魔法使いは退屈な商売

小稲荷一照

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四十三週目

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 七夕の翌週、畑中家の姫たちは極めて不機嫌だった。
 七夕の翌日から慶子が作り始めた大きな透明なアクリル板を全員の短冊で無造作に埋めて、もう一枚の同サイズの板で挟んだ巨大なポートレート――というにはやや無理がある――が慶子からのプレゼントとして光に贈呈されたところまでは順調だった。さり気なく右端に読める位置と角度を占めた、畑中純一の筆になる「一夫多妻」と裏側の右端にある斎夜月の定めた「仲よき事は美しき哉」は慶子の趣味をなにやら直撃したようで、こうやって数多の願いの中で選ばれたことは、本当に一瞬だが菅原道真公におすがりしてよかった、と純一を満足させるものだった。本音を言えばこの共同生活――傍から見たら桃色に包まれたハーレムは純一の精神をキリキリと締め上げ、常識や理性にショート火花を散らしている微妙な花火倉庫ではあったが、幾度かの大爆発の危機を純一は回避している。
 概ねそれは純一のなんとなく諦めきれない自身の常識的な価値観によるものだったり、単なる無駄な仏心によるものなわけだが、それが純一の純一たるを定めるからには、退く訳にも逃げるワケにもいかぬ一本道で、ただ地雷を踏まぬよう、火花を着火させぬように慎重に歩くのみであった。
――今度はなんだったろう。
 原因が純一にあれ彼女たちにあれ、切っ掛けはどうやら純一であることは微妙な渦巻感でわかる。彼女らが切っ掛けであれば純一が仲介して、閨で理由を聞いてやればだいたい二日三日で表面上は収まった。
 ストッキングを勝手に履いて破っただの、貸した教科書にメモして返しただの、ノートの落書き消しやがっただの、冷蔵庫のオヤツがないとか、買い置きのトイレットペーパーを使い切ったの報告しないだの、風呂場の脱衣所のゴミ箱に……。いやもう、当然のように細かな諍いは段々に増えてきていた。それはお互いの存在に慣れ始めて、多少ともダラシない部分を晒し始めた油断というか甘えのようなものなので、純一は面倒とは思ったが不愉快と厭う程ではなかった。
 かくいう純一も玄関先に靴をあふれさせて放置した結果、人には手足は六本ございません、ございましたら楽しいのでしょうけどね、と未来から小言を受けていた。そういう夜はお互いサービス満点なので、それはそれでいいのだが、今週のソレはなにやら純一が彼女らの不文律に触れたような雰囲気だった。
 ハーレムといえば聞こえはイイが、要するに集団カウセリングの素人ホストでマネージャーみたいなものだ。と、何度目かの想いに至ったが、未だにその役割を投げ捨てていないならば、その職務に忠実たるを純一は自らに貸した責務として受け入れて、ならば、と腹を据えて尋ねることにした。
「みんながナニに怒っているのか、そろそろ教えてくれ。考えてはいたんだが、俺には分からん」
 慶子の作品の「一夫多妻」の文字がひっくり返ったまま掛けられたイーゼルを眺めて、純一は切り出した。
 どうやら、四人の間でも緊張のレベルは微妙に違うらしく、温度が高いのは紫、温度が低めなのが未来、少し絶望的なのが光で、納得いかずに立場を決めかねて居心地悪そうにしているのが慶子だった。
 全員を呼び集めてリビングに腰をおろさせるときの態度でなんとなく純一は察した。
「そんなにあの女に媚びるほどなら、私が面倒みるから。計画留年してもいいし、大学院に進んだっていいんだよ」
 紫の発言は今ひとつ要領を得ない。が、どうやら焦点は金城基女史であるらしい。たしかに彼女は強引な方法で純一の能力査定をおこない、純一はこの場の全員の協力を得た。結果として純一はあの場で貰った解答例――仕事の合間に一日でやっつけたものと思えない出来の――と紫が封筒の匂いを確認してしかめっ面で鼻を鳴らした採用内定通知書を金城女史からうけとったわけだが、その件で言いたいことがあるらしい。そう純一は思った。
「あのな、先週でインターンシップは終わって今週はもうないんだぜ」
 純一は噛んで含めるように、紫に言った。
