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36 聖都へ
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俺が少しでも歯向かう素振りを見せたら、セルジュの命が危ない。
セルジュと逃亡したところで、ロイクは俺を探し出してセルジュだけ殺してしまうんだろう。
暗部のガンブランに耳打ちされた言葉は、セルジュに伝えることはできなかった。俺を一番に考えるセルジュは、下手をすると俺の手枷を解放する為に自死してしまう可能性すらあったからだ。
俺はセルジュを失いたくなかった。これ以上大切な人を死なせたくはなかった。
どんなに苦しくても、俺には耐えるしか選択肢は残されていなかった。
がんじがらめにされてしまった俺にできることといえば、指示通りに聖国マイズの民を切って切って切りまくることだけだ。
誰も見ていない時だけ、子供を逃がすことはあった。だけどこんな戦地で逃されたところで、飢えて死ぬだけじゃないか。
自分がやっていることは偽善にすぎないと分かっていても、俺が自己嫌悪で絶望せずに踏み留まれていたのは、セルジュの存在があったからだった。
砦にいた時ほど愛し合うことはできない。それでもたまの休息の時は、セルジュは俺を丁寧に優しく労るように抱いてくれた。
俺が泣けば涙を唇で掬い、人を切る夢を見てうなされれば俺を抱き締めて頭を撫でてくれた。
「たとえ貴方が全世界の人間に恨まれても、私だけは貴方を愛しお側にいますよ」
「セルジュ……ありがと」
血と死体の匂いが充満する戦地で、セルジュの腕の中が唯一俺の心が休まる場所だった。
相変わらず聖国マイズの民の抵抗はとてつもなく、ヒライム王国軍の進軍速度は遅い。
中央神殿がある聖都まであと半分の距離となったところで、進軍を開始してから一年が経過していた。
時折、ロイクから俺宛に個人的な手紙が届けられることがあった。その中には俺の身を案じるロイクの言葉が綴られていたけど、どれも嘘くさくしか思えなくて、一応目を通すと火にくべて処分していた。
「俺にばかり役目を押し付けて申し訳ないとか、俺の心が壊れないか心配だとかさ、だったら自分が来いよって話だよな」
「実際に来たら何をされるか分かったものではありませんよ」
「言っただけだよ。俺だってあいつの顔は二度と見たくないし」
すり、とセルジュの胸板に鼻先を押し付けると、俺は地獄から目を逸らすべくセルジュの匂いを目一杯吸い込んだ。癒される。
「早く終わりにしたいな」
胸毛の中にあるセルジュの胸の突起に唇を這わせると、セルジュがくすぐったそうに笑った。
とある砦で支配級である神官のひとりが籠城し持久戦となっていた時、オリヴィアが双子の王子を出産したとの報告を受ける。
これでもうさすがに俺に執着するのは控えるんじゃないか。
そう考えるとホッとして、報告を聞いた夜は久々にセルジュにとろとろに蕩けるまで抱き潰してもらい、次の日使い物にならなくなった。
聖都へ近付けば近付くほど、聖国マイズの抵抗は強くなっていく。
中央神殿がある聖都郊外に布陣したのは、進軍開始から実に二年後のことだった。
胸の上程度だった長さの俺の銀髪は腰近くまで伸び、ついでに俺の背も少し伸びた。
「精悍な顔立ちに変わりましたね」
「男っぽくなっただろ?」
「そうですね。可愛らしくていいと思いますよ」
「あれ? どういうこと?」
目尻に少し小皺が増えたセルジュの男前度は益々上がっている。俺はもうセルジュの身体で知らない場所はないけど、それでも俺はもっとセルジュのことが欲しくて、二人きりになるとセルジュに甘えまくった。
「セルジュ、絶対死ぬなよ」
「死にません。ファビアン様の祖国に二人で行くのでしょう?」
「うん。楽しみにしてるな……」
