15 / 89
15 門番の青年
しおりを挟む
俺は元々駆け出しの冒険者だったし、その後は四英傑のひとり、剣聖としてずっと旅を続けていた。
だから、一箇所に定住して職場に通うなんてことは初めてだった。
職場である王国騎士団は王城の敷地内にあるから、城から通う俺は城の外に出る必要がない。何となくロイクの策略を感じながらも、とりあえずはロイクの決定に従うことにした。
もうすぐロイクとオリヴィアの国を挙げての結婚式がある。そのせいか、時折俺を見にくるロイクの雰囲気がピリピリしていたからだ。
ああいう時のロイクは、余裕がない。今俺が何を言ったところで、聞きやしないだろう。だからあいつが結婚して落ち着いた頃を見計らって、今度こそ祖国に行かせてもらおうと思っていた。
騎士団の奴らは、余所者で若造の俺が突然特別顧問になったというのに歓迎してくれた。だけど、奴らが俺を見る目はちょっと普通じゃないことにすぐに気付く。
俺が「お前腕いいな!」と肩を叩くと息を止めて震えた上に赤顔に潤んだ目で「ありがたきお言葉……! ああ、死んでもいい!」とか毎回言われてみろ。話しかける気が萎える。
茶髪の苦み走った渋い顔の三十路の騎士団長だけは、長がつくだけあって割と普通な反応だった。だけど、他は似たり寄ったりで、俺はすぐに嫌気が差した。
剣聖だ、英傑だとガタイのいい騎士団の男どもにキラキラした目で見られるのは、はっきり言って居心地が悪い。とうとう騎士団の食堂に行く気も完全に失せ、昼飯を町で飯を食おう! と城門を潜ろうとした時。
赤髪の人懐っこい顔をした若い門番の兵士が、目をキラッキラさせながら言った。
「申し訳ございません! 剣聖様の御身をお守りする為、城外へお出になることは王太子殿下より禁じられております!」
「え、マジ?」
「マジです!」
外にも出ちゃいけないのか。俺、強いんだけどな。ていうか、俺そんなこと聞かされてないんだけど。
またロイクがひとりで勝手に決めて通達したんだろうとは分かったものの、直談判したところで微笑んだまま拒否されるのは目に見えている。
がっくりと項垂れると、頭を抱えてその場で蹲った。
あいつ、本気で俺を離さないつもりか。手を出さない癖に、一体どういうつもりだよ。
すると。門番が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「剣聖様! だ、大丈夫ですか!?」
「……その剣聖様っていうの、やめて」
途端、門番が焦り出す。
「えっ! で、ではファビアン様……わっ名前呼びしちゃったよ俺! ていうか今喋ってる! えっなにこれ奇跡!?」
ひとりで興奮し始めた門番を見て、俺は思わず吹き出した。
「ぷ……っ! なんだよそれ」
「はっ!? し、失礼致しました! いえ、ファビアン様は可愛らしい顔立ちをされているのに大変お強くて、ワタシはそのっあのっ」
顔を真っ赤にしてる門番に、ファビアンは唇を尖らせてみせる。
「お前も可愛いって言うのか? ちえっ。格好いい方がいいのになー」
騎士団の奴らも俺専属の侍女たちも、皆俺を見て可愛いと言う。いや、俺四英傑のひとりだからな? と言っても、皆「分かっておりますよ!」と頬を赤らめてニコニコするだけだ。絶対分かってねえ。
「……俺、格好よくない?」
上目遣いで門番を見ると、門番が俺を見下ろしながらゴクリと唾を呑み込んだ。
「滅茶苦茶格好いいです!」
なんか嘘っぽい。まさか気を使ってる? なんか皆英傑に幻想を抱いてるみたいだから、可能性はあるぞ。
「……本当?」
「はい! 嘘じゃありません!」
