生命の破片〖改稿・完結〗

カシューナッツ

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〖第4話〗

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 けれど上位ヒエラルキーに住む人々──簡単に言えば文化人、富裕層、政財界の人々──生きることにコネクションを持っているひとたちが住む『コロニー』は太陽光を用い、食料も豊かに、頭脳も見映えもよい。類い稀な人類で満たされていた。当たり前だ。《コロニー》も、そこに住む《人々》も、各国が総力をあげて創った。

 AIが個人の遺伝子配列を調べ、その人物が最も優れた子供を残せるように見合いをすることが善しとされた。自由恋愛は、ただの遊びと位置づけられた。国連主導のもと先進国の上位ヒエラルキーが生きる投資のように資金を出した。優れた子供を残せるように、コンピューターのAI頼りのお見合いが行われた。次々に生まれる子供たち。再発展するのは、先進国の上位ヒエラルキーの選ばれた子供達を産む国。発展途上国や貧困層の下位ヒエラルキーは黙殺された。
 
 簡素な家賃補助のスラムのような古びた国営コロニーに住む者、国にみきりをつけ地下に生きる者、地上の過去の歴史建造物に住む者もいた。
 
 また、上位ヒエラルキーの使用人やメイド、清掃員などをして住み込みで上位ヒエラルキーのコロニーに生きる者もいた。Drシグマのルーツは此処からだったらしい。上位ヒエラルキーは、彼らを『寄生』と呼んだ。その鬱屈した屈辱を忘れず、上位ヒエラルキーと決して子供を残すことはない、ただの遊び相手として、上位ヒエラルキーと関係を持つ者もいた。
『お前らは『寄生』に遊ばれているんだよ』
 皆そう心の中では思っていたみたいだ。シグマは、思い出を鼻で笑っていた。

──────────
 
「いつか這い上がろうと私の先祖は思ったらしいね。私は上位ヒエラルキーにルーツを持つひと達には嫌われているよ。卑しい血だってね。まあ、私は『寄生』出身だからね」

 シグマが私を見て苦笑したことを思い出した。
   
 中間層は今も昔も変わらない。政府からの当たり障りない体で、操作された情報を信じ、コロニーのあまり環境の善くないところで妥協し、それなりを、それなりに楽しんでいるものが多かった。たぶん一番諦めが早かったのは、此処に住む、日常の有り難さを知っているこのひとたちだと思う。
    
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