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〖第7話〗
しおりを挟むそして大きな転換期を迎えた。
事の発端は北半球の冬、人々の免疫力が原因不明に落ちたことからだった。私は、遺伝子操作を重ねた食物が原因だと私は考える。皆もうっすら気づいていたと思う。
口に入るものすべて、自らを生かして殺すものだと。進み過ぎた科学は我々に牙を向いた。自然への冒涜。そんなことは解っていた。でも、食物を作らないと、飢えて死ぬ。そして食物やサプリメントを食べると免疫力が更に落ちて、弱いウイルスにでも死に至る。この連鎖のような症例が次々に出てきた。まるで遥か昔のスペイン風邪のように次々とウイルスは居住区を襲った。なす術もなかった。
もう、地球という船は役目を終えようとし、この船が、既に人類を見放したと何故気づかないのだろうと私は膨大な資料をみて思った。
そこで持ち上がった国連の秘密裏のプロジェクト。私を産み出すこと。極秘任務の総責任者は、国連の遺伝子研究所の所長──Drシグマ──私の生みの親であり、唯一私が愛したひとだった。
『数々の奇跡を起こそう。どんな病も治してみせると約束する。しかし創り手の私の理想はある。ただ病を治すだけではない。IQも、容姿も、運動能力も至高のものとしたい。この子は人類を、未来を救う。救世主になる。子宮など必要ない。形ばかりの両親などいらない。細胞の培養器がある。完全に人間の手を離れた科学の結晶。優れた細胞があればいい。もう国連も声高に倫理などといっている場合ではないだろう』
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