ブンブンと頭が取れそうなほど肯定する姿を見て、「こいついい奴そうだなー」と思い始める。興味がむくりと湧いてきた。
「お前名前は?」
「アルバンでございます!」
「じゃあアルバン、俺の友達になって?」
「はい! ……えっ」
アルバンと名乗った赤髪の青年は、途端にワタワタし始める。笑ったと思ったら頭を抱えたり口を押さえたと思ったらまたにやついたりして、大丈夫だろうか。
アルバンに対する気持ちが、一気に親身なものに変わった。頭を撫でて落ち着かせてやりたい。最近誰の頭も撫でてないし。
「……俺、友達いないんだ。騎士団の食堂でも皆遠巻きにして見ててさ。寂しいんだよね」
アルバンは緑の目を大きくした。まだ若干幼さは残るし四英傑に比べたら遥かに劣るものの、男らしくなりそうないい顔をしている。多分、年は俺と近い。くりっとした目が愛嬌があるし、くるくると感情が全部顔に出てるし、なんかこいつはいい奴そうだぞ。
「……だめ?」
年齢の近い気楽に話せる友だちが欲しい。そうしたら、このカゴの中の鳥みたいな生活も少しは楽しめそうじゃないか。そう思った俺を、誰が責められるか。
「だ、だめなんてありません!」
真っ赤な顔のアルバンが、叫ぶように答える。
「じゃあ敬語なしね」
「へ」
「俺のことはファビアンって呼び捨てね」
「ま」
「ご飯一緒に食べない? ひとりで食べるの寂しいんだよね」
「ふわ……っ」
畳み掛けるように言うと、口をぱくぱくしていたアルバンが、やがて真っ赤な顔でこくんと頷いてくれた。
「頭撫でていい?」と調子に乗って尋ねたら、「倒れるからだめです!」と断られた。ちえ。
◇
俺とアルバンは、すぐに仲良くなった。俺がグイグイいく内に、俺はこういう奴なんだと悟ってくれたらしい。ありがたいことだ。
「ファビアン! また抜け出してきたのか?」
呆れ顔に「仕方ないなあ」という笑みを浮かべた赤髪のアルバンが、門番の詰所に勝手に入って座る俺を見て苦笑する。
俺は椅子の上に膝を抱えて小さくなると、下唇を出してぼやき始めた。
「騎士団の奴の剣先がちょっと俺に触っただけで、奴ら大騒ぎし始めちゃってさ」
大丈夫だから! と迫り来るゴツい奴らから逃げ出してきた先が、門番の詰所だったという訳だ。誰かが通る時は俺は詰所の中に隠れているので、多分俺がここで管を巻いていることはまだバレていない筈。
「えっ!? 怪我したの? 見せて!」
血相を変えたアルバンに、腕の小さな切り傷を見せた。アルバンは「……これだけ?」と呟く。俺も同意見だ。
「あいつら、俺を何だと思ってんだか。剣聖だぞ?」
俺が不貞腐れた顔をすると、アルバンがあははと笑いながら俺の銀髪を撫でる。気持ち良くて、俺は瞼を閉じるとアルバンの手の温もりに集中した。
アルバンは俺が頭を撫でたいと言ったら「無理。鼻血出して倒れる」と言ったけど、「じゃあ撫でて」と言ったら、アワアワしながらも撫でてくれた。
以来、俺が不貞腐れるとこうして撫でてくれる。――クロードの手を思い出させる撫で方は、嫌いじゃなかった。
「……あっち、戻りたくない」
どうせ騎士団長か副団長あたりが、俺の部屋の前で待ち構えてるに違いないから。
俺の頭を撫でながら、アルバンが囁くような声で尋ねる。
「……もうすぐ当番終わるけど、俺の部屋に来て飲む?」
「えっいいの!?」
顔を上げると、アルバンが何故か眩しそうに俺を見つめていた。最近こいつは時折この顔をしている時がある。どういった意味なんだろうか。
「……いいよ」
「やったー!」
そうして俺はアルバンの背中に隠れながらアルバンの部屋に行くと、今日に限って何故か緊張した表情のアルバンと酒を酌み交わし始めた。
だから、一箇所に定住して職場に通うなんてことは初めてだった。