唇を合わせれば、安堵しながら眠ることができた。
俺にとってセルジュは、俺が生きる目的になっていた。セルジュがいなければ、俺が生きる意味などなくなっていた。
◇
聖都に布陣してから、早半年。聖都攻略は熾烈を極めており、俺たちは日々一進一退を繰り返していた。
補給路が伸びることでヒライム王国軍へ届く物資も激減し、仲間だった兵たちが次々に命を落としていくのが原因のひとつだろうとセルジュが語っていた。
ここにきて勢いが衰えているということだ。ヒライム王国軍は、聖国マイズの奥深くに入り込み過ぎたのだ。
それを理解している中央神殿に籠城した支配級の神官たちは、信者である聖都の民を特攻兵としてヒライム王国軍にぶつけてきた。
補給が切れ切れとなり、眠れぬ夜を幾日か過ごしたとある日の夜。
「しつこいですねえ!」
さすがに疲弊の色が隠せなくなっていた暗部のガンブランが、細身の剣を翻しながら嫌そうに怒鳴った。この男が怒鳴るところを初めて見たかもしれない。
「このっ!」
「ファビアン様、こちらは片付けました!」
司令部がある野営地が、闇夜に紛れて奇襲攻撃を受けたのだ。これまで許さなかった敵の侵入をいとも容易く許してしまったのには、長引く戦線による戦意低下もあるのかもしれない。
それほどに、全員がこの戦に飽いていた。
敵襲は無事に退けたものの、ガンブランはこの奇襲で腹部に怪我を負い、やむを得ず戦線を離脱することになる。
代わりにやってきたのは、暗部の選りすぐりを引き連れてきたラザノだった。
「お久しぶりです、ファビアン様」
ニタリと笑う姿は以前と変わりなくて、俺は久々にこいつに対する殺意を覚えていた。
俺はまだ、アルバンを殺したこいつを許す気にはなれていなかった。
ラザノが笑みをたたえたまま、俺や隊長たちを見回す。
「明日より、中央神殿殲滅戦を開始致します。今夜はゆっくりとお休み下さい」
俺とセルジュは顔を見合わせ、頷いた。
聖国マイズの命は、風前の灯だ。
これが最後の戦いになる。
俺とセルジュの明るい未来は、もうすぐそこにあった。
セルジュと逃亡したところで、ロイクは俺を探し出してセルジュだけ殺してしまうんだろう。
暗部のガンブランに耳打ちされた言葉は、セルジュに伝えることはできなかった。俺を一番に考えるセルジュは、下手をすると俺の手枷を解放する為に自死してしまう可能性すらあったからだ。
俺はセルジュを失いたくなかった。これ以上大切な人を死なせたくはなかった。
どんなに苦しくても、俺には耐えるしか選択肢は残されていなかった。
がんじがらめにされてしまった俺にできることといえば、指示通りに聖国マイズの民を切って切って切りまくることだけだ。
誰も見ていない時だけ、子供を逃がすことはあった。だけどこんな戦地で逃されたところで、飢えて死ぬだけじゃないか。
自分がやっていることは偽善にすぎないと分かっていても、俺が自己嫌悪で絶望せずに踏み留まれていたのは、セルジュの存在があったからだった。
砦にいた時ほど愛し合うことはできない。それでもたまの休息の時は、セルジュは俺を丁寧に優しく労るように抱いてくれた。
俺が泣けば涙を唇で掬い、人を切る夢を見てうなされれば俺を抱き締めて頭を撫でてくれた。
「たとえ貴方が全世界の人間に恨まれても、私だけは貴方を愛しお側にいますよ」
「セルジュ……ありがと」
血と死体の匂いが充満する戦地で、セルジュの腕の中が唯一俺の心が休まる場所だった。
相変わらず聖国マイズの民の抵抗はとてつもなく、ヒライム王国軍の進軍速度は遅い。
中央神殿がある聖都まであと半分の距離となったところで、進軍を開始してから一年が経過していた。
時折、ロイクから俺宛に個人的な手紙が届けられることがあった。その中には俺の身を案じるロイクの言葉が綴られていたけど、どれも嘘くさくしか思えなくて、一応目を通すと火にくべて処分していた。
