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50 ルカの成長
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実は最近、自分のアソコがなんだかむず痒い感覚が度々あったんだ。
こんなにしょっちゅうだなんて、明らかにおかしい。
もしやこんな季節に虫刺され? それとも蕁麻疹とか……? それか、何かの病気だったらどうしよう……!
不安でいっぱいになって、我慢できずに恐る恐る自室でそーっと確認することにしてみた。手に取って触れている内に、段々と硬さを帯びてくる手の中の慣れ親しんだモノ。
「わ、え、ど、どういう状況!?」
なんとかむず痒さを取り除こうとしている内に、普段おしっこが出てくるところから半透明のドロッとした液体が出てきて――。
僕は声にならない悲鳴を上げて、半泣き状態で兄様の部屋に駆け込んだ。
「兄様! 僕、病気かもしれないっ!」
「ええっ!? どういうことだルカ!」
僕は嗚咽しながら、先ほど起こったことを兄様に事細かに説明していった。するとはじめは心配そうな表情で聞いていた兄様が、段々と顔を上に向けていく。部屋の中は明るくないのに眩しそうに瞼を手で覆うと、言ったんだ。
「く……っ! 純粋が致死量すぎる……眩しさで目が潰れそうだ……っ、ああ、この世に生まれてきてよかった……!」と。意味が分からない。
「兄様、真剣に聞いてる!?」
「――ハッ! 勿論聞いているさ!」
兄様は何となく喜色を感じさせる顔を僕に向けると、安心させるように僕を抱き寄せた。不安でいっぱいの僕は、兄様に抱きついて縋る。
「僕おかしくなっちゃったのかな、怖いよ、どうしよう兄様……!」
「ルカ……大丈夫だよ。それはね、ルカの身体が大人になった証拠なんだ」
「え……? 大人……?」
泣き顔で兄様を見上げると、兄様は何かを悟ったかのような穏やかな表情で僕を見下ろしていた。
「そう。学校で二次性徴については習っただろう?」
そこから二次性徴の説明を聞かされて、ようやく腑に落ちていく。え、てことは、まさかこれが――精通?
「兄様、僕……病気じゃない?」
兄様は尊いものを見るような眩しげな眼差しをしながら、深く頷いた。
「ああ、健康に育っている証拠だ。どこもおかしくなんてない」
兄様の言葉を聞いて、強張っていた全身の力が抜けていった。
「よ、よかったあ……!」
「ルカはまだだったんだね……兄様はホッとしたよ。大切な瞬間を教えてくれて、本当にありがとう」
兄様はそう言うと、今後どう付き合っていけばいいのかを丁寧に教えてくれた。自慰はどうやってするといいとかも、詳しく。さすが物知りな兄様だ。詳しくて頼りになるなあ……!
その中でひとつ、兄様が特に「絶対守るように」と怖い顔をして注意してきたことがあったんだ。
「いいかい、ルカ。たとえ普段仲がよかろうと、抜き合いの誘いに乗ってはダメだ」
「ぬ、抜き合い……?」
それってどんな行為なんだろう。
兄様が重々しく頷く。
「ああ。この時期の男は、こういったことに好奇心が旺盛だ。一緒にしようと誘われて軽い気持ちで頷いたら、相手がどんどん調子に乗って最後まで――なんて危険性もある! 特にルカは可愛いから、そんなルカに色気が加わった日には……! ああ、兄様は心配で仕方ない!」
可愛いのに色気? 調子に乗る? 話が全然見えない。
「兄様。何をどうすると最後になるの?」
僕の問いかけに、兄様が目を泳がせた。
「グフッ! ……そ、それはまた別の機会に説明しようかな……? と、とりあえず! 自慰は基本ひとりでするもの! 他人に見られたり、ましてや一緒にするのは絶対絶対駄目だからね!」
見られるのも駄目なんだ。でも、アリとは同室だしなあ。どうしよう。
「……親友でも駄目?」
「駄目」
ものすごい速さで、兄様が即答した。
――なんてことがつい先日あったばかりだった。
なので、休み明けにアリがいる場所でどうひとりで処理したらいいのかなあ、というのが僕の目下の悩みなんだよね。
ひとり悶々と考えるのも疲れてきた。早くアリに会って聞いてスッキリしたい。
早く冬季休暇が終わりますようにと、僕は心の中で祈った。
こんなにしょっちゅうだなんて、明らかにおかしい。
もしやこんな季節に虫刺され? それとも蕁麻疹とか……? それか、何かの病気だったらどうしよう……!
