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三話 バチーン!
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「心配事はドレスだけですか? 親切な部下の方々が、アナに代わってレオノール姫の護衛はしてくださるそうですし、これで大丈夫ですよね? 明日は着付けのための侍女も派遣します。心置きなく、アナと祝宴を楽しめそうで、私も嬉しいです」
アドリアナの外堀はすでに埋められていた。
うっとりと手の甲に頬をすりよせている、バーナビーによって。
こんなチャラそうな見た目のバーナビーが、外交官として実は凄腕とは誰も思わないだろう。
約束を取り付けたバーナビーは、ご機嫌で離宮を後にした。
今夜は眠れそうにない、などとアドリアナに秋波を送りながら。
「隊長、すごい人でしたね、あの人」
「ちょっと気持ち悪くもありましたね」
「見た目はキラキラしてるんですけどね」
「レオノールさまが発情するのも分かりました」
呆然とするアドリアナに、部下たちが群がる。
「どうしてお前たちは、王子の誘いを私に受けさせたんだ?」
アドリアナは断ろうとしたのに。
部下たちの後押しもあって、バーナビーに押し切られてしまった。
「なんか面白そうじゃないですか?」
「隊長が着飾ったところ、見てみたいし」
「そうそう、しかも相手はキラキラした王子だし」
「きっといい思い出になりますよ」
アドリアナはもう27歳だが、部下たちはまだ若い。
20歳のレオノールよりも若いのだ。
こうしたことに興味を持つのも当たり前か。
「そうか。お前たちは、あんなキラキラした王子が好みなのか?」
それに対して部下たちは声をそろえて即答した。
「いいえ、隊長以上にかっこいい男なんていませんから!」
(私は、男ではないのだが――)
アドリアナの心の声は、部下たちには伝わらなかった。
◇◆◇
次の日、何かの間違いじゃないかと思われたお誘いだったが、バーナビーの言う通り、ドレスと宝飾品の一式が侍女たちともに離宮へ届けられた。
バーナビーからの贈り物と聞いて、レオノールが受け取りに出る。
アドリアナは祝宴中の指示を部下たちに出していて、レオノールを止めるのが間に合わなかったのだ。
レオノールは戸惑う侍女たちを押しのけ、次々に箱を開けていった。
出てきた美しい青いドレスや、イエローダイヤの宝飾品に、たっぷりのため息をつく。
「なんてゴージャスなの。さすが抱かれたい男No.1の贈り物は、威力が違うわ」
「レオノールさま、勝手に開けるのはまずいのでは? これは全て、アドリアナ隊長宛ての贈り物のようですよ?」
レオノールの付き人をしている、リス獣人のダフネは慌てる。
レオノールがこの国の第二王子バーナビーに懸想しているのは、獣人国にいるときから知っている。
集めていた美男子ブロマイドのほとんどが、バーナビーのものだったからだ。
いくら恋する乙女の衝動とはいえ、許されることとそうでないことがある。
(これは範疇を越えているのでは?)
