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4話 発情した匂い※

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 ぐちゃぐちゃと互いの舌を絡め合い、ラーシュは口づけてきたアンネの唾液の味を堪能する。

 あふれそうになる混ざり合った唾液を啜り、アンネの頬までべろりと舐めた。

 頬をピンク色に染めて、赤い目を潤ませているアンネを、早く貪りたい。

 ラーシュの下半身はすっかりガチガチに硬くなり、天を突いていた。

 その思いに逆らわず、ラーシュはアンネの着ている毛玉だらけのニットに爪をかけ、力任せに左右に引き裂いた。

 中のブラウスのボタンも弾け飛び、アンネの豊かな胸を覆う白いブラジャーが露出する。

 それを邪魔なもののように押し上げ、ぶるんとまろびでた乳房にラーシュは喰らいついた。

 柔らかさを確かめながら、じゅるりじゅるりと長い舌を執拗に這わせ、牙の覗く唇で吸い付く。

 舌先が陥没している乳首を見つけ、ほじくるように凹みを責めた。



「あ、あ゛あん、ん……は、ぁっ!」



 まだ少女のようなアンネの声は、ラーシュの知るエーヴァのしっとりした嬌声とは似ても似つかない。

 手のひらに収まりきらない弾力のある胸を揉みながら、ラーシュは心の奥底にうっすらと違和感を覚えた。



(俺は、何をしている? ここは、エーヴァと暮らすアパートで――)



 しかし、覚めそうになったラーシュの鼻が、すっかり欲情したアンネの雌の匂いを嗅いでしまう。

 むしゃぶりついていた胸から顔を上げると、アンネが大きく足を開いて、股の間をラーシュの下肢にこすりつけて自慰をしていた。

 もともと雨で濡れていた作業着が、アンネのショーツ越しに滲み出る愛液でさらに色を濃くしていく。

 ぶわりと爛れたアンネの匂いは、せっかく芽生えたラーシュの思考力を根こそぎ刈り取っていった。

 酩酊するほどの強烈な甘い匂いは、この世に一人しかいない運命の番が発する匂い。

 

(俺の番――)



 ラーシュは作業着のベルトを外し、ズボンをずり下げると、いきり立った己の肉棒を掴みだす。

 ダラダラと垂れ流す我慢汁で、ラーシュの下履きはぬるぬるしていた。

 アンネの右太腿を持ち上げ、その拍子にスカートがまくれ上がると、ブラジャーと同じ色をしたショーツのクロッチを爪に引っかけ横にずらし、現れたぬらぬらと光る襞に亀頭を擦りつける。

 

「ああ、早くっ、早く入れてっ! それで私を、どうにかしてよぉ!」

 

 アンネは両腕をラーシュの首に回し、床についた左足でつま先立ちして、なんとかラーシュの男性器を飲み込もうと腰をくねらす。

 ラーシュはアンネの脚を大きく開かせると、違うことなく膣の最奥を目指して腰を打ち付けた。



 っぱぁあんっ!



 愛液でぐっしょりと濡れたアンネの白い和毛が、黒いラーシュの和毛に密着してびちゃりと絡む。



 ぱぁあんっ、ぱぁあんっ、ぱぁあんっ、ぱぁあんっ、ぱぁあんっ、ぱぁあんっ!



 ラーシュは右手を壁につき、アンネの左足のつま先が浮き上がるほど、激しく抽挿を始める。

 壁とラーシュの厚い体に挟まれて、アンネはもがくことも出来ずに、なすがまま激しく揺さぶられた。



「あ……あ゛、あっ……ああ゛、あぁ~っ! お、奥にっ……当だ、る! んひ、ぃい゛ぃ!」



 アンネの口の端から唾液が迸り、ぶるんぶるんと両乳房が上下に踊る。

 持ち上げられた右脚は、ラーシュの動きに合わせて空を蹴っていた。

 フッフッフと、ラーシュの食いしばった歯間からは興奮した呼吸が漏れる。

 そのうちに唸り声まで合わさり、ラーシュの腰はさらに縦横無尽にアンネを蹂躙し始めた。



「ん゛、いい、いい゛っ! ああ゛あ、そこ、もっと……も゛っと突いてぇ! ぁあ、あ゛、気持ち、いい、ぅうう、あ、あ゛、あ~っ!」



 アンネの目の焦点は、すでに合っていなかった。

 ただ感覚のすべてを繋がった部分に集中させ、何度かイッては肩をビクつかせている。

 ラーシュもまた、アンネの膣内に射精して、種付けすることだけが頭の中の思考のすべてだった。

 