「俺にばかり役目を押し付けて申し訳ないとか、俺の心が壊れないか心配だとかさ、だったら自分が来いよって話だよな」
「実際に来たら何をされるか分かったものではありませんよ」
「言っただけだよ。俺だってあいつの顔は二度と見たくないし」
すり、とセルジュの胸板に鼻先を押し付けると、俺は地獄から目を逸らすべくセルジュの匂いを目一杯吸い込んだ。癒される。
「早く終わりにしたいな」
胸毛の中にあるセルジュの胸の突起に唇を這わせると、セルジュがくすぐったそうに笑った。
とある砦で支配級である神官のひとりが籠城し持久戦となっていた時、オリヴィアが双子の王子を出産したとの報告を受ける。
これでもうさすがに俺に執着するのは控えるんじゃないか。
そう考えるとホッとして、報告を聞いた夜は久々にセルジュにとろとろに蕩けるまで抱き潰してもらい、次の日使い物にならなくなった。
聖都へ近付けば近付くほど、聖国マイズの抵抗は強くなっていく。
中央神殿がある聖都郊外に布陣したのは、進軍開始から実に二年後のことだった。
胸の上程度だった長さの俺の銀髪は腰近くまで伸び、ついでに俺の背も少し伸びた。
「精悍な顔立ちに変わりましたね」
「男っぽくなっただろ?」
「そうですね。可愛らしくていいと思いますよ」
「あれ? どういうこと?」
目尻に少し小皺が増えたセルジュの男前度は益々上がっている。俺はもうセルジュの身体で知らない場所はないけど、それでも俺はもっとセルジュのことが欲しくて、二人きりになるとセルジュに甘えまくった。
「セルジュ、絶対死ぬなよ」
「死にません。ファビアン様の祖国に二人で行くのでしょう?」
「うん。楽しみにしてるな……」
唇を合わせれば、安堵しながら眠ることができた。
俺にとってセルジュは、俺が生きる目的になっていた。セルジュがいなければ、俺が生きる意味などなくなっていた。
◇
聖都に布陣してから、早半年。聖都攻略は熾烈を極めており、俺たちは日々一進一退を繰り返していた。
補給路が伸びることでヒライム王国軍へ届く物資も激減し、仲間だった兵たちが次々に命を落としていくのが原因のひとつだろうとセルジュが語っていた。
ここにきて勢いが衰えているということだ。ヒライム王国軍は、聖国マイズの奥深くに入り込み過ぎたのだ。
それを理解している中央神殿に籠城した支配級の神官たちは、信者である聖都の民を特攻兵としてヒライム王国軍にぶつけてきた。
補給が切れ切れとなり、眠れぬ夜を幾日か過ごしたとある日の夜。
「しつこいですねえ!」
さすがに疲弊の色が隠せなくなっていた暗部のガンブランが、細身の剣を翻しながら嫌そうに怒鳴った。この男が怒鳴るところを初めて見たかもしれない。
「このっ!」
「ファビアン様、こちらは片付けました!」
司令部がある野営地が、闇夜に紛れて奇襲攻撃を受けたのだ。これまで許さなかった敵の侵入をいとも容易く許してしまったのには、長引く戦線による戦意低下もあるのかもしれない。
それほどに、全員がこの戦に飽いていた。
敵襲は無事に退けたものの、ガンブランはこの奇襲で腹部に怪我を負い、やむを得ず戦線を離脱することになる。
代わりにやってきたのは、暗部の選りすぐりを引き連れてきたラザノだった。
「お久しぶりです、ファビアン様」
ニタリと笑う姿は以前と変わりなくて、俺は久々にこいつに対する殺意を覚えていた。
俺はまだ、アルバンを殺したこいつを許す気にはなれていなかった。
ラザノが笑みをたたえたまま、俺や隊長たちを見回す。
「明日より、中央神殿殲滅戦を開始致します。今夜はゆっくりとお休み下さい」
俺とセルジュは顔を見合わせ、頷いた。
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