生命の破片〖改稿・完結〗

カシューナッツ

文字の大きさ
上 下
7 / 14

〖第7話〗

しおりを挟む

 そして大きな転換期を迎えた。

 事の発端は北半球の冬、人々の免疫力が原因不明に落ちたことからだった。私は、遺伝子操作を重ねた食物が原因だと私は考える。皆もうっすら気づいていたと思う。  

 口に入るものすべて、自らを生かして殺すものだと。進み過ぎた科学は我々に牙を向いた。自然への冒涜。そんなことは解っていた。でも、食物を作らないと、飢えて死ぬ。そして食物やサプリメントを食べると免疫力が更に落ちて、弱いウイルスにでも死に至る。この連鎖のような症例が次々に出てきた。まるで遥か昔のスペイン風邪のように次々とウイルスは居住区を襲った。なす術もなかった。

 もう、地球という船は役目を終えようとし、この船が、既に人類を見放したと何故気づかないのだろうと私は膨大な資料をみて思った。

 そこで持ち上がった国連の秘密裏のプロジェクト。私を産み出すこと。極秘任務の総責任者は、国連の遺伝子研究所の所長──Drシグマ──私の生みの親であり、唯一私が愛したひとだった。


『数々の奇跡を起こそう。どんな病も治してみせると約束する。しかし創り手の私の理想はある。ただ病を治すだけではない。IQも、容姿も、運動能力も至高のものとしたい。この子は人類を、未来を救う。救世主になる。子宮など必要ない。形ばかりの両親などいらない。細胞の培養器がある。完全に人間の手を離れた科学の結晶。優れた細胞があればいい。もう国連も声高に倫理などといっている場合ではないだろう』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

宇宙人へのレポート

廣瀬純一
SF
宇宙人に体を入れ替えられた大学生の男女の話

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

骸を喰らいて花を咲かせん

藍染木蓮 一彦
SF
遺伝子操作された少年兵たちが、自由を手に入れるまでの物語───。 第三次世界大戦の真っ只中、噂がひとり歩きしていた。 鬼子を集めた、特攻暗殺部隊が存在し、陰で暗躍しているのだとか。 【主なキャラクター】 ◾︎シンエイ ◾︎サイカ ◾︎エイキ 【その他キャラクター】 ◾︎タモン ◾︎レイジ ◾︎サダ ◾︎リュウゴ ◾︎イサカ

ゲームにステータスが反映されるので、現実のダンジョンで必死にレベルアップして最強ゲーマーになります。―冒険者兼探索者で二つの世界を謳歌する―

椿紅颯
ファンタジー
あらすじ 旭加沢 暁はゲーマー兼探索者である。 暁は、待望の新作ゲームが発売されるのをずっと心待ちにしていた。 そしてその日がいよいよ訪れる。 わくわくドキドキでゲームを始めるも、悲しいことに現実世界で金欠だったことを思い出してしまう。 ゲーマーなら、お金なんて気にしないでゲームをしろよ、という葛藤を抱きつつもダンジョンで金策をすることに。 ちなみにダンジョンへ向かうのは初めてではなく、モンスターとの戦闘も慣れている。 しかも、アシスタントAIの力を借りることもでき、スムーズに狩りをすることが可能。 そんな日々を送っているのだから、学業は当然の如く怠っている。 テストの点数は赤点ギリギリ、授業中は授業に専念せずゲームのことばかり考え、友人を増やすこともない。 見事に学生の本分を忘れているわけだが、そんな暁にも話ができる人達はいる。 そして、暁を気に掛ける人物も。 一風変わった学園生活とゲーム世界、そしてダンジョンという舞台で様々な出来事を通して、今までなんとなく生きてきた暁の周りに変化が起きていく。 しかし、何でもかんでもゲーム至高、ゲーマー思考の暁は、何を考え、どう変わっていくのか――。

EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。 ※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス

橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった その人との出会いは歓迎すべきものではなかった これは悲しい『出会い』の物語 『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる 法術装甲隊ダグフェロン 第五部  遼州人の青年神前誠(しんぜんまこと)が司法局実働部隊機動部隊第一小隊に配属になってからほぼ半年の時が過ぎようとしていた。 訓練場での閉所室内戦闘訓練からの帰りの途中、誠は周りの見慣れない雪景色に目を奪われた。 そんな誠に小隊長のカウラ・ベルガー大尉は彼女がロールアウトした時も同じように雪が降っていたと語った。そして、その日が12月25日であることを告げた。そして彼女がロールアウトして今年で9年になる新しい人造人間であること誠は知った。 同行していた運用艦『ふさ』の艦長であるアメリア・クラウゼ中佐は、クリスマスと重なるこの機会に何かイベントをしようと第二小隊のもう一人の隊員西園寺かなめ大尉に語り掛けた。 こうしてアメリアの企画で誠の実家である『神前一刀流道場』でのカウラのクリスマス会が開催されることになった。 誠の家は母が道場主を務め、父である誠一は全寮制の私立高校の剣道教師としてほとんど家に帰らない家だった。 四人は休みを取り、誠の実家で待つ誠の母、神前薫(しんぜんかおる)のところを訪れた。 そこで待ち受けているのは上流貴族であるかなめのとんでもなく上品なプレゼントを買いに行く行事、誠の『許婚』を自称するかなめの妹で両刀遣いの変態マゾヒスト日野かえで少佐の訪問、アメリアの部下である運航部の面々による蟹パーティーなどの忙しい日々だった。 そんな中、誠はカウラへのプレゼントとしてイラストを描くことを思いつき、様々な妨害に会いながらもなんとか仕上げることが出来たのだが……。 SFお仕事ギャグロマン小説。

処理中です...