職場である王国騎士団は王城の敷地内にあるから、城から通う俺は城の外に出る必要がない。何となくロイクの策略を感じながらも、とりあえずはロイクの決定に従うことにした。
もうすぐロイクとオリヴィアの国を挙げての結婚式がある。そのせいか、時折俺を見にくるロイクの雰囲気がピリピリしていたからだ。
ああいう時のロイクは、余裕がない。今俺が何を言ったところで、聞きやしないだろう。だからあいつが結婚して落ち着いた頃を見計らって、今度こそ祖国に行かせてもらおうと思っていた。
騎士団の奴らは、余所者で若造の俺が突然特別顧問になったというのに歓迎してくれた。だけど、奴らが俺を見る目はちょっと普通じゃないことにすぐに気付く。
俺が「お前腕いいな!」と肩を叩くと息を止めて震えた上に赤顔に潤んだ目で「ありがたきお言葉……! ああ、死んでもいい!」とか毎回言われてみろ。話しかける気が萎える。
茶髪の苦み走った渋い顔の三十路の騎士団長だけは、長がつくだけあって割と普通な反応だった。だけど、他は似たり寄ったりで、俺はすぐに嫌気が差した。
剣聖だ、英傑だとガタイのいい騎士団の男どもにキラキラした目で見られるのは、はっきり言って居心地が悪い。とうとう騎士団の食堂に行く気も完全に失せ、昼飯を町で飯を食おう! と城門を潜ろうとした時。
赤髪の人懐っこい顔をした若い門番の兵士が、目をキラッキラさせながら言った。
「申し訳ございません! 剣聖様の御身をお守りする為、城外へお出になることは王太子殿下より禁じられております!」
「え、マジ?」
「マジです!」
外にも出ちゃいけないのか。俺、強いんだけどな。ていうか、俺そんなこと聞かされてないんだけど。
またロイクがひとりで勝手に決めて通達したんだろうとは分かったものの、直談判したところで微笑んだまま拒否されるのは目に見えている。
がっくりと項垂れると、頭を抱えてその場で蹲った。
あいつ、本気で俺を離さないつもりか。手を出さない癖に、一体どういうつもりだよ。
すると。門番が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「剣聖様! だ、大丈夫ですか!?」
「……その剣聖様っていうの、やめて」
途端、門番が焦り出す。
「えっ! で、ではファビアン様……わっ名前呼びしちゃったよ俺! ていうか今喋ってる! えっなにこれ奇跡!?」
ひとりで興奮し始めた門番を見て、俺は思わず吹き出した。
「ぷ……っ! なんだよそれ」
「はっ!? し、失礼致しました! いえ、ファビアン様は可愛らしい顔立ちをされているのに大変お強くて、ワタシはそのっあのっ」
顔を真っ赤にしてる門番に、ファビアンは唇を尖らせてみせる。
「お前も可愛いって言うのか? ちえっ。格好いい方がいいのになー」
騎士団の奴らも俺専属の侍女たちも、皆俺を見て可愛いと言う。いや、俺四英傑のひとりだからな? と言っても、皆「分かっておりますよ!」と頬を赤らめてニコニコするだけだ。絶対分かってねえ。
「……俺、格好よくない?」
上目遣いで門番を見ると、門番が俺を見下ろしながらゴクリと唾を呑み込んだ。
「滅茶苦茶格好いいです!」
なんか嘘っぽい。まさか気を使ってる? なんか皆英傑に幻想を抱いてるみたいだから、可能性はあるぞ。
「……本当?」
「はい! 嘘じゃありません!」
ブンブンと頭が取れそうなほど肯定する姿を見て、「こいついい奴そうだなー」と思い始める。興味がむくりと湧いてきた。
「お前名前は?」
「アルバンでございます!」
「じゃあアルバン、俺の友達になって?」
「はい! ……えっ」
