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53 ネムリバナ同盟の進捗と課題
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ちなみに、殿下とアリの関係はちょっとずつ改善はしていた。
なお、殿下はアリと同じ騎士科を専攻している。
なんだけど、いくら忖度がないとはいえ、相手は天下の第三王子だ。そして騎士科の実技の授業では、模擬剣での鍛錬も多い。相手が下手っぴだと殿下に怪我をさせてしまう可能性が高いことから、殿下の対戦相手はいつも教師だけだったんだって。
なんだけど、殿下はいつものあの調子で「俺だって学生だぞ! なんで相手が教師だけなんだよ、俺に友達がいないみたいじゃないか!」と主張した。殿下らしいよね。
そこで、メキメキ剣の腕も上がっていたアリが、殿下の相手役に抜擢された。「えーお前? ……ま、いいけど」なんて言われながらも、相手役として少しずつ心の距離を縮めていっているところなんだって。頑張れ、アリ! 殿下は我儘だけど、基本単純だからきっと大丈夫だよ!
毎晩の寝る前のお喋りの時間も、相変わらず続けていた。
殆どはアリに喋らせて、心の内に知らず闇を溜め込まないようにさせている。アリは沢山思っていることを話してくれるから、その時の精神的な状態や悩みが知れていいんだよね。
話し終えたら、これまた恒例のご褒美のキスだ。大抵はアリが激しめのねっとりとしたキスをしてきて、僕が身体全体で息をする頃におしまいになる。
「今日もルカが美味しかった」と満足げに言われると、心臓がキュンとしちゃうし、精通したばかりの僕の中心がちょっと熱を帯びる。そのせいで、寝るまでちょっと時間がかかってしまうのが難点だった。
それと――結局、自慰をする場所については聞けずじまいになっていた。仕方ないので、今のところトイレに行った隙にさっと処理するようにしている。
それにしても、アリは僕より全然身体も大きいし逞しいのに、まだ精通してないのかな。早い子は一学年くらいからもう精通してると兄様に聞いて、だから体格のいいアリは精通していると踏んでるんだけど。うーん。
何故僕がそんなことを疑っているのかというと、アリが股間を大きくしているところに一度も遭遇したことがないからだ。とっても気になる。だけど、突然そんなことを聞いて頭のおかしい奴だって思われたくないし。うう、でも気になるよ……!
「……ルカ? 眠れないのか?」
「ん、ちょっとね」
アリは精通した? なんて世間話みたいに聞けたらいいけど、さすがにその勇気は僕にはない。
「もっとキツく抱き締めようか。俺はそうしてもらえるとよく眠れるんだ」
「あ、そうなんだ? じゃあお願い!」
僕のお尻に、アリの股間が押しつけられる。やっぱり一切反応しないソコとは対照的に、僕の中心は今日もじんわりと熱を帯びてきた。
――なんで僕は反応しちゃってるんだろう?
大きな声では決して言えない悩みを抱えたまま、僕はアリの腕の中でぬくぬくと眠りについたのだった。
◇
そんななんとも言えないモヤモヤな気持ちを抱える中、僕たちネムリバナ同盟はどうしていたかというと。
「精油の欠点は、ネムリバナを大量消費することだ。ここで追求を諦めるボクたちじゃないだろう!?」
「はい!」
「確かにそうですね」
という感じで、精油精製で満足せず、引き続き次の可能性を模索していた。粛々と調査と実験を重ねていく。だけど、どれもいまいち結果がパッとしない。
うーん、やっぱり香水を作ってみたいなあ。前回の休みはネムリバナが手元になかったから、実験できなかったんだよね。
後期の期末試験も無事に終わり再び集合すると、クリストフ先輩がとある提案をしてきた。
なお、殿下はアリと同じ騎士科を専攻している。
なんだけど、いくら忖度がないとはいえ、相手は天下の第三王子だ。そして騎士科の実技の授業では、模擬剣での鍛錬も多い。相手が下手っぴだと殿下に怪我をさせてしまう可能性が高いことから、殿下の対戦相手はいつも教師だけだったんだって。
なんだけど、殿下はいつものあの調子で「俺だって学生だぞ! なんで相手が教師だけなんだよ、俺に友達がいないみたいじゃないか!」と主張した。殿下らしいよね。
そこで、メキメキ剣の腕も上がっていたアリが、殿下の相手役に抜擢された。「えーお前? ……ま、いいけど」なんて言われながらも、相手役として少しずつ心の距離を縮めていっているところなんだって。頑張れ、アリ! 殿下は我儘だけど、基本単純だからきっと大丈夫だよ!
毎晩の寝る前のお喋りの時間も、相変わらず続けていた。
殆どはアリに喋らせて、心の内に知らず闇を溜め込まないようにさせている。アリは沢山思っていることを話してくれるから、その時の精神的な状態や悩みが知れていいんだよね。
話し終えたら、これまた恒例のご褒美のキスだ。大抵はアリが激しめのねっとりとしたキスをしてきて、僕が身体全体で息をする頃におしまいになる。
「今日もルカが美味しかった」と満足げに言われると、心臓がキュンとしちゃうし、精通したばかりの僕の中心がちょっと熱を帯びる。そのせいで、寝るまでちょっと時間がかかってしまうのが難点だった。
それと――結局、自慰をする場所については聞けずじまいになっていた。仕方ないので、今のところトイレに行った隙にさっと処理するようにしている。
それにしても、アリは僕より全然身体も大きいし逞しいのに、まだ精通してないのかな。早い子は一学年くらいからもう精通してると兄様に聞いて、だから体格のいいアリは精通していると踏んでるんだけど。うーん。
何故僕がそんなことを疑っているのかというと、アリが股間を大きくしているところに一度も遭遇したことがないからだ。とっても気になる。だけど、突然そんなことを聞いて頭のおかしい奴だって思われたくないし。うう、でも気になるよ……!
「……ルカ? 眠れないのか?」
「ん、ちょっとね」
アリは精通した? なんて世間話みたいに聞けたらいいけど、さすがにその勇気は僕にはない。
「もっとキツく抱き締めようか。俺はそうしてもらえるとよく眠れるんだ」
「あ、そうなんだ? じゃあお願い!」
僕のお尻に、アリの股間が押しつけられる。やっぱり一切反応しないソコとは対照的に、僕の中心は今日もじんわりと熱を帯びてきた。
――なんで僕は反応しちゃってるんだろう?
大きな声では決して言えない悩みを抱えたまま、僕はアリの腕の中でぬくぬくと眠りについたのだった。
◇
そんななんとも言えないモヤモヤな気持ちを抱える中、僕たちネムリバナ同盟はどうしていたかというと。
「精油の欠点は、ネムリバナを大量消費することだ。ここで追求を諦めるボクたちじゃないだろう!?」
「はい!」
「確かにそうですね」
という感じで、精油精製で満足せず、引き続き次の可能性を模索していた。粛々と調査と実験を重ねていく。だけど、どれもいまいち結果がパッとしない。
うーん、やっぱり香水を作ってみたいなあ。前回の休みはネムリバナが手元になかったから、実験できなかったんだよね。
後期の期末試験も無事に終わり再び集合すると、クリストフ先輩がとある提案をしてきた。
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