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八話 始まる歓待の宴
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ブルーベル王女歓迎の宴は、日没から始まった。
高位貴族たちが見栄を張りあって装飾した会場内は、あふれんばかりの光がシャワーとなって降り注いでいた。
言葉通り、セオドアさまには眼に毒ね。
ソフィアはなるべく早く計画を実行に移せるよう、控え室へと足を急がせる。
灰色のまざったピンク色のドレスを着たソフィアに、「今度は何に擬態しているの?」と聞くシンデレラを連れて。
護衛についてくれたシンデレラには、騎士のかっこうをしてもらった。
見た目で敵が怯んでくれるなら幸いだと思ったからだ。
シンデレラは期待しているようだが、ソフィアはなるべくなら争いになることは避けたい。
だって、ほら、シンデレラの得意技は噛み付きだし、流血沙汰になりそうでしょ?
決してシンデレラが心配なのではなく、血が苦手なだけなんだからね!
ツンデレになりかけたソフィアの前に、配慮を無駄にする輩どもが現れる。
「ソフィアさま、今夜の宴への参加はご辞退されてはどうですか?」
高位貴族たちだ。
しかも面倒なことに数人に囲まれた。
「そうですぞ、せっかくブルーベル王女が王子殿下と二人きりで語らう機会だ。ここはお邪魔してはいけませんよ」
「なに、ほんの数刻、どこかの部屋に引きこもっているだけでいい」
「ブルーベル王女が本気で落としにかかれば、落ちない男などいないのだから」
「ディランシア王国でのブルーベル王女の武勇伝は、有名なんですよ」
「そうそう、お淑やかな容姿とは裏腹に、男性に対して積極的なんだそうで」
下卑た笑いをする醜い高位貴族たちの顔を、ソフィアがひっぱたいてやろうかと手を振り上げる前に、その顔がひしゃげていた。
え?
しかもソフィアを取り囲んでいた全員が、すでにうずくまっている。
何があったの?
「手ごたえなかった~。もっと骨のあるやつはいないの?」
両手をブランブランさせているシンデレラ。
え?
もしかしなくても殴った?
そっとシンデレラの装着している手袋の甲を見ると、血がついているではないか。
見渡すと、鼻血を出している公爵がいる!
いやあああ!
流血沙汰!
「シ、シンデレラ! どうして殴ったの!」
「ソフィアに危害を加えそうな気配がしたら、即座に殴っていいってレオが言ったんだもん」
「さっき危なかったのは私じゃなくて、私に叩かれそうになっていた公爵の方よね!?」
「そうだった? ちょっと手袋の具合を確かめたかったのよね」
シンデレラは嬉しそうに手袋の説明を始めた。
どうやら今回の護衛にあたり、特別に支給された仕込み手袋で、甲にナックルがはめ込まれているらしい。
外側からは見えないので、殴られた側は想像以上のダメージにビビるのだとか。
まだ威力を確かめ足りないのか、シンデレラがシャドーボクシングを始める。
レオさん?
こんなの野放しにしていいの?
「取りあえず、殴ってしまった高位貴族たちはここに捨ておきましょう。私たちは控え室へ急がないと」
「後からレオが適当な罪状つけて連行するって言ってたよ。逃げられないように手足だけ縛っとこうか?」
シンデレラは、高位貴族たちがこの日のために用意して着飾ってきたであろうタイやベルトを容赦なく剥ぎ取り、キラキラしい手かせ足かせとして再利用していくのであった。
ソフィアを排除したがるだろうと予想はしていたので、シンデレラがいてくれて助かった。
やりすぎた感はつきまとうが。
縛り終えたシンデレラを伴い、ソフィアは重要人物が待つ控え室へ急ぐ。
控え室ではグレイスとその夫君の貿易商がソフィアたちの到着を待っていた。
「わお! なんなのそのドレス!」
シンデレラは口をつぐむことを知らない。
出会い頭に挨拶もすっ飛ばし、グレイスのラスボス感が漂うドレスを評する。
「ふふ、これはまだ試作品なのだけど、それでも充分にシンデレラの目を見張らせるだけの効果はあったようね」
「麗しのグレイス、君は何を着ても美しいよ!」
完全にグレイスの太鼓持ちと化している夫君を見て、グレイスはどこにいてもグレイスだなと、ソフィアは妙に納得した。
今日はグレイスがソフィアの隠し玉となる。
グレイス夫婦には今日のシナリオを伝えてある。
「ようやく私が注目の的になる機会がやってきたわね! 存分にお披露目してあげるわ、この私の美しさをね!」
披露して欲しいのはドレスなのだが、ここでグレイスの機嫌が悪くなるのは面倒くさい。
「グレイス、その調子よ。高らかにお願いね!」
「分かっているわ、誰にも私を止められないわよ!」
夫君に美しいだの何だの称えられながら、意気揚々と会場へ向かうグレイスとソフィアたち。
さあ、決戦はすぐそこだ。
輝きの嵐となっている会場へ着くと、ソフィアはすぐにセオドアさまを探した。
きっと目が死にかけているはずだ。
ソフィアが保養所にならなくては!
