勇者に執着されて絶望した双剣の剣聖は、勇者の息子の黒髪王子に拘束されて絆される

緑虫

文字の大きさ
上 下
4 / 89

4 催淫の呪い※

しおりを挟む
 ズクズクと、身体の内側から熱いものがせり上がってくる。俺は痺れた身体を懸命に捩った。

「ふ、ふ……っ、苦しい……っ、熱いよ」

 涙目で、俺を抱きかかえているロイクに助けを求める。

「ファビアン、ああ、どうしよう……っ」

 ロイクはワタワタとしていた。そりゃそうだという冷静な自分が一瞬だけ現れたけど、すぐに思考は「この疼きを早く何とかしないと」という考え一色に染まる。

 俺はまだ若くて、童貞だった。溜まったら出すのは割と事務的な作業で、水浴びをする時に抜く程度。そもそも魔物と戦ってばかりいる毎日で、色気もなにもあったもんじゃない。

 だから俺の自慰は恋愛や性的には直結してなくて、あくまで生理的な現象を収める為にしていただけだ。

 だから、こんな身体の疼きは――経験がない。

「ふ、あ、熱い……っ! 痺れて身体が動かないよ……っ!」

 だから俺は今の自分の状態が分かっていなかった。身体中がゾワゾワして、ロイクと触れ合っている肌が擦れるだけでビクンと跳ねてしまうのだ。なんだこれ、俺、なんかやばい状態になってるぞ。

「ど、どうしよう……! ええと……っ」

 日頃は冷静沈着なロイクが、とんでもなく困った顔をして慌てている。悪いなとは思ったけど、俺もどうしようもない。

「熱い、痛い、脱ぐ、服脱ぐ……っ」
「え、あっ」

 身体が殆ど言うことを聞いてくれないので、俺は熱いだの苦しいだの言うだけだ。勝手に涙が目尻からこぼれ落ちていった。

「ロイク、脱がせてえ……っ」

 は、は、と荒くなっていく熱い息を繰り返していると、ロイクの挙動不審げに彷徨っていた目線が段々と俺に定まっていく。

「……ん、分かった」

 ロイクは眉をきりりとさせると、俺の脇を抱えてロイクの胡座の上に乗せた。俺がもたれる形になると、「ふう」と息を吐いてから、俺の下穿きの腰紐を解き始める。

 ガチガチに勃ってしまって服が擦れて痛いから、服から出せば少し落ち着くんじゃ。そんな気持ちから言った言葉だったけど。

 ロイクは両手で俺のガチガチに勃ち上がった雄を取り出すと、そっと包み込んでゆるゆると扱き始めた。――え、何やってんの?

「あ、あの、ロイク?」
「うん、大丈夫だから」
「……んあっ!」

 ロイクの親指がカリの溝をぐりっと押すと、これまで一度も出したことのない甘ったるい声が俺の口から飛び出す。待って、これ滅茶苦茶気持ちいいけど、自分でやるのと全然違うんだけど!

 だけど、この状況は果たしていいものか。シュコシュコと休みなく動くロイクの手のひらは、ちょっと硬くてそれがとんでもなく刺激的で気持ちいい。でもさすがに拙いぞ!

「え、あっ、ちょっと、ま、待って……っ!」

 俺の雄の鈴口から滲んできた透明の液体がロイクの手を濡らし、上下に擦られる度にぐちょぐちょと音を立て始めた。痺れている筈なのに、腰だけが前後に小さく揺れる。

 ふ、ふ、と耳にロイクの熱い息が吹きかかり、ゾクゾクゾクッと快感がつま先から頭頂まで駆け抜けていった。

「あ、いやっ! 脳みそ溶けちゃう……っ!」

 ロイクは俺が動けないから、それで協力してくれているんだ。分かってはいるけど、勇者にこんなことさせられない!

「だめっ、あっ、んっ、ロイク、ちょ……っ!」

 どんどん激しくなる手の動きに揺さぶられながら、俺は賢明に首を仰け反らせロイクの目を探す。こんなこと、やめさせなくちゃ。状態異常をオリヴィアに治してもらえば、それで終わる筈なんだから。

「ロイク、あの、オリヴィアに状態異常をっあっあぅっ」

 何とか言いたいことを口にした瞬間、ロイクと目が合った。真っ青な瞳には、常にはない熱っぽさが窺える。……え、なんで?

 と、俺のケツに何か固いモノがゴリッと当たったじゃないか。え? と目を見開くと、ロイクは目を細め。

「……俺も死霊に触れた」
「え」
「このまま戻るのはアレだろう?」

 ロイクの形のいい唇が、俺の耳たぶを食んだ。え? えええ!?

「えっ!? でもさ、恥を忍んでオリヴィアに……っあ、あ、ああっ、ま、んんっ!」

 ロイクの手の動きは更に激しくなり、もう今すぐにでも出ちゃいそうだ。

「ロイクッ! ま、イッちゃいそう! ああっ!」
「声が大きいとバレるかもしれないよ」
「ふえっ?」

 日頃は穏やかなロイクが獣みたいな目をしたと思ったら、もう片方の手で俺の顎を鷲掴みしてロイクに向かせる。

「……ファビアン、可愛い」

 低い声で呟いた後、ロイクは噛みつく様な勢いで俺の口を奪った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...