【完結】勇者はクズの自覚がない~「私の価値も分からない男と、一緒にいるつもりはないわ!さようなら!!!」から始まる旅~

鬼ヶ咲あちたん

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6話 コボルトの舌

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「くっ、見つかってしまった! なんたる不覚!」

「しゃべった!? さては、魔物か!?」



 コボルトは捲し立てながらも、股間をぺろぺろ舐めるのを止められないようだ。

 何がそんなにもコボルトを惹きつけるのか。

 ふと、勇者は自分の下半身から、甘い香りが漂っているのに気がつく。

 立っていたときは気にもしなかったが、座ったら見えるスウェットの股の間に、にじんでいる黄金色のシミには思い当たる節があった。



「これは……大根がぶちまけた、ゲロ?」



 マンドラゴラが勇者の激しいイマラチオに耐え切れず、嘔吐した余波がここまで届いていた。

 最も吐しゃ物がまき散らされた地面を見ると、今やすっかりきれいになっている。

 きっとそこも、このコボルトが舐めたに違いない。

 コボルトは勇者を怖れながら、しかしマンドラゴラの体液の甘い香りに、抗いきれずにいるのだ。



「そう言えば、これに似たプレイがあったな。性器にバターを塗って、犬に舐めさせるという……」



 企画モノのエロ動画を思い出し、勇者の顔がにわかに綻ぶ。

 それにコボルトはぎくりと体を硬直させた。



「逃げようったって、そうは行かないぞ。桃太郎の時代から、旅のお供は犬、と相場が決まっているんだ。お前の実力、確かめさせてもらおう」



 そう言うと、勇者は涎で色が変わったスウェットを、パンツごと脱いでしまう。

 胡坐をかくようにしてコボルトの胴体を脚の間に挟むと、半立ちしていた陽茎をマズルに押しつけた。

 

「さあ、やってみろ! 服の上からだともどかしかったが、直接ならばもっと快感が得られるはずだ」

「くっ、私が舐めたいのはマンドラゴラの体液であって、こんなものでは……」

「ほらほら、甘い香りがするだろう? 大根の喉奥まで突っ込んだからな。あいつの汁が、隅々までまとわりついているぜ?」

「くっ、魔物にとって、マンドラゴラの体液は強壮剤……弱肉強食の世界で生き抜くには、ドーピングが必要不可欠……!」



 べろりべろり、とコボルトの舌が勇者の男剣を這いずり回る。

 ちょうど裏筋にあたって、勇者は背をしならせた。

 

「はあああ、ナマに勝るものはない。いくらテクニシャンのデリヘル嬢でも、ゴム越しに舐められたら、心の距離感で萎えてしまうんだ。慣れてない素人の彼女と思えば、犬の拙さが逆に、萌え要素として加味されて……」



 ご満悦の勇者は、コボルトの頭をよしよしと撫でる。



「くっ、不本意だ、こんな扱いは! 我らコボルトは、決して犬ではない!」

「なに吠えてんだ、負け犬の分際で。うだうだ言ってないで、もっとケツの穴までぺろぺろしろ」

「くっ、屈辱だ!」

「犬は『くっ殺モノ』でもあるのか。ドすけべだなあ、ニッチな性癖てんこ盛りかよ」

 

 気分が乗った勇者は、右手で己の陰嚢を揉みこむ。



「そろそろ出しそうだ。おい、口を開けろ」

「くっ、勇者の精液は、無理だ! それは、私には強すぎて……!」

「俺を満足させたら、栄えあるパーティメンバーになれるんだぞ。そら、頑張れ!」

 

 最後の仕上げとばかりに根元を扱き上げ、勇者が息を止めて白い粘液を発射する。

 それが、嫌がるコボルトの口元へかかった瞬間――。



「ぎゃいいん! くっ、ここまでの聖力とは……っ!」

「身悶えてないで、舐めてキレイに掃除してくれ」

「くっ、昇華されて、しまう……わん! わ、わん! ……っ、わお~ん!!」



 流暢に話していたコボルトの声が、ただの鳴き声になってしまった。

 勇者がこてんと首をかしげる。



「なんだあ? 急に犬みたいに吠え始めて、どうしたんだよ」

「わ、わう! わん、わん、わわん!」

「何を言ってるのか、全く分からねえ……」

 

 一体、コボルトに何が起きたのか。

 先ほどより、少し小さくなった犬の前脚に手をかけ、勇者は目の高さまで抱え上げる。



「ちゃんとしゃべろよ。さっきまでは出来ただろう?」

「う~、わん! わんわん!」

「それじゃ、まんま犬じゃないか! 俺が求めているのは、そういうのじゃないんだよ!」

「わお~ん! わうわう!」



 コボルトがこうなる前、勇者の精液は強すぎるだの、聖力で昇華されるだのと言っていた。

 それらを繋ぎ合わせて考えると、なんとなくの答えは見えてくる。

 

「マジかよ……退治するつもりはなくても、俺の精液をかけたら、魔物じゃなくなるっていうのか?」
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