ダフネはダラダラと嫌な汗が流れるのを感じた。
しかしウサギ獣人よりもか弱いリス獣人のダフネに、レオノールは止められない。
絶対に獣人国に帰ったら、配置換えしてもらおうとダフネは心に決めた。
そして、今の状況をどうにも出来ない己の不甲斐なさを、全方位に詫びたのだった。
◇◆◇
アドリアナ宛ての贈り物を、レオノールが勝手に開封していると侍女たちに困ったように言われ、アドリアナはやれやれと肩を落とす。
こちらは祝宴の最中に、レオノールが発情してしまった場合の撤退フォーメーションを、必死で考えているというのに。
アドリアナが護衛として出動しない場合、基本的には部下たちに全て任せるのだが、今回はレオノールが発情する可能性があるため、より厳重に対策を練っているのだ。
五人の部下たちが、ワクワクした目でこっちを見ている。
きっと贈り物が気になっているのだ。
あのキラキラした王子が、どんなドレスを選んだのか知りたいのだろう。
「仕方がない、作戦会議は一旦中断しよう」
「やったあ! ドレスを見に行きましょう、隊長!」
飛び上がって喜んでいる部下たちを見ると、アドリアナも頬が緩む。
教えに来てくれた侍女たちも連れて、ゾロゾロとレオノールの部屋へ向かう。
どうやら贈り物達は、そこへ運び込まれてしまったらしい。
「レオノールさま、失礼します。こちらに私宛の荷物があると聞いて来ました」
アドリアナは堂々と扉をノックした。
すると中から、「ひぃい!」と声がした。
これはダフネだな、とアドリアナは判断する。
レオノールの付き人になってまだ日が浅いが、なかなか頑張っている子だ。
レオノールでなければ、もっと高い評価を得られるだろうに。
「開けますよ? いいですね?」
騎士のアドリアナは悠長を好まない。
返事を待たず、すぐにドアを開けた。
そこには――。
「ちょっと、ダフネ! もう少しここを絞りなさい! ずるずる落ちていくじゃないの!」
アドリアナのサイズで仕立て直されたドレスを、なんとか着こなそうとするレオノールと、それを手伝わされているダフネの姿があった。
ドレスが気になって、見てみたかった気持ちは分かる。
箱を開けてしまったまでは許そうと思っていた。
しかし、これは駄目だ。
贈ってくれた人の気持ちを、踏みにじる行為だ。
侍女たちも、あまりの傍若無人さに、開いた口がふさがらないでいる。
部下たちはアドリアナからそっと離れた。
「レオノールさま、お仕置きです」
アドリアナの登場にようやく気がついたレオノールは、ドレスを置き去りにして文字通り脱兎のごとく逃げようとした。
しかしアドリアナが逃がすはずがない。
がっしとレオノールの腰をつかむと、ごろんと膝の上にうつぶせる。
「止めなさいよ! 私にこんなことをして、許されると思っているの!? 私はレオノール・シルバよ! 国王の妹なのよおおお!!!」
「問答無用」
アドリアナはレオノールのペチコートの上から、容赦なくお尻をひっ叩く。
バチーン!
「いたああああああい!」
バチーン!
バチーン!
バチーン!
バチーン!
その音を聞きつけて、国王ロドリゴがやってくる。
「お? 久しぶりだな? 何をやったんだ、レオノール?」
それに答えたのはダフネだった。
「恐れ多くも、アドリアナ隊長に届けられた第二王子からの贈り物を、勝手に開封したばかりか、先に身につけてしまわれたのです」
同罪であるダフネもブルブル震えている。
レオノールの次は自分の番だと思っているのだ。
そんなダフネの頭に、ロドリゴはぽんと手を乗せる。
「心配するな。アドリアナはお前には何もしないよ。どうせ、レオノールが命令したんだろ?」
「ですが! 私はそれをお止めする立場です! 自分の仕事をまっとうできませんでした!」
真面目なダフネは、悔しいのか悲しいのか涙目だ。
ロドリゴは心底かわいそうにと思った。
「この旅が終わったら、配置を変えてやろう。リスにウサギの子守りは荷が重いよな」
ロドリゴは、まだレオノールの尻を叩いているアドリアナを見る。
そしてブルリと震えた。
「アドリアナや女性騎士くらい腕っぷしが強くないと、レオノールは押さえられないだろう?」
あれは見た目より痛いんだよなあ、と呟きながらロドリゴは戻っていった。
まるで叩かれたことがあるような言い回しに、ダフネはぽかんと後ろ姿を見送った。
「痛いってばあああ!!!」
「痛くなくては、罰になりません」
アドリアナがレオノールにお仕置きを行っている間に、侍女たちは投げ出されたドレスや靴を集めた。
