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二十話 船酔い止め※

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「アナ、船酔いはしていませんか? いつでも中で休んでいいですよ」

「もう何度目だ、それを聞くのは? バーニーこそ大丈夫か?」



 船の甲板で潮風を楽しんでいたアドリアナの腰に手を回し、一緒に大海原のキラキラした光の反射を眺めていたバーナビー。

 実はバーナビーは海の船旅が初めてだった。

 その不安をかき消そうと、先ほどからアドリアナにずっとくっついている。

 エイヴリング王国と友好条約や通商条約を結んでいる国がたいてい陸続きにあるせいで、バーナビーは国外に出向くときもあまり船に乗ったことがない。

 しかも、乗ったとしても川だったり湖だったり、短時間しか乗船の経験がなかった。

 大海原に出航し、泊りがけで何日もかけてまだ見えぬ目的地へ向かうなど、何が待ち受けているか分からない魔物の口の中へ飛び込むようなものだと思っている。

 しかしどんなことが起きても、アドリアナだけは助ける気持ちでいる。

 

「アナは船旅に慣れているのですか? 私は海に出るのは初めてなのです」

「獣人国には海がないから、主に大河での船旅に慣れている。獣人国の大河は、向こう岸が見えぬほど川幅があって、ちょうどこの海のようなんだ」

「海のような大河ですか。獣人国はエイヴリング王国と同程度の国土面積だったと思いますが、地形はかなり異なるようですね」

「エイヴリング王国は獣人国と比べて平地が多いな。人口が多いから、それだけ開拓が進んでいるのだろう。獣人国は万年雪山の山脈が北に連なり、そこから三本の大河が生まれ国中を潤している。その最も大きな大河で、船上訓練をするのだ。どんな見習い兵士も、船の上で一か月暮らせば、船酔いなどしなくなる」

 

 アドリアナは楽しそうに訓練の様子を語ってくれるが、バーナビーには苦役にしか聞こえなかった。

 しかし、それだけの訓練をつんだ強者でないと、オーガには対抗できないのだ。

 長年、オーガと戦ってきた獣人国の底力を、見た思いがした。

 そして訓練を受ける前の幼子の段階で、オーガの顔に拳をめり込ませたアドリアナは、やっぱり女神だと認識を新たにしたバーナビーだった。



「バーニーが船旅に慣れていないのなら、一緒に船室に戻ろうか? 船は、中央部にいたほうが酔いにくい」

「優しいアナ、大好きです。ぜひ私と一緒に、船室のベッドで横になりましょう」



 アドリアナが、バーナビーのおねだりに弱いのを知っていて目を潤ませるのだから、バーナビーはたちが悪い。

 それが分かっていても、アドリアナはバーナビーを甘やかしてしまうのだった。



 ◇◆◇



「あ、んっ……耳は、だ、駄目だと……あぁ!」

「でも耳が気持ちいいと、ここは言っていますよ? ほら、また締め付けています。きゅうきゅうと、可愛いですね」



 後背位で体を繋げながら、バーナビーは身をかがめてアドリアナの耳殻にべろりと舌を這わせている。

 右手でアドリアナの黒髪をかきあげて、うなじから耳までのラインを露出させたバーナビーは、その艶めかしさに先ほどから夢中になっていた。

 うなじに滴り落ちる汗も舐め取り、じゅうっと吸い付きうっ血の跡も残す。

 バーナビーに蹂躙されたアドリアナの首筋は、あちこちにうっ血や噛み跡がついて、見るも無残な有様だった。

 空いたバーナビーの左手は、開かされたアドリアナの股座に差し込まれ、結合部分の上にある花芽をぬるぬると擦っている。

 