(この雌を孕ませなくては――強い子をなすために)



 獣としての本能が、運命の番を求める。

 番との間に生まれる子は、生命力にあふれ、強靭な体と折れぬ心を持つという。

 体の相性が遺伝子レベルで良い相手、それが運命の番だった。

 雄が雌のうなじに噛み付き、所有権を刻み付けると、番は正式に成立する。

 アンネもそれを知っているのだろう。

 先ほどからしきりに首をラーシュに差し出している。

 白いうなじが汗で艶めかしくテカり、ラーシュも思わずそこに舌を這わせた。



(ここに噛み跡をつけて、この雌を自分のものにする。そうしたら、孕むまで中出しをして――)



 夢中になって腰を振っていたラーシュの耳が、自分の荒い吐息とアンネの喘ぎ声の合間に、玄関の扉を開けようとする音を拾った。

 

(誰だ、運命の番との交尾を邪魔する奴は――)



 ラーシュはアンネを抱き潰しながら、玄関扉を灰色の血走った眼で睨みつける。

 おそるおそると開かれた扉の先には、ラーシュが10歳のときから愛してやまない、恋人エーヴァの絶望した青白い顔があった。

 

(エーヴァ? どうしてエーヴァがここにいる?)



 ラーシュの体はいまだアンネを壁に押さえつけ、ガツガツと腰を打ち付けている。

 ぶしゃぁあと下から水音が聞こえ、アンネが潮を吹いたことが分かった。

 

「あ゛、あ゛……イッてる、もう、イッで……んはぁ、あ、ひ……ひぃ、出して、中、に……ちょうだ、い……あなたの、子種をっ、中に゛っ! ……ああ、首を、噛んでよ゛ぉ」



 アンネが切ない声で、ラーシュの射精を強請る。

 ラーシュはそれに合わせて、突き入れる角度を鋭角にし、子宮に届くまで激しく出し入れすると、うっと呻いて昂ぶりをアンネの中へ吐き出した。

 それでも興奮は冷めやらず、アンネの潮とラーシュの精液でドロドロになった下半身をそのままに、ラーシュは続けてアンネを貪り始めた。

 ラーシュの灰色の目には、全身ガタガタと震えて涙を流しているエーヴァの姿が見えている。

 エーヴァの持っていた赤い傘が手を離れ、カツンと音を立てて床に落ち、跳ねて倒れた。

 あれはエーヴァが気に入って、ずっと使っている傘だ。

 

「っ……エーヴァ、傘が落ちたよ? ハァ、ハァ……拾わないの?」



 ラーシュの中の冷静な部分が、動かないエーヴァを心配して語りかける。

 雨に濡れたエーヴァの髪が、ぺしょりと頬にひっついていた。

 白と茶色が混じった、ラーシュの大好きなエーヴァの髪を、今夜も優しく洗ってあげたい。

 しかしそうでない部分はアンネの体を求め、たわわな胸を厚い胸筋で押さえつけ、細く白い太ももに指を食い込ませ、一度放出したくらいでは治まらない猛りを、アンネの股座へ乱暴に抜き差ししている。

 もっと出したい、この雌を孕ませたい、首を噛みたい!

 暴力的なまでの野生が、ラーシュの腰の動きを止めてくれない。

 一発だけでは駄目だ、もっと精液を注がないと!

 狂おしいまでの欲望が、いまだラーシュを襲う。

 

「ああ、あ゛っ……ま゛た、イク、イグって、……あ゛、早くっ、番に、なって! 首を、噛ん゛で! 赤ちゃん……出来、ちゃう゛……からぁ!」

 

 アンネは浮いていた左足を、ラーシュの背中に巻きつけた。

 そしてより一層、ふたりの体をくっつけると、甘えたようにラーシュの顔に口づけを落とす。



「お、願い、私に゛、ちょうだいよ……あなた、の子種、を……お腹、いっぱい、ちょうだいよぉ……」



 バタンと音がして、玄関の扉が閉まったが、睦み合うふたりには些細なことだった。

 ラーシュはアンネの体を壁から引きはがし、床に押し倒すと、両膝を持って脚を大きく開かせた。

 ぐちゃぐちゃに蕩けた女陰が、夜目の効くラーシュの前につまびらかにされる。



(この雌の首を噛まなくては――エーヴァはどこに行ったんだ――もう夜なのに、この雨の中――早く濡れたここに猛りを突き立てろ!)



 支離滅裂な主張が、ラーシュの脳をパンクさせる。

 

「エーヴァ……どこに……?」



 そしてラーシュは、アンネの膣の最奥まで、勢いよく肉棒をねじ込むのだった。
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