がおかしくて病気を持ってると決めつけられる。あそこはまだ、精神科を『脳病院』と呼ぶよ。あそこは時間が止まってる。僕はこの秘密を誰にも言わずにおこうと思った。けど、君の顔が浮かんだんだ。気持ち悪がられるだろうけど、きっと理解してもらえるって」
悠人は、俺の腕に縋るように掴まり、見上げる。綺麗な瞳、綺麗な睫毛。
「バレンタインデー、英明は僕にくれた。忘れちゃった?僕もあげた。嬉しかった。けど、小6を最後に君はもう『卒業』しなきゃ駄目だと言った。あれは幼い頃からの、君への憧憬──いや、恋だった」
告解のような告白を悠人は続ける。
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