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1章 王都要塞ルフォート・フォーマ
1)無事に転生したようです。が、神様あんまりです。
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水晶を抜けたら見渡す限りの青空!
わぁ、いいお天気! 嬉しい!
それが、安全な場所だったらね!
「お、お。」
おぉ、人って咄嗟に怖いと声も出ない。
でもしかし! ここは声を張り上げてみせる!
「落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
見渡す限り、どころか360度、澄み切った青空って、何のフラグですか?
人間、突然青空に放り投げられると、犬かきって本当にするんですね? びっくりです。
「あぁぁぁぁぁ! 地面! 下が地面だったら死ぬ! 死んじゃうぅぅぅっ!」
馬鹿馬鹿、神様の馬鹿!
天蓋ベッドとは言いませんが、硝子の棺やお花畑、小動物に見守られた湖のほとり等々、なんか異世界転生にふさわしい空間から『まぁ大変、目が覚めたら転生してました』とかじゃないんですかー?!
神様に恨み節を叫びながら、なんの装備も準備もなく
『レッツ! スカイダイビング!』
パラシュート? そんな装備はありません!
もう、初っ端からありえない。
じたばたじたばた、私こんなに動けたんだなぁと思うくらいに足掻く藻掻く。
時速何キロだかの風を手に受けると、女の子の秘密の膨らみの感触、なんて訳のわからないクソ知識なんか浮かばなくていいから、私の脳みそよ、そして神様から貰ったスキル・知識の泉よ! 無傷とまでは言わないまでも、地面と仲良くしても助かる方法プリーズ!
「知識の泉! 無事に落下する方法を検索!」
――検索します。
藁にもすがる気持ちで叫んでみたら、おぉ! 頭の中で誰かがしゃべった。
――転生者、落下で検索。 貴女がこれから落ちるのは王都要塞ルフォート・フォーマです。 この王都は転生者対策がしっかりしておりますので無傷での到着が保証されております。 ご安心ください。
……は!? ご安心くださいじゃないわ、なんじゃ転生者対策って。
突っ込みを入れつつも、無傷が保証されてるとわかればこの状況、楽しむしかないんじゃない?!
前世でもスカイダイビングなんかする機会もなかったし、なにこれ、楽しくない?
……(思考中)……
嘘です! 嘘です神様! そういえば私、絶叫系大嫌いでした…
「うわぁぁぁぁん! 神様の馬鹿ぁっ! 人生イージーモード! 優しくしてって言ったじゃんっ!」
どんどん落ちていく、鳥も、魚も、雲も抜けて、どんどん抜けていく。
……魚?
今、おおぞらに魚がいなかった?
いや、そんなことどうでもいい! 下に何がでかい緑色か見えてきました!
うわぁぁぁん! たーすーけーてー!
「神様の馬鹿! ここで死んだら本気で恨みますー!」
『空からの落下物確認。』
足掻いて足掻いて足掻きまくっていたら、何やら大きな声が聞こえた!
『空中防衛騎士団第二部隊が確認、大泣きしながら落下している人間の雌、幼体のようです。』
『了解、ちょうど空中にいる小隊の一人を向かわせます!』
なになに? 私の事? 何か来るの?
大きな声に騒ぎながらも冷静に考えて突っ込んでしまうもう一人の自分にそうじゃない! と思っていたら、上から声を掛けられた。
「対象発見! お嬢ちゃん、ちょっとキツイかもしれないけどあと少しの辛抱だ、頑張んな!」
「ふへぇ?!」
私の事だったー!
なんて考えた直後、ぐんっ! と、それはそれは大きな衝撃……そうだな、ジェットコースターで一番高いところから一気に落ちるときみたいな、前に進んでいるのに後ろに思いきりひっぱられるというちょっとわからない状況で。
舌噛むかと思ったわ!
ぴちぴちの若い肉体だったからよかったものの、元の体ならむち打ちじゃすまないし!