幸いなことに、宝飾品は箱に入ったままだ。
ドレスのしわを今から伸ばせば、なんとか祝宴までには形になるだろう。
てきぱきと動き出した侍女たちにつられて、アドリアナの部下たちも動き出す。
「隊長の部屋はこっちです。隊長は、化粧品とか持ってないんですけど、大丈夫ですか?」
「私どものほうで、ある程度は用意してきました」
侍女たちと部下たちによる連係プレイで、アドリアナの部屋には即席のフィッティングルームと化粧台が作られる。
レオノールを叩いて疲れた右腕を、ぷらぷらさせながら部屋に戻ってきたアドリアナは、あまりの内装の変わりように部屋を間違えたかと思ったほどだった。
「さあ、アドリアナさま。私どもにすべてお任せくださいませ」
ずらりと並んで好戦的にほほ笑む侍女たちの圧に、アドリアナは逆らうことが出来なかった。
アドリアナの外堀はすでに埋められていた。
うっとりと手の甲に頬をすりよせている、バーナビーによって。
こんなチャラそうな見た目のバーナビーが、外交官として実は凄腕とは誰も思わないだろう。
約束を取り付けたバーナビーは、ご機嫌で離宮を後にした。
今夜は眠れそうにない、などとアドリアナに秋波を送りながら。
「隊長、すごい人でしたね、あの人」
「ちょっと気持ち悪くもありましたね」
「見た目はキラキラしてるんですけどね」
「レオノールさまが発情するのも分かりました」
呆然とするアドリアナに、部下たちが群がる。
「どうしてお前たちは、王子の誘いを私に受けさせたんだ?」
アドリアナは断ろうとしたのに。
部下たちの後押しもあって、バーナビーに押し切られてしまった。
「なんか面白そうじゃないですか?」
「隊長が着飾ったところ、見てみたいし」
「そうそう、しかも相手はキラキラした王子だし」
「きっといい思い出になりますよ」
アドリアナはもう27歳だが、部下たちはまだ若い。
20歳のレオノールよりも若いのだ。
こうしたことに興味を持つのも当たり前か。
「そうか。お前たちは、あんなキラキラした王子が好みなのか?」
それに対して部下たちは声をそろえて即答した。
「いいえ、隊長以上にかっこいい男なんていませんから!」
(私は、男ではないのだが――)
アドリアナの心の声は、部下たちには伝わらなかった。
◇◆◇
次の日、何かの間違いじゃないかと思われたお誘いだったが、バーナビーの言う通り、ドレスと宝飾品の一式が侍女たちともに離宮へ届けられた。
バーナビーからの贈り物と聞いて、レオノールが受け取りに出る。
アドリアナは祝宴中の指示を部下たちに出していて、レオノールを止めるのが間に合わなかったのだ。
レオノールは戸惑う侍女たちを押しのけ、次々に箱を開けていった。
出てきた美しい青いドレスや、イエローダイヤの宝飾品に、たっぷりのため息をつく。
「なんてゴージャスなの。さすが抱かれたい男No.1の贈り物は、威力が違うわ」
「レオノールさま、勝手に開けるのはまずいのでは? これは全て、アドリアナ隊長宛ての贈り物のようですよ?」
レオノールの付き人をしている、リス獣人のダフネは慌てる。
レオノールがこの国の第二王子バーナビーに懸想しているのは、獣人国にいるときから知っている。
集めていた美男子ブロマイドのほとんどが、バーナビーのものだったからだ。
いくら恋する乙女の衝動とはいえ、許されることとそうでないことがある。
(これは範疇を越えているのでは?)
ダフネはダラダラと嫌な汗が流れるのを感じた。
しかしウサギ獣人よりもか弱いリス獣人のダフネに、レオノールは止められない。
絶対に獣人国に帰ったら、配置換えしてもらおうとダフネは心に決めた。
そして、今の状況をどうにも出来ない己の不甲斐なさを、全方位に詫びたのだった。
◇◆◇
アドリアナ宛ての贈り物を、レオノールが勝手に開封していると侍女たちに困ったように言われ、アドリアナはやれやれと肩を落とす。
こちらは祝宴の最中に、レオノールが発情してしまった場合の撤退フォーメーションを、必死で考えているというのに。
アドリアナが護衛として出動しない場合、基本的には部下たちに全て任せるのだが、今回はレオノールが発情する可能性があるため、より厳重に対策を練っているのだ。
五人の部下たちが、ワクワクした目でこっちを見ている。
きっと贈り物が気になっているのだ。
あのキラキラした王子が、どんなドレスを選んだのか知りたいのだろう。
「仕方がない、作戦会議は一旦中断しよう」