アルバンと名乗った赤髪の青年は、途端にワタワタし始める。笑ったと思ったら頭を抱えたり口を押さえたと思ったらまたにやついたりして、大丈夫だろうか。
アルバンに対する気持ちが、一気に親身なものに変わった。頭を撫でて落ち着かせてやりたい。最近誰の頭も撫でてないし。
「……俺、友達いないんだ。騎士団の食堂でも皆遠巻きにして見ててさ。寂しいんだよね」
アルバンは緑の目を大きくした。まだ若干幼さは残るし四英傑に比べたら遥かに劣るものの、男らしくなりそうないい顔をしている。多分、年は俺と近い。くりっとした目が愛嬌があるし、くるくると感情が全部顔に出てるし、なんかこいつはいい奴そうだぞ。
「……だめ?」
年齢の近い気楽に話せる友だちが欲しい。そうしたら、このカゴの中の鳥みたいな生活も少しは楽しめそうじゃないか。そう思った俺を、誰が責められるか。
「だ、だめなんてありません!」
真っ赤な顔のアルバンが、叫ぶように答える。
「じゃあ敬語なしね」
「へ」
「俺のことはファビアンって呼び捨てね」
「ま」
「ご飯一緒に食べない? ひとりで食べるの寂しいんだよね」
「ふわ……っ」
畳み掛けるように言うと、口をぱくぱくしていたアルバンが、やがて真っ赤な顔でこくんと頷いてくれた。
「頭撫でていい?」と調子に乗って尋ねたら、「倒れるからだめです!」と断られた。ちえ。
◇
俺とアルバンは、すぐに仲良くなった。俺がグイグイいく内に、俺はこういう奴なんだと悟ってくれたらしい。ありがたいことだ。
「ファビアン! また抜け出してきたのか?」
呆れ顔に「仕方ないなあ」という笑みを浮かべた赤髪のアルバンが、門番の詰所に勝手に入って座る俺を見て苦笑する。
俺は椅子の上に膝を抱えて小さくなると、下唇を出してぼやき始めた。
「騎士団の奴の剣先がちょっと俺に触っただけで、奴ら大騒ぎし始めちゃってさ」
大丈夫だから! と迫り来るゴツい奴らから逃げ出してきた先が、門番の詰所だったという訳だ。誰かが通る時は俺は詰所の中に隠れているので、多分俺がここで管を巻いていることはまだバレていない筈。
「えっ!? 怪我したの? 見せて!」
血相を変えたアルバンに、腕の小さな切り傷を見せた。アルバンは「……これだけ?」と呟く。俺も同意見だ。
「あいつら、俺を何だと思ってんだか。剣聖だぞ?」
俺が不貞腐れた顔をすると、アルバンがあははと笑いながら俺の銀髪を撫でる。気持ち良くて、俺は瞼を閉じるとアルバンの手の温もりに集中した。
アルバンは俺が頭を撫でたいと言ったら「無理。鼻血出して倒れる」と言ったけど、「じゃあ撫でて」と言ったら、アワアワしながらも撫でてくれた。
以来、俺が不貞腐れるとこうして撫でてくれる。――クロードの手を思い出させる撫で方は、嫌いじゃなかった。
「……あっち、戻りたくない」
どうせ騎士団長か副団長あたりが、俺の部屋の前で待ち構えてるに違いないから。
俺の頭を撫でながら、アルバンが囁くような声で尋ねる。
「……もうすぐ当番終わるけど、俺の部屋に来て飲む?」
「えっいいの!?」
顔を上げると、アルバンが何故か眩しそうに俺を見つめていた。最近こいつは時折この顔をしている時がある。どういった意味なんだろうか。
「……いいよ」
「やったー!」
そうして俺はアルバンの背中に隠れながらアルバンの部屋に行くと、今日に限って何故か緊張した表情のアルバンと酒を酌み交わし始めた。
18
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?


【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる