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七話 王子の決意
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「魔女があなたの願いを聞いてくれるかどうかは、交渉しだいよ。基本的には優しいけれど、人間嫌いだと聞いたこともあるわ。……せいぜい気張るのね」
シャーロテたちは、その言葉を最後に海へ消えた。
残されたヴィンセントは、何度も頭の中でシャーロテの言葉を反芻し、自分の中で覚悟を決めてから城へ戻った。
その足で真っすぐ執務室に向かう。
そこでは弟のオスカーが自分に代わって仕事をしていた。
「兄さん、おかえり。あれ、今日はいつもと顔つきが違うね? 何かあった?」
「オスカー、次代の国王になってくれ」
「っ! え!? 急にどうしたのさ!?」
ヴィンセントとオスカーはよく似た兄弟で、どちらも母譲りの金髪紫目をしている。
母は兄弟が小さい頃に亡くなってしまったが、母の面影を色濃く残す子息子達を父は愛した。
兄弟仲もよく、ここまで二人とも王子として恥じることなく成長してきた。
何事も無ければヴィンセントが王位を継ぎ、次代の国王となったことだろう。
「俺はノアを追う。何が何でも――」
だがヴィンセントには、王位よりも大切なものが出来てしまった。
ヴィンセントの決意の籠った声に、オスカーはしばし呆然とする。
愛する人魚が海に帰ってしまって、ヴィンセントは見ていられないほど悄然としていた。
オスカーから見ても、頬がこけていき、眼窩がくぼんでいく様は憐れだった。
いつもはなにかとヴィンセントに仕事を押し付けようとするオスカーが、自ら仕事を代わると申し出たほどだ。
二歳しか違わないというのに、ヴィンセントはしっかりした兄だった。
王位継承者として、数多くの教師陣から帝王学を授けられた。
父王からの信頼も篤く、国民の人気も高い。
訳あって評判の悪い婚約者がいた時期もあったが、その元婚約者はついに犯罪に手を染め、今は牢に繋がれ裁判を待っている。
いつもの仕事に加えてそちらの仕事もあり、このところ忙しかったのだが。
「兄さん、まずは何があったのか話してよ。順番が大事だと常日頃から口うるさいのは兄さんのほうじゃないか。どうしてそう考えたのか、教えてくれない?」
「分かった。……一緒に父の執務室に来てくれるか? 俺の決意を話そうと思う」
深刻な表情のヴィンセントと、いつもはそう訪れることもない父の執務室をおとなう。
たくさんの側近に囲まれ仕事をしていた父だったが、兄弟が珍しくそろって来たからか、すぐに書類を脇によけて話を聞いてくれた。
「父上、俺はノアを追う。次代の国王にはオスカーを指名してくれ」
「なんだ、突然? 一体なにがあった?」
父にとっても、寝耳に水だろう。
オスカーだって先ほど知ったばかりだ。
「俺はノアがいないと駄目なんだ。ノアがいなくなってからずっと、生きた心地がしない。今日も海岸にノアを探しに行ったら、そこにノアの姉上たちがいた」
急に話の転換点が見えてきた。
ヴィンセントが決意をしたのはノアの姉たちに会ったからだ。
そこで一体、何を話したのか。
「ノアは大嵐の夜に俺を助けてくれただけでなく、俺に人を愛する気持ちを教えてくれた。リオニーは不適切だったが、俺は国のためになる相手なら結婚するのは誰でもいいと思っていたんだ」
ヴィンセントの話が飛んだ。
きっと心中でぐるぐる渦巻くものがあるのだろう。
いつもの理路整然とした感じがどこにもない。
「ノアは俺に会うために魔女の薬を飲んだ。美しい声を失い、尾ヒレが裂ける痛みに耐え、それでも人間になりたいと思ってくれた」
話の内容がノアのことばかりだ。
なかなか次代の国王のことに辿り着かない。
だが、オスカーも父も黙ってヴィンセントの吐露を聞き続けた。
「今度は俺が魔女の薬を飲む。俺の姿かたちがどうなってしまうのか分からないが、俺はそれでもノアに会いに行きたい。一週間後、魔女と薬について交渉するつもりだ」
ここだ、ここが話の要だ。
ヴィンセントは人間を辞めるから、オスカーに次代の国王になってくれと言っているのだ。
なんてことだ!
