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君ハ巳ノ運命のヒト~ウカノ編~《第2部・完》
ウカノとの結婚式〖完結〗
しおりを挟む「帰りたい。みんな探してる。でも、こんな小さな白へび、見つけてなんて、もらえない。ウカノ、ウカノ。君を待った。やっとの祝言。沢山の祝ってくれるひと」
良かった。多少思考が低下するけれど、父さんみたいな子供みたくはならないみたい。よかったぁ。
ちょっと待て、今なんて言った?
だめだ、僕も父さんの息子だ。
母さんは白へびになった父さんを猫ッかわいがりする。理由は、
「とびきり可愛いの」
だそう。
今ボクがいるの、ここは、多分術封じされた部屋。きっとみんな探してる。
ウカノ、ウカノ。泣いてないかな。
心配性なのに、気丈な振りをしてしまう優しい子だから
僕がいつも余計に心配をしてしまう。
「ウカノ、ウカノ。うわあああん。出して、出して、ここから出してよ。
おうちに帰して。ウカノは気丈に振る舞ってるけどそんなに強くはないんだよお」
帰して。
帰して。
帰して!
ウカノが泣いてるんだ!
あの子を独りにはしておけないんだ!
帰る
帰る
あのうちへ帰る!
ウカノの元へ帰る!!
僕は、帰らなきゃならないんだ!!
『パシンッ』
破裂するような音がした。
偶々、なのか、
置いてあった鏡に映った自分に驚いた。
若くなった父さんじゃないか!
酔っ払った母さんなら間違うぞ!
というくらいのレベル。
「おめでとう。最終試練合格よ。コウ。
私も、なのよ。精神的な極限に近くならないと、覚醒はしないって。式に出るのに、人も神さまに近くなきゃいけないらしくて」
知らない、とてつもない美人がしなりと笑う。
「あの、どなたですか?」
「ママよ~コウちゃん。昔のミズチに似てる。やっぱり血なのね」
「もしかして、全部仕組まれてたの?」
コウは力が抜けて畳にへたりこんだ。
「ウカノさんは知らなかったみたい。ミズチは知ってた。オレの天女とかぬかしやがって。ウカノちゃんずっと泣いてた。『私が致らないから、コウさん、出てっちゃった……。式をあげたくなくなっちゃったんだ』って。私がいなきゃ式がダメになる!その思いで、コウを探していた私も、天女の試練の関門を突破したの。あなたが出来る、こ、行為で、まあ簡単に言えばミズチが私を天女にしたみたい。要は神様との式は、自分の身体のできうる限りの、一番神様に近い状態で式はあげるみたい。思ったより神聖なものだったみたい。
私は身体に龍の種を撒かれ、龍の子を生んだ母であり、巫女であり、龍の精を身体に宿した天女。でも、天女になったなんて自覚ないし。と言ったところにミズチよ。パパよ。因幡家の皆さんには夜なのに総出で迷惑とドッキリに付き合ってもらったの」
「コウさま。こちらこそ。あのときは沢山の仲間が助かりました。ですが美雨さま一つ忘れていらっしゃいますわ。あなたは龍神の唯一無二の伴侶でいらっしゃる。ミズチ様が愛するのは美雨さまだけでございます」
不意に現れた、色が透けるほど白い、可愛らしい、笑い声がコロコロとなんだか美味しそうな………。
「……コウちゃん?ウカノちゃん泣かせたくなかったらちゃんとしなさい!女の人を食べ物みたいな………襲う気満々な顔して!はしたない!ありがとうございました。コウちゃん空飛んでくよ」
身体がふわふわ浮く。母さんがとても威厳があって綺麗に見えた。僕は母さんに手をぎゅっと掴まれた。母さんは
「幸せに、なるんだよ」と笑った。
…………………………………………………………
「時間はギリオッケ。コウちゃん着替えるわよ!」
家政婦長の根古さん。
古株で情報通、
長く家に飼われていた猫又だ。
アイロンありがとう母さん。
タキシード。
ウカノは小さく
『こんなに心配したのに、何もないんですか!』
と言った。ウカノに見惚れてしまった僕は、照れ臭くなって、
『君があんまりにも綺麗だから』
『!』
祝詞もろくに聞かないで、
御神酒だけ味見して。
神事のあとは、無礼講。
美味しいお酒。
美味しい料理。
祝ってくれるみんなのおかげ。
コウ・ウカノ HAPPY WEDDING!!
「おれも、うえでぃんぐやりたいよぉ、みぅ~」
「可愛いミズチ。家長なんだから皆さんの前では白へびさんにはならないで。私だけの前にして」
───────────〖完結……?〗
おすましミズチ
おすまし美雨
おすましコウ
おすましウカノちゃん
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