転生早々の雑な扱いに涙出そうになる。
「よし、捕獲成功。 間違いなく空来種のようだ」
『落下人の捕獲確認。 空来種なので、そのまま王城へ連れて行くように』
「了解!」
自分の耳の横で、3人分の声が会話している。
さっきまで急降下していた空は今はぴったり止まっていて、何なら私の目の前に空の青で染めたような両手いっぱいの大きさの金魚がふわふわ泳いで……? 飛んで? いる。
「……もう、落ちて、ない? 目の前に魚が空飛んでる」
「おう、それは空金魚だからな、焼いて食うとうまいぞ。 それから捕まえてやったからもう落っこちてねぇよ、安心しな。 お嬢ちゃん」
そういえば、私は今、なにかに腹ばいに洗濯物のように伸びきって乗っかっている気がする。
だれか?
いや、この綺麗な毛触りはどっかで触った事あるな……馬……みたいな……あ! ふれあい動物園か!
と、腹ばいに乗っかっている? モノの艶々の毛触りを確かめていたら馬なのに大きな翼が生えていて、なんじゃこりゃ? 作り物? と翼の生え際をなでたらゲラゲラと笑われた。
「そこをそんなに撫でんな、くすぐったいじゃねぇか。 そんなことしてないで、落ちないように俺の体にまたがってこっち見てみな。」
そんな、空中でこれに跨る? それは雑技団の技なのでは?
跳び箱の上でくるっと回ってみれば? みたいに気軽に言わないでほしい。
まだ空の上だからね!
反論してみようとしたが、すごくせかされているような気がして、指示されるままにもぞもぞと体を動かしてみれば、羽の前に鞍を見つけた。
やっぱり馬だ。
今は荷物みたいに馬の背中に腹ばいに載せられていた感じで、ここから体勢を立て直して乗馬スタイルになれって言ってるようだ。
庶民にはなんてハードルの高いことを! ふれあい動物園では怖くて乗れなかったんだよ?
と考えながらも、眉間にしわを寄せて、ゆっくり体をねじり、おっかなびっくり乗馬スタイルに持っていこうとする私。 背中を優しい手に落ちないように支えられていることに気が付いた。
あれ? 誰か私の他にもここに乗ってるの?
グイっと上体を起こしたときにようやく自分を助けてくれたモノ? 人? の正体に気が付いた。
ペガサスみたいなケンタウロス? 半人半馬(翼付き?)だいぶかっこいい。
純白の翼と馬の体にはかっこいい赤と黒の鞍が付いていて、首があるところから生えてる?人の上半身は残念なことに裸ではなく、とても格好良い軍服のような制服をきっちりと着込んでいる。
おおぉぉ。幻獣! 素敵! いや、呆けている場合ではない!
「えっと、助けてくださってありがとうございます。」
お礼を言うと、彼は体をねじって頭をなでてくれた。
「これが仕事だからな、いいってことよ。 よし、ちゃんと乗れたな。 とりあえず顔が汚ねぇからこれで拭いて、それから俺の背中にしがみついてくれ。 下に降りるからな。」
「はい。」
渡された布で顔をごしごしすると、かなり濡れてたことに気が付いた。
涙とよだれかな? かなり叫んだもんなぁ。 幻獣さんの服や毛並み汚してないかな……。
はぁ、と安心してため息をつくと、肩越しに自分を見ていた男はにかっと歯を見せて笑った。
「よし、落ち着いたな。」
「はい。 あの、汚なっこくてごめんなさい。 綺麗な体とお洋服、汚してないといいんですが……」
「いや、いいって。 さすがに空から落ちたらビビるよな~。 空から落っこちてきたやつらは全員あんたみたいな感じだからまぁ気にしないでくれ。 さて、降りっからちゃんと鞍のところ握ってろよ。」
何度も頷くと、頭を撫でくれて、本当に馬で走っているみたい。
翼をはばたかせながら大きく空を旋回し、大きな木の根元に向かって降りていく。
風を切って、すごく不思議な気分。
木が近づいてくると、それは大きな大きな一本の木で、その周りに大きな大きな円形の都市があることが分かった。
カツン。
蹄が白い石畳みの噴水のある広場に降りたので、背中から降りようとすると、指を振って止められた。
「降りなくてもいい。 それより君は空からこの国に来た客人・空来種だ。 だから法によってこれからこの国の王様に会ってもらう決まりだ。」
カッカッ、と、蹄が石畳みを蹴る。
「さて、あそこにある王城まで、ひとっ走りだ!」
ぐん! と、今度はミニサーキットの時にアクセル踏み間違えて一気に駆けだしたあのGを私は全身に感じた。
「わああぁぁぁぁぁ!」
だから神様!