「やったあ! ドレスを見に行きましょう、隊長!」
飛び上がって喜んでいる部下たちを見ると、アドリアナも頬が緩む。
教えに来てくれた侍女たちも連れて、ゾロゾロとレオノールの部屋へ向かう。
どうやら贈り物達は、そこへ運び込まれてしまったらしい。
「レオノールさま、失礼します。こちらに私宛の荷物があると聞いて来ました」
アドリアナは堂々と扉をノックした。
すると中から、「ひぃい!」と声がした。
これはダフネだな、とアドリアナは判断する。
レオノールの付き人になってまだ日が浅いが、なかなか頑張っている子だ。
レオノールでなければ、もっと高い評価を得られるだろうに。
「開けますよ? いいですね?」
騎士のアドリアナは悠長を好まない。
返事を待たず、すぐにドアを開けた。
そこには――。
「ちょっと、ダフネ! もう少しここを絞りなさい! ずるずる落ちていくじゃないの!」
アドリアナのサイズで仕立て直されたドレスを、なんとか着こなそうとするレオノールと、それを手伝わされているダフネの姿があった。
ドレスが気になって、見てみたかった気持ちは分かる。
箱を開けてしまったまでは許そうと思っていた。
しかし、これは駄目だ。
贈ってくれた人の気持ちを、踏みにじる行為だ。
侍女たちも、あまりの傍若無人さに、開いた口がふさがらないでいる。
部下たちはアドリアナからそっと離れた。
「レオノールさま、お仕置きです」
アドリアナの登場にようやく気がついたレオノールは、ドレスを置き去りにして文字通り脱兎のごとく逃げようとした。
しかしアドリアナが逃がすはずがない。
がっしとレオノールの腰をつかむと、ごろんと膝の上にうつぶせる。
「止めなさいよ! 私にこんなことをして、許されると思っているの!? 私はレオノール・シルバよ! 国王の妹なのよおおお!!!」
「問答無用」
アドリアナはレオノールのペチコートの上から、容赦なくお尻をひっ叩く。
バチーン!
「いたああああああい!」
バチーン!
バチーン!
バチーン!
バチーン!
その音を聞きつけて、国王ロドリゴがやってくる。
「お? 久しぶりだな? 何をやったんだ、レオノール?」
それに答えたのはダフネだった。
「恐れ多くも、アドリアナ隊長に届けられた第二王子からの贈り物を、勝手に開封したばかりか、先に身につけてしまわれたのです」
同罪であるダフネもブルブル震えている。
レオノールの次は自分の番だと思っているのだ。
そんなダフネの頭に、ロドリゴはぽんと手を乗せる。
「心配するな。アドリアナはお前には何もしないよ。どうせ、レオノールが命令したんだろ?」
「ですが! 私はそれをお止めする立場です! 自分の仕事をまっとうできませんでした!」
真面目なダフネは、悔しいのか悲しいのか涙目だ。
ロドリゴは心底かわいそうにと思った。
「この旅が終わったら、配置を変えてやろう。リスにウサギの子守りは荷が重いよな」
ロドリゴは、まだレオノールの尻を叩いているアドリアナを見る。
そしてブルリと震えた。
「アドリアナや女性騎士くらい腕っぷしが強くないと、レオノールは押さえられないだろう?」
あれは見た目より痛いんだよなあ、と呟きながらロドリゴは戻っていった。
まるで叩かれたことがあるような言い回しに、ダフネはぽかんと後ろ姿を見送った。
「痛いってばあああ!!!」
「痛くなくては、罰になりません」
アドリアナがレオノールにお仕置きを行っている間に、侍女たちは投げ出されたドレスや靴を集めた。
幸いなことに、宝飾品は箱に入ったままだ。
ドレスのしわを今から伸ばせば、なんとか祝宴までには形になるだろう。
てきぱきと動き出した侍女たちにつられて、アドリアナの部下たちも動き出す。
「隊長の部屋はこっちです。隊長は、化粧品とか持ってないんですけど、大丈夫ですか?」
「私どものほうで、ある程度は用意してきました」
侍女たちと部下たちによる連係プレイで、アドリアナの部屋には即席のフィッティングルームと化粧台が作られる。
レオノールを叩いて疲れた右腕を、ぷらぷらさせながら部屋に戻ってきたアドリアナは、あまりの内装の変わりように部屋を間違えたかと思ったほどだった。
「さあ、アドリアナさま。私どもにすべてお任せくださいませ」
ずらりと並んで好戦的にほほ笑む侍女たちの圧に、アドリアナは逆らうことが出来なかった。
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