「でも、就職うまくいってないじゃん。いちおうは私たちは決まったけど」
 紫の言うとおり、外資系の保険会社だったり、商社だったり、通信機器メーカーだったり、ともかく三人とも内定は確保していた。
「俺だってちゃんと決まってるじゃんか」
 ナニをバカなことと、純一は反論する。
「でも、あの会社も前に内定者を一部取り消したことあるの、私たちも調べたの」
 光がそう言った。そのことは純一は知らなかった。
「エスっぽいお局に純一さんがイジメられるのはとても嫌だし、そんな人に媚びてまで内定を守らないといけないなんて、私は嫌なの。あの面接会で犯人見つけて追っかけだしたの私だから、責任は感じるけど、そしたら今年はやめてまた就職活動しよ?光ちゃんもいるし、ね?」
 そんな風に慶子が言った。
「まてまてまてまて、つまりナンダ?俺が内定を破棄されるかもしれないと、そう思って金城さんに媚を売っている。と?そういう流れで機嫌が悪かった、のか?」
「新しいメス犬が欲しいとか、そういうことならコチラの不徳なので口にもしませんが、たかが就職でどこぞの女にアルジサマが振り回されるということなら不愉快です。私はあまり心配もしていませんが機会をいただいたので伺いたくはあります」
 硬く口上を斬った未来の言葉に、一日八時間残業しているオフィスでオフィスラブってどんな頭の悪さだよ。と、純一は思った。が、なぜ彼女らがそんな風に思い至ったかが分からなかった。
「すまん。なんだか、勘違いをさせたことは分かった。だが勘違いさせたポイントが分からん。俺がナニをしてそう思ったんだ」
「靴買ったでしょ」
 純一が確認をすると、紫が問いかけた。
「うん」
「金城さんに贈ったでしょ」
「うん。あぁ~」
 考えてみれば、純一の部屋にはプライバシーはないことを思い出した。
「ひょっとして、あの靴の件を皆知ってて、機嫌悪かった?」
「ちゃんと説明して」
 紫が代表するように強く言った。
「ちょっと待ってろ。なんで金城さんに靴をプレゼントする気になったかちゃんと説明して教えるから」
 純一は自分の部屋に投げ出した鞄から公共料金などの大きさの封筒を持って戻ってきた。
「先々週、コレを金城さんから貰ったんだ。本当は週末、光の講義が終わってからって思ってたんだけど、まぁいいや。で――」
 と、工場棟を颯爽と歩き回る金城女史の姿に、工場の人々があまりに颯爽としすぎているので金城女史の危険を心配していること、静電靴は持っていること、この封筒の中身が年内いっぱい使える保養施設の利用パスで家族や同行者は無料かそれに準じる値段になること、靴はたぶんあれば使うだろうし使わないならそれはそれで仕方ない。
 いちおうポリカーボネートでつま先と靴底は裏打ちされているし足首も守るハーフブーツでビブラム底、本格的な安全靴ほどではないけど工場の床にヒールを刺してとられることもないだろうし、滑らないですむ。そんなお得なものをバイク用品店で見つけてヘルメットと一緒に買った。ちなみにポイントがあったんで花束の十分の一くらいの値段だった。
「というわけで、保養施設のパスを貰ったお礼には丁度いいかなと、そう思ったんだ」
 純一は四人の顔を確かめつつそう言葉を切った。
「私は順当な判断と思います。就職の件はともかく」
 未来がそう純一の判断を認めてそう言った。
「私もタダで貰うには少し色々良すぎる気はする」
「私は夏休みココ使って皆で行くっていうなら、許すってか、結構いいところが多い。あーこのジェットコースター乗りたいな」
 パスと一緒に入っていた利用できる施設の一覧を見て光と慶子が言った。
 純一が紫に視線を向ける。
「本当になんか言われたりヤラレたりとかじゃないの?私たちのこと盾にとられたりとか」
 紫は少し意固地にそう言った。
 一瞬、金のガチョウ云々が純一の頭を過ぎったが、それも笑えた。
「ぜんぜん。一緒に働きたいとは言ってくれたけどね。あと企業説明会で暴れたことも心配してくれた。――正義の味方がすきならそれもいいってさ」
 純一の言葉に紫は渋々納得した。
 とりあえず、月末か来月頭か、まずはドコに行くか、というような話で少し盛り上がりを見せて、その場の危機は去った。
 翌日にはイーゼルは「仲よき事は美しき哉」が順当に読めるように置かれていた。


