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〖最終話〗
しおりを挟む正一も静かに涙を流して、俺を見つめ、微笑んだ。俺は席を立ち、正一を後ろからぎゅっと抱きしめ、言った。
「俺、正一と一緒にいるだけで幸せだよ。まだ、終わりにしたくないよ。正一、約束してくれたよ?ずっと一緒にいてくれるって。離さないって。永遠を、俺と生きてくれるって。『終わり』が今、ここにあっても、俺はこのままがいい。正一さえいればいいんだ。だから泣かないで。自分を責めないでいいよ。俺は今、幸せだから、それでいいんだ。ごめんね。さっきは、びっくりしたんだ。ねえ、正一、笑って?俺、正一の笑った顔が好きだよ。それと、正一の匂いも。知ってる?正一は太陽の匂いがするんだよ。ずっと変わらないよ。……ずっと、ずっと、あいしてるよ」
正一が振り返り、涙の痕を頬に残して笑う。切なそうに、いつものように眉を下げて。正一は俺の両頬を両手でくるみ、そっと口づけた。
────────────────
『幸せに、永遠はあるのかな、雪』
お伽噺、だね。と言葉を続け正一は言う。涙を流し、笑いながら。
遥か昔、いつかのこと。
『あるよ。だ、だから、みんな、ゆ、夢を見るん、だよ?永遠の、夢物語を見る、んだよ』
──────────────
長い月日を旅して、満ち足りた日々を送っていても、幸せは少しだけ怖い。
人を愛することに、似ている。
だから俺は毎日願わずにはいられない。永遠の、お伽噺を。永遠に続く、物語を。
─────────────
『俺、正一、好き。大好きだよ。ずっと、好きだよ。ずっとずっと、あい、してる。あい、してる。ねえ、正一……ずっと、こうして、一緒に、いられたら、良いのに。この時間が、続けば、いいのに。し、正一…俺、のこと、好き?あい、してる?』
──────────FIN
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