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〖第3集〗
しおりを挟む范蠡は呉に戦いをしかけると言う越王句践を何度も諫めた。
『戦いをしかける者は不利だ』と。
しかし、越王句践は、先の戦いで勝利した記憶が根づき過信していた。またも呉の機先を制するつもりだった。
だが、先の戦の初戦の勝利は范蠡が考えた奇策からだった。
死罪になる者を決死隊として軍の先に進ませ一斉に自刎して果てさせ、敵兵の動揺に乗じ一気に攻めたてた。
だが何回も奇策は通じるものではなく、また、新興国の越が機先を制するのは難しい。それに、越に敗れた呉は越に報復するため軍備の強化に没頭していたと言う情報も、随分前から范蠡は掴んでいた。
そのことについて諫めても、結局『私はもう決めてしまったのだ』と言う句践を止められなかった。結果は、今の状況だ。惨憺たるものだ。
大夫種がいつの間にか隣に立っていた。取り囲む呉軍を、冷たい眼で見据え范蠡に、
『この大きな火消しをどう致しましょうか』
と言った。范蠡は、
『今、呉に総攻撃をかけられたら我等は窮地に陥ります。攻撃として出来ることは、まあ、我等の最後の五千の兵で、決死の反撃として逆落しをかけること位しか残されていません。そのことは彼等も解っているでしょう。徒らに兵を失うのは御免でしょうから、包囲するだけで手を出してこない。我等がどう動くかを、待っているのでしょうな。夫差の性格から言って兵糧攻めなども考えられますが』
『……講和に持ち込むことが一番でしょう。多分私が赴くことになるかと。媚び諂う愚かな臣を装い、頭を下げてきます。勿論駆け引きはしますが。その結果、越に少しでも良い条件を引き出せばいいのです。守りたいものを守ることが出来れば、他者からどう見られようとも私は一向にそれを恥とは思わないので』
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