「ふ、っあ、あぁ……いい、……ん、バーニー、そこ、……もっと、あ、もっとして」

「ここですね、皮ごとしごくのが好きですよね? もっとぐちゅぐちゅにしてあげます」



 バーナビーが指の動きを速めると、アドリアナが感極まり尻尾をバーナビーに巻きつける。

 棘のある背後から挿入しているせいで、すでにバーナビーの腹には小さなひっかき傷が出来ている。

 そこにアドリアナが尻尾を巻きつけたことによって、さらに棘が皮膚に深く刺さった。

 たらりと流れる赤い血と、色白なバーナビーの肌。

 アドリアナによってもたらされる倒錯的な光景に、ますますバーナビーは燃え上がる。

 ばちゅんばちゅんと音を立てて腰を打ち付け、アドリアナを責め立てる。

 バーナビーの右手がアドリアナの肩を押さえつけ、それにつられてアドリアナが肘をシーツにつけると、必然的に突き出されたアドリアナの尻をうっとりと眺めるバーナビー。



「とても素敵な光景です、アナ。ここからここ、筋肉がきれいについていますね」



 バーナビーの右手が、肩から背をなぞり、腰と臀部を撫でる。

 そしてアドリアナの性感帯である尻尾の付け根をぐっと掴むと、アドリアナのいいところに当たるように角度を変えて肉棒を突き立てた。



「あ、っあ、……ああっ、ん、バーニー、っ……もう、いくっ……ぅ!」



 アドリアナの股座から、ぶしゅっと潮が飛んだ。

 花芽をいじっていたバーナビーの左手を濡らし、ぼたぼたと波打つシーツを汚す。

 唇をわななかせ、達したアドリアナは肘も崩れ落ち、上半身をベッドに投げ出した。

 バーナビーは両手でアドリアナのしっとりした尻肉を揉み感触を楽しんだ後、しっかりと指を食い込ませた。



「もう少し、付き合ってくださいね。私もアナの中に、思い切り射精しますから」



 バーナビーは上から伸し掛かるように、アドリアナの蜜壺に竿を抽挿する。

 ズボッズボッと激しく押し込められて音が鳴る。



「あっ、ひ……ん、激し、いっ、……んぁ、ふ……ひぅっ!」



 アドリアナが助けを求めるように右手を伸ばすが、つかむことが出来たのはシーツのみ。

 頼りないそれを命綱かのように必死につかみ、アドリアナは体を痙攣させる。



「あ、……あぁ、あ、あっ……おかしく、なるっ……バー、ニー……いく、いく、……も、っ」

「一緒にいきましょう。私でおかしくなってください。さあ、アナ、ここがいいでしょう?」



 バーナビーの張り出したエラで、いいところをごりごりと思い切り擦られたアドリアナは、ひぃと短く悲鳴を上げて達すると同時に失神した。

 バーナビーも、アドリアナの中にどゅるるっと熱いほとばしりを吐き出すと、どさりと体をシーツに投げ出した。

 

「はあ、はあ、さすがに三日三晩、立て続けにすると疲れますね。でもおかげで、明日には古の皇国に到着です。船酔いすることなく辿りつけたのは、アナのおかげです」



 気を失っているアドリアナに、バーナビーはちゅっちゅとキスをする。

 アドリアナの口から流れ出ている唾液を舐め取り、たわわな乳房をゆるゆると揉んでいたら、バーナビーの息子がご機嫌になってきた。



「駄目ですよ、アナはもう眠っているんですから。明日、アナがベッドから立ち上がれなかったら、さすがに怒られてしまいます」

 

 たしなめるが、一度起き上がってしまったバーナビーの息子は、そんなこと聞きやしない。

 アナに怒られることを想像して、ますます興奮してしまう始末だ。

 

「仕方がありませんね。アナのためにも、なんとかして鎮めますか」



 バーナビーはアドリアナの尻尾を拝借すると、それを己の陽茎に巻きつけてしごき始めた。

 先端あたりの尻尾は棘も柔らかく、こしょこしょとバーナビーの裏筋を刺激する。



「あっ、あっ、アナ……最高です。私を……このまま、天国まで……導いて、ください」

 

 バーナビーは、細く尖ったアドリアナの尻尾の先端をつまむと、何度も白濁液を吐き出した己の尿道へ切っ先を突っ込んだ。



「ああああっ、出します! アナ、イきます!」



 突っ込んだ尻尾の先端を押し出す勢いで、またしても白濁液をぶしゅぅっと大量に吐き出すバーナビー。

 アドリアナの太ももと尻尾に精液をぶっちまけて、ようやく治まった肉欲に、バーナビーは安堵の息をつく。



「こんなに自分が絶倫だとは知りませんでした。アナの魅力は底が知れませんね」



 すっかり汚してしまったアドリアナを抱きかかえ、バーナビーは隣に用意された浴室へと向かう。

 もうこれ以上は欲情してくれるなよと、あまり頼りにならない自分を戒めながら。
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