不安でいっぱいになって、我慢できずに恐る恐る自室でそーっと確認することにしてみた。手に取って触れている内に、段々と硬さを帯びてくる手の中の慣れ親しんだモノ。
「わ、え、ど、どういう状況!?」
なんとかむず痒さを取り除こうとしている内に、普段おしっこが出てくるところから半透明のドロッとした液体が出てきて――。
僕は声にならない悲鳴を上げて、半泣き状態で兄様の部屋に駆け込んだ。
「兄様! 僕、病気かもしれないっ!」
「ええっ!? どういうことだルカ!」
僕は嗚咽しながら、先ほど起こったことを兄様に事細かに説明していった。するとはじめは心配そうな表情で聞いていた兄様が、段々と顔を上に向けていく。部屋の中は明るくないのに眩しそうに瞼を手で覆うと、言ったんだ。
「く……っ! 純粋が致死量すぎる……眩しさで目が潰れそうだ……っ、ああ、この世に生まれてきてよかった……!」と。意味が分からない。
「兄様、真剣に聞いてる!?」
「――ハッ! 勿論聞いているさ!」
兄様は何となく喜色を感じさせる顔を僕に向けると、安心させるように僕を抱き寄せた。不安でいっぱいの僕は、兄様に抱きついて縋る。
「僕おかしくなっちゃったのかな、怖いよ、どうしよう兄様……!」
「ルカ……大丈夫だよ。それはね、ルカの身体が大人になった証拠なんだ」
「え……? 大人……?」
泣き顔で兄様を見上げると、兄様は何かを悟ったかのような穏やかな表情で僕を見下ろしていた。
「そう。学校で二次性徴については習っただろう?」
そこから二次性徴の説明を聞かされて、ようやく腑に落ちていく。え、てことは、まさかこれが――精通?
「兄様、僕……病気じゃない?」
兄様は尊いものを見るような眩しげな眼差しをしながら、深く頷いた。
「ああ、健康に育っている証拠だ。どこもおかしくなんてない」
兄様の言葉を聞いて、強張っていた全身の力が抜けていった。
「よ、よかったあ……!」
「ルカはまだだったんだね……兄様はホッとしたよ。大切な瞬間を教えてくれて、本当にありがとう」
兄様はそう言うと、今後どう付き合っていけばいいのかを丁寧に教えてくれた。自慰はどうやってするといいとかも、詳しく。さすが物知りな兄様だ。詳しくて頼りになるなあ……!
その中でひとつ、兄様が特に「絶対守るように」と怖い顔をして注意してきたことがあったんだ。
「いいかい、ルカ。たとえ普段仲がよかろうと、抜き合いの誘いに乗ってはダメだ」
「ぬ、抜き合い……?」
それってどんな行為なんだろう。
兄様が重々しく頷く。
「ああ。この時期の男は、こういったことに好奇心が旺盛だ。一緒にしようと誘われて軽い気持ちで頷いたら、相手がどんどん調子に乗って最後まで――なんて危険性もある! 特にルカは可愛いから、そんなルカに色気が加わった日には……! ああ、兄様は心配で仕方ない!」
可愛いのに色気? 調子に乗る? 話が全然見えない。
「兄様。何をどうすると最後になるの?」
僕の問いかけに、兄様が目を泳がせた。
「グフッ! ……そ、それはまた別の機会に説明しようかな……? と、とりあえず! 自慰は基本ひとりでするもの! 他人に見られたり、ましてや一緒にするのは絶対絶対駄目だからね!」
見られるのも駄目なんだ。でも、アリとは同室だしなあ。どうしよう。
「……親友でも駄目?」
「駄目」
ものすごい速さで、兄様が即答した。
――なんてことがつい先日あったばかりだった。
なので、休み明けにアリがいる場所でどうひとりで処理したらいいのかなあ、というのが僕の目下の悩みなんだよね。
ひとり悶々と考えるのも疲れてきた。早くアリに会って聞いてスッキリしたい。
早く冬季休暇が終わりますようにと、僕は心の中で祈った。
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