「なんてことを!」
父も同じことを思ったのだろう。
オスカーの心境と同じ台詞を口に出した。
「人間を辞めるというのか! 一国の王子なのだぞ! 簡単に捨てられる身分ではない!」
「それを言うならノアも同じだ。ノアはただの人魚ではなく、人魚姫なのだそうだ。れっきとした王族だ。それでも俺を選んでくれた」
「だからと言って……なにもそこまで……」
「父上、俺は大嵐の夜に、海に沈んだのだと思ってください。今の今まで俺が生きて、家族と一緒にいられたのは、全てノアのおかげ。……姿かたちが人間ではなくなっても、俺が生きているのなら良かったと思ってもらえませんか?」
ヴィンセントの悟りきったような瞳に、父は説得がうまくいかないことが分かってうなだれた。
オスカーだってヴィンセントの判断に、すんなり賛成することはできなかった。
もっと他に方法はないのか?
「兄さん、その交渉の場に僕も連れて行ってもらえませんか? 何か手伝えることがあるかもしれない!」
「駄目だ。ノアは一人で決断して、一人で決行したんだ。俺だけ、付き添いがいるなんておかしいだろう?」
苦笑いするヴィンセントの顔は、もうすっかり何もかも決めてしまった者のそれだ。
オスカーは父にだけ聞こえるように耳に口を寄せて囁いた。
「父さん、もうこれは止められない。一週間後は交渉の内容が聞こえる場所までついていきましょう。何かあれば、そこから飛び出して兄さんを引き留めるしか……」
「うむ、そうだな、そうするしか……」
父とオスカーは、仕方なくヴィンセントの言う通りにすることにした。
「ヴィンセント、まだオスカーを次代の国王に指名するとは決められない。だが、お前が王位を継承する意志がないことは理解した。一週間後までに、できるだけオスカーに仕事の引継ぎを済ませるように」
「父上、ありがとうございます」
ヴィンセントは朗らかな顔をして、頭を下げると部屋を出ていった。
すっきり晴れ晴れとしたヴィンセントの笑顔を見たのは、いつぶりだろうか。
オスカーは父と顔を見合わせる。
「久しぶりにいい笑顔の兄さんを見ました」
「好いた者同士、離れ離れでいるのはつらいものだ。それは分かっているが、儂も息子と離れるのはつらい」
「僕もです。せっかく留学から帰ってきて、これからはずっと一緒にいられると思っていたのに」
すべての運命は、あの大嵐の夜に決まっていたのだろう。
オスカーは父とともに肩を落とすのだった。
◇◆◇
一週間後、ヴィンセントは海岸へ向かった。
父とオスカーが仕事を抜け出し、こっそり後をつけていることは承知している。
交渉の場への立ち合いは拒んだが、心配する二人の気持ちまでは拒んでいない。
どうか行く末を見守ってもらいたいとヴィンセントは思っている。
「ふむ、お主がノアのお相手だね。なるほど、見事な金髪だ」
深緑色の長い髪に漆黒の瞳、年齢不詳の美人が海岸に立っていた。
人魚ではない。
脚がある。
「初めてお目にかかる。この国の王子でヴィンセントという。魔女どので間違いないだろうか?」
「わざわざ名乗りをありがとう。どれ、私も久しぶりに名乗るかね。私はヘレ、魔女のヘレだよ」
ヴィンセントはその名前に聞き覚えがあった。
つい最近、口に出した気がする。
そうだ、童話集だ。
ノアの文字の勉強のために、読み聞かせをしてやった。
その中の一節にあったはずだ、魔女ヘレの話が。
にわかに高台の上に緊迫した気配が漂った。
どうやらそこにオスカーと父は隠れているようだ。
魔女ヘレの名前に動揺しているのだろう。
ヴィンセントにとっては重畳、これで願いが叶う確率は上がった。
「俺の望みはただ一つ。ノアと共にあること。俺が人間で、ノアが人魚だから一緒にいられないというのなら――俺は人間を辞める。そのために差し出せるものは、何だって差し出す」