「旅行ですか~。いいですねぇ。あ、うん、私は仕事なので、事務所にいますが。いってらっしゃい」
 タンブラーグラスにスフィアに削った氷を浮かべたアイスコーヒーを飲みながら、斎夜月が裁判所帰りの純一に言った。
 仕事ったってなぁ、と純一は思ったがさすがに口にはできない。思い起こせば夜月がココでダラダラしてくれているおかげで少なくとも直接三度は助かったことになる。理由を聞けば他に仕事もないから、くらいの答えが返ってくるはずでバカバカしいので純一は聞いていないが、夜月に対してそのくらいの信頼を置いている。ので、純一は夜月を誘うようなことはしないでいいかと思った。
 どうせ夜はナニをしているか分かったものでもない。そういえばエイプリルフールのあとに、また夏休みに、とか言ったような気もする。純一はそんな桃色思考に浸っていた。
「そういえば、月末は最初の公判手続ですねぇ。最初の裁判。お盆前にバタバタ進めておこうって裁判所の都合でけっこう大変ですけど、その辺は聞いています?お嬢さん方は水本先生を代理人に立てているから問題ないですけど、畑中さんはそうもいきませんよ」
 至極効果的に、夜月は釘を刺し純一の妄想を打ち砕いた。夜月に言われてみれば、今月すでに五日も純一は裁判所にいた。今月がまだ十日あまりであることを考えると、平日は殆ど全て裁判所に足を向けたことになる。
「そういえば聞いておこうと思ったんですけど」
「なんです?」
 純一の問いに夜月は応じた。
「民事裁判って意味あるんですか」
「あーうん。……また、アレですねぇ。こういうぅ、探偵業をしている人間には答えにくいことを聞きますね」
 夜月は渋い顔で笑って言った。
「――まぁ、民事不介入が原則というか建前の警察に代わってそのあたりを調査するというか、調整するのが日本の探偵の基本業務です。損害賠償命令制度ができてからはだいぶマシですが、警察が刑事裁判のためにだいたい独占しちゃいますし、刑事裁判に絡まない場合は一般の人にマトモな意味の有るほどの証拠を集める時間はありませんからね。結局は民事裁判を起こす価値があるのかどうかを確認するのが、日本の探偵の裁判における業務の殆どと言ってもイイですね。ですから、民事裁判が無意味といわれるとアレですが、畑中さんの言っていることは分からないでもないです。
 つまり、強制力がないんじゃないか、という質問ですね」
 夜月は少し言いにくいところを少しづつ絞るように言った。
「ぶっちゃけ言えばそういうところです。たとえば三千万払えっていう判決が出ても個人相手だとそこまで資産がない可能性もありますよね。警察みたいな組織力もないから請求を逃げまわって支払わないケースもあるかもしれない」
 夜月は純一の指摘を面白そうに聞いていた。
「――あるいは、タチの悪いのだと、この間のレールガンのケースみたいに逆恨みをしてくるかもしれない。個人の犯罪相手だとどうにも意味がないような気がします」
 夜月は純一の疑問というか整理した問題を冷えたコーヒーを飲みながら聞いて
いた。が言葉が切れたことを確認すると、タンブラーをテーブルに置いた。
「他にも、刑期期間中の問題もあります。実際に犯罪者の多くは素寒貧です。刑期を終えてもマトモな職につくことは困難で、特に今回のように若い年齢で長期の刑期を食らうと手に職も学も伝手も充分にない状態で社会に放り出されるわけですから、なかなか困難といえます。ですので多くの場合、民事の賠償請求は空手形になるケースが多いといえます」
「そしたら――」
 口を開いた純一を押しとどめた。
「ですが今回のケースは比較的勝算があります。ひとつには大学まで進んだ子供を救うつもりがある親御さんがいること、さらにはその親御さんがそこそこの資産家であること、このへんは加害者筆頭の市川県議の息子の人選に感謝するべきでしょうね。最後には……、まぁ私が探偵で畑中さんのことを高く買っているから、ということにしておきましょう。奥の手なんであんまり晒したくもないですし。……あ、そういえばヘルメット買い換えたみたいですね。水本先生のところに領収書回しておくと、部屋荒らされた時みたいに返ってきますよ。で、畑中さん夏用のダークスーツって持ってますか?」
 話の見えない純一が首を振る。
「あーうん。三ヶ月どころか半年経っちゃったしなぁ。まぁでも、これからも夏にも葬式やら結婚式もあるでしょうし、一揃え買っておいた方がいいと思います。ワイシャツもクールビズの背中が薄目のヤツが今の季節にはイイですね。もちろん長袖ですよ」
 夜月は純一の服装のプロデュースを始めた。
「裁判はやっぱりダークスーツがいいですか」
「口頭弁論はそれがいいでしょうねぇ。リクルートスーツも若者らしくていいですが、いつぞやの被告みたいなジャンパーやらブルゾンやらで、バランバランだと裁判ナメてるみたいに見られますしね。……あーうん。まぁそんな感じで」
 夜月は必要なことは言ったとタンブラーのコーヒーで喉を湿らせる。
「でも、聞いてたのよりも裁判の進みが早いような気がするんですが」
 純一はなんとなく話題をすり替えられた気持ち悪さは感じたが敢えてそこは突っ込まずに切り替えた。
「証拠揃ってますからねぇ。給料のタダ取りを狙っても、勝てないんじゃアレですし、三度も証人を消そうとしている事になっているんで、警察っていうか検事も裁判官も心証最悪ですからね。……あーうん、そうそう、畑中さんの件、三件とも傷害でなくて殺人未遂って事になっています。水本先生にしてみれば、笑いたくても笑えない拷問のような裁判でしょう。
 加害者側の弁護団というか被告団が崩壊しないのも、お金が足りないし、勝ち目がないし、寝返られたらナニやられるか分かったもんじゃない、っていう疑心暗鬼もあるでしょう。実際のところ、請求した損害賠償金はほとんど全額認められると思いますよ。今のペースだと、たぶん結審まで一年以内という珍しいスピード裁判になると思います。まぁ、そこからが畑中さんの言うとおり問題なわけですが、まずはこの辺まで、そういうものもあるという程度でいいと思います。今回は少々特殊なので色々楽なのですよ」
 そのことに意味があるのかないのかよく分からなかったが、そういうものなのだろうという程度に純一は納得した。


 帰って純一が裁判の話をすると、ああそんなモノもという反応だったが、お盆休みは大丈夫であとはドコだろう、シルバーウィークも大丈夫、等と、却って妙に詳細なスケジュールを女たちは始めた。
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