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2話 カノンちゃんの尻

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「普通はもっと、何かあるだろ? 勇者しか使えない御大層な剣とか、キレイどころが揃ったパーティとか」



 くそっと呟きながら、勇者は道なき道を行く。

 異世界へ召喚されたときに、勇者の肉体は作り変えられたそうだ。

 少々の傷はすぐに塞がり、腐った水を飲んでも腹を壊さない。

 

「頑丈なだけが勇者の取り柄なんて、脳筋かよ。しかも俺、ぼっちじゃねえか」



 単身で魔王城へ乗り込むように言われたときは、開いた口が塞がらなかった。

 装備や食糧も一切用意してもらえず、追い立てるように国境から放られ、ただひたすら北へ進むだけ。



「道中で出会った魔物を倒し、雪山にある魔王城に辿り着いたら、聖力で魔王を昇天させよだって? 上層部のやつらが、口先だけで指図をするのは簡単だよな。下々の現場で働く俺たちがどれだけ大変か、その苦労を知らないんだからよ」



 よっこらしょ、と勇者は倒木を跨ぎ、垂れかかる蔦を避ける。

 まるで使い捨ての駒だと思ったが、あながち間違いではないのかもしれない。



「あいつらきっと、ラスボスの魔王を倒す勇者が現れるまで、延々と召喚の儀式ってやつを繰り返すんだろうな」



 いいように消費される勇者という立場に、胸糞の悪いものを感じて、足元にあった小石をがつんと蹴る。

 忌々しいという気持ちが、かなり込められたその石は、思ったよりも勢いよく飛んでいった。



 そして――放物線を描いた先で、何かに当たる。



「きゃ! 痛いじゃない! 誰よ、石なんて投げつけてきて!」



 勇者は異世界に来て、初めて魔物と遭遇した。

 ひょっこり、と木陰から現れたのは、ピンク色をしたゼリー状の軟体だ。



「おお~! これは俺でも名前を知ってる有名なやつじゃないか。お前、スライムだろう?」



 何の警戒心もなく、勇者はスライムに近づいた。

 そして、手のひらサイズの丸いスライムを、むんずと鷲掴む。

 目の高さに持ち上げ、蠢く様子を眺めていると、ピンク色のスライムがきゃんきゃんと喚く。



「乱暴は止めなさいよ! それがレディに対する扱いなの!?」

「メスなのか。スライムに雌雄があるなんて、知らなかったな」

「ちょっと、指で突かないで! なんだかビリビリするわ!」

「魔物には無敵って、こういうことか?」



 優男風味の神官から大まかに、体質についても説明されていた。

 とにかく勇者は強い。

 それも魔物に対しては、ほぼ敵なしだと言う。

 攻撃の意志を持って対峙するだけで、弱い魔物なら勇者の聖力にやられてしまう。

 

「でも魔王城にいる強い魔物は、手ごわいから気を付けろって忠告してくれたな。そんなやつらを、俺がどうやって倒せるってんだよ? なにか聖力を増強する裏技でもあんのか? ……もしかしなくても、これまでの勇者は、そこで死んでるんじゃないだろうな?」



 嫌な予感にげんなりとする勇者は、握っているスライムを、無意識にもみもみと揉みこむ。

 その程よい手触りが、ささくれた勇者の心に、思いがけない癒しをもたらした。



「……カノンちゃんの尻に似ている」



 デリヘル嬢カノンちゃんは人気があるため、予約を入れたくても、なかなか指名できない。

 だが、その尻が今、勇者の手中にあった。



「ちょっと試してみようか。このところ、真面目に北に向かって歩くばっかで、ご無沙汰だったしな」



 いそいそとスウェットのズボンをパンツごと下げると、勇者は陰茎にスライムを押しつけた。



「ぎゃあああああ! 何をするのよ変態!!」

「はあ、たまらんな。もにゅもにゅと柔らかく、丸ごと包まれるようで、まんまカノンちゃんの桃尻じゃないか」



 ぐりぐりと押しつけては、腰を前後に小刻みに揺らす。

 スライムの体は「く」の字に折れて、勇者の立ち上がった肉棒を、むっちりと隙間なく挟み込んでいた。



「あ、あ、これはすぐにイク……なんて心地よさだ。極上品だ。ぅうう、出るぅ!!!」



 重たく揺れていた陰嚢から、尿管を通って濃い精液が迸る。

 亀頭までスライムで覆っていたため、そのまま白濁をぶっかけた。



「ちょっとおおおおぉっ! 汚いじゃない!!!」

「カノンちゃん、きれいに掃除してくれ」

「誰よ! カノンちゃんって!」



 スライムの性質なのか、勇者が塗りつけているうちに、白くてドロドロしたものは、その体内へ吸収されていく。

 透き通ったピンク色のスライムだったが、勇者の精液を取り込んだ部分は、消化不良を起こしたように濁っていた。

 

「イヤアアアアアァ! 変なもの私に混ぜないで!」

「美味しいだろ?」

「美味しい訳ないでしょ!!!」



 スライムの使用感があまりに気に入って、それから立て続けに8発も抜いた。

 どうやら勇者の体は、屈強に作り変えられた際、性欲絶倫にもなったようだ。
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