魔女は聞きたい言葉を聞いたという顔をした。
シャーロテたちは、その言葉を最後に海へ消えた。
残されたヴィンセントは、何度も頭の中でシャーロテの言葉を反芻し、自分の中で覚悟を決めてから城へ戻った。
その足で真っすぐ執務室に向かう。
そこでは弟のオスカーが自分に代わって仕事をしていた。
「兄さん、おかえり。あれ、今日はいつもと顔つきが違うね? 何かあった?」
「オスカー、次代の国王になってくれ」
「っ! え!? 急にどうしたのさ!?」
ヴィンセントとオスカーはよく似た兄弟で、どちらも母譲りの金髪紫目をしている。
母は兄弟が小さい頃に亡くなってしまったが、母の面影を色濃く残す子息子達を父は愛した。
兄弟仲もよく、ここまで二人とも王子として恥じることなく成長してきた。
何事も無ければヴィンセントが王位を継ぎ、次代の国王となったことだろう。
「俺はノアを追う。何が何でも――」
だがヴィンセントには、王位よりも大切なものが出来てしまった。
ヴィンセントの決意の籠った声に、オスカーはしばし呆然とする。
愛する人魚が海に帰ってしまって、ヴィンセントは見ていられないほど悄然としていた。
オスカーから見ても、頬がこけていき、眼窩がくぼんでいく様は憐れだった。
いつもはなにかとヴィンセントに仕事を押し付けようとするオスカーが、自ら仕事を代わると申し出たほどだ。
二歳しか違わないというのに、ヴィンセントはしっかりした兄だった。
王位継承者として、数多くの教師陣から帝王学を授けられた。
父王からの信頼も篤く、国民の人気も高い。
訳あって評判の悪い婚約者がいた時期もあったが、その元婚約者はついに犯罪に手を染め、今は牢に繋がれ裁判を待っている。
いつもの仕事に加えてそちらの仕事もあり、このところ忙しかったのだが。
「兄さん、まずは何があったのか話してよ。順番が大事だと常日頃から口うるさいのは兄さんのほうじゃないか。どうしてそう考えたのか、教えてくれない?」
「分かった。……一緒に父の執務室に来てくれるか? 俺の決意を話そうと思う」
深刻な表情のヴィンセントと、いつもはそう訪れることもない父の執務室をおとなう。
たくさんの側近に囲まれ仕事をしていた父だったが、兄弟が珍しくそろって来たからか、すぐに書類を脇によけて話を聞いてくれた。
「父上、俺はノアを追う。次代の国王にはオスカーを指名してくれ」
「なんだ、突然? 一体なにがあった?」
父にとっても、寝耳に水だろう。
オスカーだって先ほど知ったばかりだ。
「俺はノアがいないと駄目なんだ。ノアがいなくなってからずっと、生きた心地がしない。今日も海岸にノアを探しに行ったら、そこにノアの姉上たちがいた」
急に話の転換点が見えてきた。
ヴィンセントが決意をしたのはノアの姉たちに会ったからだ。
そこで一体、何を話したのか。
「ノアは大嵐の夜に俺を助けてくれただけでなく、俺に人を愛する気持ちを教えてくれた。リオニーは不適切だったが、俺は国のためになる相手なら結婚するのは誰でもいいと思っていたんだ」
ヴィンセントの話が飛んだ。
きっと心中でぐるぐる渦巻くものがあるのだろう。
いつもの理路整然とした感じがどこにもない。
「ノアは俺に会うために魔女の薬を飲んだ。美しい声を失い、尾ヒレが裂ける痛みに耐え、それでも人間になりたいと思ってくれた」
話の内容がノアのことばかりだ。
なかなか次代の国王のことに辿り着かない。
だが、オスカーも父も黙ってヴィンセントの吐露を聞き続けた。
「今度は俺が魔女の薬を飲む。俺の姿かたちがどうなってしまうのか分からないが、俺はそれでもノアに会いに行きたい。一週間後、魔女と薬について交渉するつもりだ」
ここだ、ここが話の要だ。
ヴィンセントは人間を辞めるから、オスカーに次代の国王になってくれと言っているのだ。
なんてことだ!
