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〖第2話〗
しおりを挟む「母さん、掟、掟って言うけど、『掟』って何なの?誰が決めたの?破るとどうなるの?」
「掟は仙狐だけじゃない。どんな生き物でもある。仙狐の守らなければならない掟は『殺さず』よ。掟を犯した罪には罰をうけ、贖わなければならない。母さんは掟を破ったものを見たことがないから、罰が何かは解らないわ」
「ふうん………母さん、寒いよ。おなか空いたよ」
「あの杉に力を分けてもらえるか頼んでみるわね」
母さんは杉と話をして力を分けてもらっている。指先が金色に光って神々しい。近くの白樺と松が、ひそひそ話をしている。
「華乃様はいつ見てもお美しいなあ。それに、おやさしい。『分けてもらえるか』など、頼まれて断るものなどおらんよ」
「雪様も華乃様に似てきたな。美童とはまさにあのことよ。きっとお美しい若衆になられる。二人とも神々の酒宴にいつ呼ばれてもよさそうだのう」
神様は、お酒を飲むのか。どんな姿をしているんだろう。綺麗な姿なのかな、怖いのかな………。
「雪」
「わぁっ!あ、母さん」
「どうしたの?ほら、雪、手を出して」
ありがとう 母さん。母さんの力を分けてもらう。母さんの指先が蒼白く光る。母さんの力は甘くて美味しい。
────────────
俺と母さんは、普段は人里離れた神社や、森の稲荷の社でひっそりと暮らしている。物は食べない。食べられるけれど、生きていく力にはならない。
生きている物の生きる『力』を分けてもらう。それが俺たち仙狐の食事だ。母さんに厳しく言われたのは
『絶対に相手が力を失うまで──死ぬまで──力を取ってはいけない』
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