私、絶叫マシンは大嫌いなんです―――っ!
わぁ、いいお天気! 嬉しい!
それが、安全な場所だったらね!
「お、お。」
おぉ、人って咄嗟に怖いと声も出ない。
でもしかし! ここは声を張り上げてみせる!
「落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
見渡す限り、どころか360度、澄み切った青空って、何のフラグですか?
人間、突然青空に放り投げられると、犬かきって本当にするんですね? びっくりです。
「あぁぁぁぁぁ! 地面! 下が地面だったら死ぬ! 死んじゃうぅぅぅっ!」
馬鹿馬鹿、神様の馬鹿!
天蓋ベッドとは言いませんが、硝子の棺やお花畑、小動物に見守られた湖のほとり等々、なんか異世界転生にふさわしい空間から『まぁ大変、目が覚めたら転生してました』とかじゃないんですかー?!
神様に恨み節を叫びながら、なんの装備も準備もなく
『レッツ! スカイダイビング!』
パラシュート? そんな装備はありません!
もう、初っ端からありえない。
じたばたじたばた、私こんなに動けたんだなぁと思うくらいに足掻く藻掻く。
時速何キロだかの風を手に受けると、女の子の秘密の膨らみの感触、なんて訳のわからないクソ知識なんか浮かばなくていいから、私の脳みそよ、そして神様から貰ったスキル・知識の泉よ! 無傷とまでは言わないまでも、地面と仲良くしても助かる方法プリーズ!
「知識の泉! 無事に落下する方法を検索!」
――検索します。
藁にもすがる気持ちで叫んでみたら、おぉ! 頭の中で誰かがしゃべった。
――転生者、落下で検索。 貴女がこれから落ちるのは王都要塞ルフォート・フォーマです。 この王都は転生者対策がしっかりしておりますので無傷での到着が保証されております。 ご安心ください。
……は!? ご安心くださいじゃないわ、なんじゃ転生者対策って。
突っ込みを入れつつも、無傷が保証されてるとわかればこの状況、楽しむしかないんじゃない?!
前世でもスカイダイビングなんかする機会もなかったし、なにこれ、楽しくない?
……(思考中)……
嘘です! 嘘です神様! そういえば私、絶叫系大嫌いでした…
「うわぁぁぁぁん! 神様の馬鹿ぁっ! 人生イージーモード! 優しくしてって言ったじゃんっ!」
どんどん落ちていく、鳥も、魚も、雲も抜けて、どんどん抜けていく。
……魚?
今、おおぞらに魚がいなかった?
いや、そんなことどうでもいい! 下に何がでかい緑色か見えてきました!
うわぁぁぁん! たーすーけーてー!
「神様の馬鹿! ここで死んだら本気で恨みますー!」
『空からの落下物確認。』
足掻いて足掻いて足掻きまくっていたら、何やら大きな声が聞こえた!
『空中防衛騎士団第二部隊が確認、大泣きしながら落下している人間の雌、幼体のようです。』
『了解、ちょうど空中にいる小隊の一人を向かわせます!』
なになに? 私の事? 何か来るの?
大きな声に騒ぎながらも冷静に考えて突っ込んでしまうもう一人の自分にそうじゃない! と思っていたら、上から声を掛けられた。
「対象発見! お嬢ちゃん、ちょっとキツイかもしれないけどあと少しの辛抱だ、頑張んな!」
「ふへぇ?!」
私の事だったー!
なんて考えた直後、ぐんっ! と、それはそれは大きな衝撃……そうだな、ジェットコースターで一番高いところから一気に落ちるときみたいな、前に進んでいるのに後ろに思いきりひっぱられるというちょっとわからない状況で。
舌噛むかと思ったわ!
ぴちぴちの若い肉体だったからよかったものの、元の体ならむち打ちじゃすまないし!
転生早々の雑な扱いに涙出そうになる。
「よし、捕獲成功。 間違いなく空来種のようだ」
『落下人の捕獲確認。 空来種なので、そのまま王城へ連れて行くように』
「了解!」
自分の耳の横で、3人分の声が会話している。
さっきまで急降下していた空は今はぴったり止まっていて、何なら私の目の前に空の青で染めたような両手いっぱいの大きさの金魚がふわふわ泳いで……? 飛んで? いる。
「……もう、落ちて、ない? 目の前に魚が空飛んでる」
「おう、それは空金魚だからな、焼いて食うとうまいぞ。 それから捕まえてやったからもう落っこちてねぇよ、安心しな。 お嬢ちゃん」
そういえば、私は今、なにかに腹ばいに洗濯物のように伸びきって乗っかっている気がする。
だれか?
