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君ハ巳ノ運命のヒト~ウカノ編~《第2部・完》

ウカノとデート⑧─②

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「コウ、何でもいいから結界を張って!そして金の雨降らせて!おばちゃんから出てくる黒い気を浄化して!お願い!」

父さんから教わったのは金の雨、自分の力を分ける術。それしかない。でも結界には思い当たる節があった。

「う、うん。解らないけどやってみる!」

おばさんが口から泥みたいな気を吐く。雷神さまの結界を思い出した。他の人には雷が煙幕になって見えない。

金色の雨で黒い気を浄化していく。




「お姉ちゃん、ごめん。みんなごめん。でもね、私あなたを許せない。あなた達は負の感情しか私に教えなかった。そして、小さい私を騙して天から地上に落とした。右も左も解らない私に親切にしてくれたのはあの人たち。コウやみんなに危害をくわえるものは、私は許せない。それにコロッケ屋さんのおばさんを巻き込んで!自分勝手に、関わりの無い人に取り憑いて、寿命を縮めるような真似をして。冥界に行って根性叩き直してもらいなよ!どうして解らないのよ。優れた力を持っているから術を使えるから偉いんじゃない、どれだけ真摯に困っているヒトたちと向き合えるかよ。その資質を持つ者を神って呼ぶんじゃないの?」


凛々しいウカノとアイコンタクトする。俺はちょっと歳上のウカノに見つめられながらも、

力が取られてない、蠱惑術にかかってないことを喜んだ。これがウカノの姿。『真の巳』

「コウ、足元絡まれてる!踏んで!七匹全員殺して!冥界に落として!」

そう言いながらもウカノは必死な顔をしていた。泣きそうに大きな瞳に涙を貯めて。

僕は七匹の小さな黒いヘビを掬い取り、言った。



「天帝の裁きを受けて。その前に………ウカノや僕たち鬼多見に謝って欲しい。彼女は今まで背負う必要がないものまで背負うことになってしまった」 

小さな黒いヘビは白さを取り戻しながらふわりふわりと浮かんで消えていった。




心の声が聞こえる。
『ウカノごめんなさい。ウカノの術の資質が羨ましかったの』
『きれいで、いつみても完璧なウカノが妬ましくて』

話はずっと、ウカノへの妬み嫉み。でも、今の話は違う。最後に、

『ウカノはそうするために努力してたんだね──私なにもしてないのに恨んで僻んで。ごめんなさい。金の輪は特別な印。あなたを守る、選ばれた巳しか持てない印』




皆が天へと消えた後、ウカノは言った。

『お姉ちゃん、お兄ちゃん、ウカノはやっぱり何処かで皆のことが好きだったよ』
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