上 下
1 / 22
狸と狐のピーチとオレンジのキャンディ

ファジーネーブル〖1〗改

しおりを挟む

『あのひと』との出会いはずっと前、視線を合わせたのは秋の放課後。裏山が大きくて安心する高校。

でも私は毎年、秋は気持ちが波立ってしまう。悪い意味ではなく高揚する。
簡単に言えば所謂『ワクワク』や『ドキドキ』だ。何故か。

私は狸。

簡単に言えば人間のふりをしている。悪く言えば、化けている。


 秋は実りの秋。正門玄関のきらきらした金色の銀杏の葉が綺麗だ。私は上を向いて、校門の前の大きな銀杏を見上げた。

 栗の実を中学の時、里山でよく拾ったっけ。そういえば去年、私が風邪で寝込んでいるとき、家の前に大きな栗が、花を添えて山みたいに置いてあった。
あの栗を置いていったのは、誰?

「金色のちひさきとりのかたちして銀杏散るなり夕陽の丘に。晶子は恋に生きたのよね……」
 
放課後、独り居残って落ち着いた雰囲気がする中庭の石の椅子に腰かけパラパラと本を読んでいた。

「た、た、立貫さん!一緒に帰ろ?これ、半分個、食べて。肉まん!坂の下の7で買ったんだ。す、好きな人と分けあって何か食べるって、いいよね」
 
好きという言葉が刺さる。そんな言葉が自分に向かって言われたことはなかった。木津根くんは誰にでも優しい。手を捕まれて否応なしに引っ張られるようにベンチに案内される。

綺麗なハンカチを座るところに広げてくれた。

私は受けたことのない扱いに、照れて俯いた。でも、雰囲気で解った。

この男子生徒、狐だ。狐が人に化けてる。同類だ。私が正体を見抜けないとでも思っているのか。

早く逃げよう。狐と関わって、つらい思いしかしたことがない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ガラスの世代

大西啓太
ライト文芸
日常生活の中で思うがままに書いた詩集。ギタリストがギターのリフやギターソロのフレーズやメロディを思いつくように。

見習いシスター、フランチェスカは今日も自らのために祈る

通りすがりの冒険者
ライト文芸
高校2年の安藤次郎は不良たちにからまれ、逃げ出した先の教会でフランチェスカに出会う。 スペインからやってきた美少女はなんと、あのフランシスコ・ザビエルを先祖に持つ見習いシスター!? ゲーマー&ロック好きのものぐさなフランチェスカが巻き起こす笑って泣けて、時にはラブコメあり、時には海外を舞台に大暴れ! 破天荒で型破りだけど人情味あふれる見習いシスターのドタバタコメディー!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

スマイリング・プリンス

上津英
ライト文芸
福岡県福岡市博多区。福岡空港近くの障害者支援施設で働く青年佐古川歩は、カレーとスマホゲー大好きのオタクだった。 ある夏、下半身不随の中途障害者の少年(鴻野尚也)に出会う。すっかり塞ぎ込んでいる尚也を笑顔にしたくて、歩は「スマイリング・プリンス」と作戦名を名付けて尚也に寄り添い始める。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

世界が二人になるまでは

むらさきふも
ライト文芸
小5と中2のピュアな恋 中学生の高橋唯都(たかはし いと)は、三歳年下の姫を溺愛している。姫も唯都のことが大好き。二人は相思相愛だ。 はじまりは、ある日の帰り道。同級生にいじめられている姫を、助けたことをきっかけに、二人の恋は紡がれてゆく……

処理中です...