「ソフィアさまがいらしたわよ、どうなるのかしら?」
「もう3曲も続けて踊っていらっしゃるのよ、王子殿下のお気持ちはブルーベル王女に傾いだのではなくて?」
「あんなに胸を押し付けられては、男性は嫌な気はしないでしょうしね」
「まあ、見て! お顔まであんなに近くに寄せられて!」
ソフィアの姿を見つけてヒソヒソ話を始めていた夫人たちだが、だんだんそれを隠す様子もなくなっていく。
その視線の先へ、ソフィアも目を向けた。
会場の中央で、まわりを圧倒して踊る二人がいた。
いずれも劣らぬ麗人同士、華がある。
ブルーベル王女は徹底してベージュ色のドレスだが、たっぷりと付けられたレースには輝石があしらわれ、ミラーボールのようだ。
それがクルクル回っているのだから、セオドアさまの苦痛や計り知れない。
ソフィアは即座に助けに入った。
「セオドアさま! お待たせしてしまって、申し訳ありません!」
ダンスホールを取り巻く大勢をかき分け、ソフィアは踊る二人へズンズン近づく。
セオドアさまはソフィアを見つけ、あからさまにホッとした顔をする。
「ああ、待っていた、僕の妖精。こんなところで死んでたまるかと、耐えていた甲斐があった」
ダンスの途中だったが、ブルーベル王女から離れソフィアに駆け寄り、セオドアさまはソフィアにもたれかかる。
きっと頭痛がひどいのだわ。
さっさと終わらせて横になってもらわないと!
「少しだけ休憩させておくれ。すぐに回復してみせるから」
「セオドアさまはどうぞこのまま、ゆっくりされてください。制裁は私が執行します」
キリリとした顔をしてみせたつもりだが、セオドアさまの目には初々しく映ったようだ。
口元を緩め、孫娘を見るお爺ちゃんのような顔をしている。
愛が駄々洩れだ。
「ちょっと、どういうことですの? ソフィアさま、ダンスの途中に割り込むなんて礼儀に反するのではなくて?」
お淑やかと噂のブルーベル王女は、ソフィアの登場に尖った言葉を投げつける。
あらあら、本性が隠せてないですよ。
おそらくソフィアが足止めされて、宴には欠席すると高位貴族たちには聞かされていたのだろう。
その間にセオドアさまを『積極的に』篭絡するつもりが、こうして邪魔をされたのだ。
しかし頭に来ているのはソフィアも同じこと。
「ブルーベル王女、礼儀知らずはどちらかしらね? 婚約者でもないのに続けて3曲もダンスを踊るなんて。ディランシア王国ではあばずれとして有名なんですって? あなたの取り巻きの公爵さまが教えてくれたわよ?」
まあ、あばずれ? という囁き声が、さきほどの夫人たちから聞こえる。
聞こえるように囁くのが貴族のたしなみなんだろう。
その囁きはダンスホール中に広がっていく。
「何を言うか! ディランシア王国とブルーベル王女に対する不敬であろう!」
高位貴族の集団から、侯爵が飛び出してくる。
ここまで金をかけてお膳立てをしたのだ。
台無しにされてはたまらないと、いきり立っている。
しかしイキリにかけてはこちらの方が勝っている。
なにしろソフィアの後ろにはシンデレラが控えているのだ。
目にもとまらぬ早業で、ソフィアの隣をシンデレラの残像が駆け抜けていった。
高位貴族たちが見栄を張りあって装飾した会場内は、あふれんばかりの光がシャワーとなって降り注いでいた。
言葉通り、セオドアさまには眼に毒ね。
ソフィアはなるべく早く計画を実行に移せるよう、控え室へと足を急がせる。
灰色のまざったピンク色のドレスを着たソフィアに、「今度は何に擬態しているの?」と聞くシンデレラを連れて。
護衛についてくれたシンデレラには、騎士のかっこうをしてもらった。
見た目で敵が怯んでくれるなら幸いだと思ったからだ。
シンデレラは期待しているようだが、ソフィアはなるべくなら争いになることは避けたい。
だって、ほら、シンデレラの得意技は噛み付きだし、流血沙汰になりそうでしょ?
