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62 クロイスの猛攻※

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 クロイスは顔を斜めにして俺の唇を奪うと、俺が逃げ出さないように後頭部を片手で覆う。

 重ねられた唇を少しずらすクロイス。飴玉でもしゃぶるように俺の下唇を口に含んで味わった後、遠慮なく舌を口の中に侵入させて俺の舌と絡め始めた。

「ふ……っクロ……ッ」

 嘘だろ、クロイスの奴は一体どうしちゃったんだ、と目を見開いた。半目のクロイスが、思わずドキッとしてしまう熱を帯びた眼差しで俺を見ている。

 直後、俺は悟った。

 ……この目は、知ってる。

 アルバンもセルジュもついでにロイクも、俺を抱こうってなった時はこの目をしていたから。

 本気なんだ。クロイスはマジで俺を抱きたいと願ってるんだ。

「ビイ、ビイ……ッ」

 狂おしそうな声で俺を呼ぶクロイスの想いに、できることなら応えてあげたい。故郷への旅にクロイスが一緒に来てくれたら、どんなにか心強いかも分かる。

 ここ最近大人びて男らしくなったクロイスに、確かに俺はときめかされていた。『いい人』とやらを差し置いて俺のところに入り浸るクロイスを、いいのかなあと思いながらも受け入れてしまっていたのは、結局は嬉しかったからだ。

 俺はこいつが子供の時から絆され続けて、それは今も変わらない。好きだと言われたら年齢差とか付き合いの長さから困惑は確かにあるけど、ちっとも嫌じゃない。

 どんな形でだって、クロイスとはずっといたいと思っていたから。

 ――でもな。

「……クロイス!」

  クロイスの胸をドンドン叩き、息苦しさを覚える中必死で呼吸を確保した。はあ、はあ、と肩で息をしながら、クロイスを見上げる。

「やめてくれ! 言っただろ! 一度でも関係を持っちまったら、間違いなくお前は消されるんだってば!」
「オレは死なない」
「お前は向こうの強さを知らないから……っ!」

 クロイスは俺を横抱きにすると、寝台の中心に寝かせた。いやいやいや、絶対駄目だって!

 クロイスは俺に覆い被さるように顔の横に手をつくと、少し怒ったような雰囲気を出しながら言った。

「知らないから、教えてよ。教えてくれたら考え直すかもよ?」
「ぐ……っ」

 ロイクの野郎とこれまで通りの親子関係を続けていくには、俺の話は絶対に聞かせちゃならない。聞いた瞬間から、多分二人の関係は破綻する。

 折角ロイクの野郎は説得できたっぽかったのに、まさかの伏兵がいやがった。畜生。

 俺がいなくなれば、クロイスはこのまま国で王子様としてクリストフを支えながら生きていける。俺を昏い闇の底から引っ張り上げてくれた恩人を、俺の過去を軽率に聞かせたが故に不幸への道を歩ませたくはなかった。

 俺がいない方がいい。俺のことが好きなのは、ずっと傍にいたからだ。離れれば、きっと俺のことなんてすぐに忘れる。

 俺が唇を噛んで首を横に振ると、クロイスの眉間に小さな皺が寄った。

「……じゃあ、言うまでやめない」
「待て、早まるな!」
「ビイが俺に教えたいと思うまでやめない」

 クロイスはキッパリと言うと、銀色のリボンで結ばれた俺の両手首をグイッと上に押し上げる。俺の腰の上に跨ると、ジタバタしていた俺の足に体重をかけてしまった。

 こいつ……!

 ちゅ、と首筋に柔らかな口づけが落ちてくる。驚いてはいるけどやっぱりちっとも嫌じゃないからか、暖かさにゾクゾクと肌を合わせる時しか感じない心地よさを感じてしまった。

「こら……っ」

 叱りたいのに、感じてしまっている甘めの吐息混じりになる。

「ビイ、可愛い声」

 俺の首筋から胸元に愛撫を移動させながら、クロイスは俺の上着のボタンを片手で器用に外していった。

 クロイスが動くと、重なっている股間部分に固いものが時折当たる。――ヤバい、こいつ本気で俺を抱く気だ!

 このリボンさえ取れたら……!

 唇を噛み締めている間にも、クロイスの頭はどんどん下がっていき、筋肉が付いて膨らんでいる両胸の間の溝を舐めとるように舌でなぞっていった。……くうう、ゾクッとするけど感じるな俺! あっ乳首摘まれた!

「や、やめ……っ」

 やっぱり弱々しいエロい声しかでない。これ喋ると逆効果になるかも。何故なら、クロイスの口が嬉しそうに笑ったかと思うと、ちゅぷりと俺の乳首に吸い付いてしまったからだ。

「んっ」

 俺えええ! 声出すなよ!

 焦りながら、押し上げられている腕を見上げた。俺が逃げ出せない原因のリボンを悔しい思いで睨む。

 俺の力だったら、こんなの引き千切るのは簡単だ。だけど、お揃いの衣装が裂かれているのを見た時のクロイスの悲しそうな顔を思い出したら、同じことはどうしてもできなかった。

 あれは俺の物だから辛うじてできたけど、これはクロイスの物だ。やってしまえば自由になる、分かっているのにどうしても勇気が出てこない。

 だから口で説得するしかないけど、口でろくに勝てた試しがないのでうまくいく気が全くしなかった。

 馬鹿の一つ覚えのように繰り返す。

「待て! な!?」
「ビイ、綺麗だよ」

 乳首を甘噛みするな! 舌で転がすな! どこで覚えてきたんだこんなこと!

「んっ――んな訳あるか! おっさんに何言ってんだよお前は!」

 もうこうなったら暴れて抜け出すしかない。俺が腹筋に力を込めて起き上がろうとすると、クロイスは乳首に舌を這わせたえっろい上目遣いで俺を見た。

「……ビイ、勃ってる」
「わー! 馬鹿!」
「見せて」
「こら! 剥くなー!」

 クロイスは俺の叫びなんて無視したまま身体を起こすと、俺の足の間に入り込む。俺の下履きに両手をかけると、興味深そうな顔で一気に脱がせた。

 ぷるん、と半勃ちの俺の雄がお目見えする。み、見るな! じっと見るな! なんか恥ずかしいから!

 下生えは生えているものの、銀髪なので色味が薄くほぼ肌と同化している。俺の雄の色は肌色に近いこともあって、鍛えられた腹筋の下に付いている物としては……。

 クロイスが舌舐めずりをしながらのたまった。

「ビイ、美味しそうな色だね」
「おまっそれ言うなよー!」
「じゃあ早速、長年の夢をいただくね」
「あっおい!」

 クロイスは両足を抱えつつ俺のケツの下に膝を入れてくると、おもむろに俺の半勃ちしたブツの根元を握った。――くううっ。

「待て! 早まるな……っ」
「ん」

 次の瞬間、クロイスが俺の雄を形のいい口の中に含んでしまった。
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