「なんてことを!」
父も同じことを思ったのだろう。
オスカーの心境と同じ台詞を口に出した。
「人間を辞めるというのか! 一国の王子なのだぞ! 簡単に捨てられる身分ではない!」
「それを言うならノアも同じだ。ノアはただの人魚ではなく、人魚姫なのだそうだ。れっきとした王族だ。それでも俺を選んでくれた」
「だからと言って……なにもそこまで……」
「父上、俺は大嵐の夜に、海に沈んだのだと思ってください。今の今まで俺が生きて、家族と一緒にいられたのは、全てノアのおかげ。……姿かたちが人間ではなくなっても、俺が生きているのなら良かったと思ってもらえませんか?」
ヴィンセントの悟りきったような瞳に、父は説得がうまくいかないことが分かってうなだれた。
オスカーだってヴィンセントの判断に、すんなり賛成することはできなかった。
もっと他に方法はないのか?
「兄さん、その交渉の場に僕も連れて行ってもらえませんか? 何か手伝えることがあるかもしれない!」
「駄目だ。ノアは一人で決断して、一人で決行したんだ。俺だけ、付き添いがいるなんておかしいだろう?」
苦笑いするヴィンセントの顔は、もうすっかり何もかも決めてしまった者のそれだ。
オスカーは父にだけ聞こえるように耳に口を寄せて囁いた。
「父さん、もうこれは止められない。一週間後は交渉の内容が聞こえる場所までついていきましょう。何かあれば、そこから飛び出して兄さんを引き留めるしか……」
「うむ、そうだな、そうするしか……」
父とオスカーは、仕方なくヴィンセントの言う通りにすることにした。
「ヴィンセント、まだオスカーを次代の国王に指名するとは決められない。だが、お前が王位を継承する意志がないことは理解した。一週間後までに、できるだけオスカーに仕事の引継ぎを済ませるように」
「父上、ありがとうございます」
ヴィンセントは朗らかな顔をして、頭を下げると部屋を出ていった。
すっきり晴れ晴れとしたヴィンセントの笑顔を見たのは、いつぶりだろうか。
オスカーは父と顔を見合わせる。
「久しぶりにいい笑顔の兄さんを見ました」
「好いた者同士、離れ離れでいるのはつらいものだ。それは分かっているが、儂も息子と離れるのはつらい」
「僕もです。せっかく留学から帰ってきて、これからはずっと一緒にいられると思っていたのに」
すべての運命は、あの大嵐の夜に決まっていたのだろう。
オスカーは父とともに肩を落とすのだった。
◇◆◇
一週間後、ヴィンセントは海岸へ向かった。
父とオスカーが仕事を抜け出し、こっそり後をつけていることは承知している。
交渉の場への立ち合いは拒んだが、心配する二人の気持ちまでは拒んでいない。
どうか行く末を見守ってもらいたいとヴィンセントは思っている。
「ふむ、お主がノアのお相手だね。なるほど、見事な金髪だ」
深緑色の長い髪に漆黒の瞳、年齢不詳の美人が海岸に立っていた。
人魚ではない。
脚がある。
「初めてお目にかかる。この国の王子でヴィンセントという。魔女どので間違いないだろうか?」
「わざわざ名乗りをありがとう。どれ、私も久しぶりに名乗るかね。私はヘレ、魔女のヘレだよ」
ヴィンセントはその名前に聞き覚えがあった。
つい最近、口に出した気がする。
そうだ、童話集だ。
ノアの文字の勉強のために、読み聞かせをしてやった。
その中の一節にあったはずだ、魔女ヘレの話が。
にわかに高台の上に緊迫した気配が漂った。
どうやらそこにオスカーと父は隠れているようだ。
魔女ヘレの名前に動揺しているのだろう。
ヴィンセントにとっては重畳、これで願いが叶う確率は上がった。
「俺の望みはただ一つ。ノアと共にあること。俺が人間で、ノアが人魚だから一緒にいられないというのなら――俺は人間を辞める。そのために差し出せるものは、何だって差し出す」
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