決してシンデレラが心配なのではなく、血が苦手なだけなんだからね!
ツンデレになりかけたソフィアの前に、配慮を無駄にする輩どもが現れる。
「ソフィアさま、今夜の宴への参加はご辞退されてはどうですか?」
高位貴族たちだ。
しかも面倒なことに数人に囲まれた。
「そうですぞ、せっかくブルーベル王女が王子殿下と二人きりで語らう機会だ。ここはお邪魔してはいけませんよ」
「なに、ほんの数刻、どこかの部屋に引きこもっているだけでいい」
「ブルーベル王女が本気で落としにかかれば、落ちない男などいないのだから」
「ディランシア王国でのブルーベル王女の武勇伝は、有名なんですよ」
「そうそう、お淑やかな容姿とは裏腹に、男性に対して積極的なんだそうで」
下卑た笑いをする醜い高位貴族たちの顔を、ソフィアがひっぱたいてやろうかと手を振り上げる前に、その顔がひしゃげていた。
え?
しかもソフィアを取り囲んでいた全員が、すでにうずくまっている。
何があったの?
「手ごたえなかった~。もっと骨のあるやつはいないの?」
両手をブランブランさせているシンデレラ。
え?
もしかしなくても殴った?
そっとシンデレラの装着している手袋の甲を見ると、血がついているではないか。
見渡すと、鼻血を出している公爵がいる!
いやあああ!
流血沙汰!
「シ、シンデレラ! どうして殴ったの!」
「ソフィアに危害を加えそうな気配がしたら、即座に殴っていいってレオが言ったんだもん」
「さっき危なかったのは私じゃなくて、私に叩かれそうになっていた公爵の方よね!?」
「そうだった? ちょっと手袋の具合を確かめたかったのよね」
シンデレラは嬉しそうに手袋の説明を始めた。
どうやら今回の護衛にあたり、特別に支給された仕込み手袋で、甲にナックルがはめ込まれているらしい。
外側からは見えないので、殴られた側は想像以上のダメージにビビるのだとか。
まだ威力を確かめ足りないのか、シンデレラがシャドーボクシングを始める。
レオさん?
こんなの野放しにしていいの?
「取りあえず、殴ってしまった高位貴族たちはここに捨ておきましょう。私たちは控え室へ急がないと」
「後からレオが適当な罪状つけて連行するって言ってたよ。逃げられないように手足だけ縛っとこうか?」
シンデレラは、高位貴族たちがこの日のために用意して着飾ってきたであろうタイやベルトを容赦なく剥ぎ取り、キラキラしい手かせ足かせとして再利用していくのであった。
ソフィアを排除したがるだろうと予想はしていたので、シンデレラがいてくれて助かった。
やりすぎた感はつきまとうが。
縛り終えたシンデレラを伴い、ソフィアは重要人物が待つ控え室へ急ぐ。
控え室ではグレイスとその夫君の貿易商がソフィアたちの到着を待っていた。
「わお! なんなのそのドレス!」
シンデレラは口をつぐむことを知らない。
出会い頭に挨拶もすっ飛ばし、グレイスのラスボス感が漂うドレスを評する。
「ふふ、これはまだ試作品なのだけど、それでも充分にシンデレラの目を見張らせるだけの効果はあったようね」
「麗しのグレイス、君は何を着ても美しいよ!」
完全にグレイスの太鼓持ちと化している夫君を見て、グレイスはどこにいてもグレイスだなと、ソフィアは妙に納得した。
今日はグレイスがソフィアの隠し玉となる。
グレイス夫婦には今日のシナリオを伝えてある。
「ようやく私が注目の的になる機会がやってきたわね! 存分にお披露目してあげるわ、この私の美しさをね!」
披露して欲しいのはドレスなのだが、ここでグレイスの機嫌が悪くなるのは面倒くさい。
「グレイス、その調子よ。高らかにお願いね!」
「分かっているわ、誰にも私を止められないわよ!」
夫君に美しいだの何だの称えられながら、意気揚々と会場へ向かうグレイスとソフィアたち。
さあ、決戦はすぐそこだ。
輝きの嵐となっている会場へ着くと、ソフィアはすぐにセオドアさまを探した。
きっと目が死にかけているはずだ。
ソフィアが保養所にならなくては!