いや、この綺麗な毛触りはどっかで触った事あるな……馬……みたいな……あ! ふれあい動物園か!
と、腹ばいに乗っかっている? モノの艶々の毛触りを確かめていたら馬なのに大きな翼が生えていて、なんじゃこりゃ? 作り物? と翼の生え際をなでたらゲラゲラと笑われた。
「そこをそんなに撫でんな、くすぐったいじゃねぇか。 そんなことしてないで、落ちないように俺の体にまたがってこっち見てみな。」
そんな、空中でこれに跨る? それは雑技団の技なのでは?
跳び箱の上でくるっと回ってみれば? みたいに気軽に言わないでほしい。
まだ空の上だからね!
反論してみようとしたが、すごくせかされているような気がして、指示されるままにもぞもぞと体を動かしてみれば、羽の前に鞍を見つけた。
やっぱり馬だ。
今は荷物みたいに馬の背中に腹ばいに載せられていた感じで、ここから体勢を立て直して乗馬スタイルになれって言ってるようだ。
庶民にはなんてハードルの高いことを! ふれあい動物園では怖くて乗れなかったんだよ?
と考えながらも、眉間にしわを寄せて、ゆっくり体をねじり、おっかなびっくり乗馬スタイルに持っていこうとする私。 背中を優しい手に落ちないように支えられていることに気が付いた。
あれ? 誰か私の他にもここに乗ってるの?
グイっと上体を起こしたときにようやく自分を助けてくれたモノ? 人? の正体に気が付いた。
ペガサスみたいなケンタウロス? 半人半馬(翼付き?)だいぶかっこいい。
純白の翼と馬の体にはかっこいい赤と黒の鞍が付いていて、首があるところから生えてる?人の上半身は残念なことに裸ではなく、とても格好良い軍服のような制服をきっちりと着込んでいる。
おおぉぉ。幻獣! 素敵! いや、呆けている場合ではない!
「えっと、助けてくださってありがとうございます。」
お礼を言うと、彼は体をねじって頭をなでてくれた。
「これが仕事だからな、いいってことよ。 よし、ちゃんと乗れたな。 とりあえず顔が汚ねぇからこれで拭いて、それから俺の背中にしがみついてくれ。 下に降りるからな。」
「はい。」
渡された布で顔をごしごしすると、かなり濡れてたことに気が付いた。
涙とよだれかな? かなり叫んだもんなぁ。 幻獣さんの服や毛並み汚してないかな……。
はぁ、と安心してため息をつくと、肩越しに自分を見ていた男はにかっと歯を見せて笑った。
「よし、落ち着いたな。」
「はい。 あの、汚なっこくてごめんなさい。 綺麗な体とお洋服、汚してないといいんですが……」
「いや、いいって。 さすがに空から落ちたらビビるよな~。 空から落っこちてきたやつらは全員あんたみたいな感じだからまぁ気にしないでくれ。 さて、降りっからちゃんと鞍のところ握ってろよ。」
何度も頷くと、頭を撫でくれて、本当に馬で走っているみたい。
翼をはばたかせながら大きく空を旋回し、大きな木の根元に向かって降りていく。
風を切って、すごく不思議な気分。
木が近づいてくると、それは大きな大きな一本の木で、その周りに大きな大きな円形の都市があることが分かった。
カツン。
蹄が白い石畳みの噴水のある広場に降りたので、背中から降りようとすると、指を振って止められた。
「降りなくてもいい。 それより君は空からこの国に来た客人・空来種だ。 だから法によってこれからこの国の王様に会ってもらう決まりだ。」
カッカッ、と、蹄が石畳みを蹴る。
「さて、あそこにある王城まで、ひとっ走りだ!」
ぐん! と、今度はミニサーキットの時にアクセル踏み間違えて一気に駆けだしたあのGを私は全身に感じた。
「わああぁぁぁぁぁ!」
だから神様!
私、絶叫マシンは大嫌いなんです―――っ!
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