「ソフィアさまがいらしたわよ、どうなるのかしら?」
「もう3曲も続けて踊っていらっしゃるのよ、王子殿下のお気持ちはブルーベル王女に傾いだのではなくて?」
「あんなに胸を押し付けられては、男性は嫌な気はしないでしょうしね」
「まあ、見て! お顔まであんなに近くに寄せられて!」
ソフィアの姿を見つけてヒソヒソ話を始めていた夫人たちだが、だんだんそれを隠す様子もなくなっていく。
その視線の先へ、ソフィアも目を向けた。
会場の中央で、まわりを圧倒して踊る二人がいた。
いずれも劣らぬ麗人同士、華がある。
ブルーベル王女は徹底してベージュ色のドレスだが、たっぷりと付けられたレースには輝石があしらわれ、ミラーボールのようだ。
それがクルクル回っているのだから、セオドアさまの苦痛や計り知れない。
ソフィアは即座に助けに入った。
「セオドアさま! お待たせしてしまって、申し訳ありません!」
ダンスホールを取り巻く大勢をかき分け、ソフィアは踊る二人へズンズン近づく。
セオドアさまはソフィアを見つけ、あからさまにホッとした顔をする。
「ああ、待っていた、僕の妖精。こんなところで死んでたまるかと、耐えていた甲斐があった」
ダンスの途中だったが、ブルーベル王女から離れソフィアに駆け寄り、セオドアさまはソフィアにもたれかかる。
きっと頭痛がひどいのだわ。
さっさと終わらせて横になってもらわないと!
「少しだけ休憩させておくれ。すぐに回復してみせるから」
「セオドアさまはどうぞこのまま、ゆっくりされてください。制裁は私が執行します」
キリリとした顔をしてみせたつもりだが、セオドアさまの目には初々しく映ったようだ。
口元を緩め、孫娘を見るお爺ちゃんのような顔をしている。
愛が駄々洩れだ。
「ちょっと、どういうことですの? ソフィアさま、ダンスの途中に割り込むなんて礼儀に反するのではなくて?」
お淑やかと噂のブルーベル王女は、ソフィアの登場に尖った言葉を投げつける。
あらあら、本性が隠せてないですよ。
おそらくソフィアが足止めされて、宴には欠席すると高位貴族たちには聞かされていたのだろう。
その間にセオドアさまを『積極的に』篭絡するつもりが、こうして邪魔をされたのだ。
しかし頭に来ているのはソフィアも同じこと。
「ブルーベル王女、礼儀知らずはどちらかしらね? 婚約者でもないのに続けて3曲もダンスを踊るなんて。ディランシア王国ではあばずれとして有名なんですって? あなたの取り巻きの公爵さまが教えてくれたわよ?」
まあ、あばずれ? という囁き声が、さきほどの夫人たちから聞こえる。
聞こえるように囁くのが貴族のたしなみなんだろう。
その囁きはダンスホール中に広がっていく。
「何を言うか! ディランシア王国とブルーベル王女に対する不敬であろう!」
高位貴族の集団から、侯爵が飛び出してくる。
ここまで金をかけてお膳立てをしたのだ。
台無しにされてはたまらないと、いきり立っている。
しかしイキリにかけてはこちらの方が勝っている。
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