4 / 4
4話
しおりを挟む
ステファノが人間に戻り、第三王子として復活してから、聖堂は大騒ぎとなった。
上級聖女のエミリアーナが聖力を悪用、婚約者だった第三王子を呪って狸にした凶行が明らかになったのだ。
監督不行き届きで司教たちにも飛び火したこの事件は、それだけでは終わらなかった。
次いで、下級聖女たちに関する労働の搾取や不当な囲い込みまで、広く白日のもとへ晒される。
これらは全て、国王の寵愛を独り占めしているステファノの母ベネデッタが、事態を重く見たことが発端だった。
「狸でいる間に何度も死にかけた。それを助けてくれたのが、下級聖女たちだった。その恩に報いるため、彼女たちを聖堂から救いたい」
という愛息ステファノの証言を聞くやいなや、国王の首根っこを捕まえ、「どういうこと!?」と恫喝したらしい。
国王が自供させられた結果、何が聖堂で行われていたのか、あまねく国民も知るところとなったのだ。
これまで聖女になるからと旅立たせた娘たちが、奴隷のように働かされていたとあって、親たちは激怒する。
あわや、聖堂の取り潰しになるかどうかの瀬戸際まで追い込まれて、司教たちは初めて罪の重さを認識したようだった。
◇◆◇◆
「みんなとは、ここでお別れね」
ジゼッラは下級聖女たちとの最後の時間を名残惜しむ。
彼女たちはそれぞれ、自分たちの故郷へ戻るのだ。
ひとり王都に残るジゼッラは、みんなと抱擁を交わした。
「まさか、本当に狸が王子さまだったなんてね」
「私、いっぱい撫でまわしちゃったよ」
「おかげで聖堂から出て行けるわ、ありがとう」
狸さんによろしくね、と手を振って、元下級聖女だった少女たちは去っていく。
伝言を託したのは、これからジゼッラが、ステファノに会うと知っているからだ。
「みんな、狸さんに聖力を分けてくれてありがとう! いつかまた、会いましょうね!」
姿が見えなくなるまで見送ると、ジゼッラは王城を目指す。
ステファノを命懸けで池から助けたジゼッラには、特別な褒賞が用意されているという。
(褒賞はどうでもいいけど、もう一度、ステファノさまに会えるのは嬉しいわ)
事件が公になってから、ずっとステファノとは離れ離れだ。
それぞれ検察官からの事情聴取があったし、そもそもステファノの住まいは王城なので、ジゼッラが気軽に遊びに行ける場所ではない。
(ステファノさまは本物の王子さま、私は元下級聖女の田舎娘。――この身分差は埋められない)
それでも、ジゼッラは久しぶりにステファノと邂逅するため、おっかなびっくり初めて王城訪問をするのだった。
◇◆◇◆
「あなたが、ジゼッラちゃんね」
しかし、ステファノとの再会より前に、なぜかゴージャスな美女に捕まって、ジゼッラは過剰なもてなしを受けていた。
前に並べられたティーセットが、きらきらしていて目に痛い。
「私の可愛い息子の窮地に、ありがたくも手を差し伸べてくれて、しかも二度も命を救ってくれたと聞いたわ。私からもぜひ、お礼をさせてちょうだい」
「ステファノさまの、お母さまですか?」
にっこりと妖艶に微笑まれたので、国王の寵妃ベネデッタに間違いないだろう。
真向かいの席から顔をよく見れば、目元や鼻筋にステファノとの共通点があり、国王の愛を独り占めするのも頷ける美しさだった。
「ジゼッラちゃんは、ステファノをどう思ってる? あの子って顔はいいけど、顔だけでしょう? パパが甘やかして育てるから、公務のひとつもしたことがないし、夫にするには心配しかないと思うのよ」
「ちょっとちょっとちょっと! いつまでたってもジゼッラが来ないと思ったら、なんでこんなとこで足止めしてるんだよ!」
顔を真っ赤にしたステファノが、ベネデッタの会話を遮って部屋に飛び込んできた。
「母上が勝手に話を進めないでよ! 俺には俺の、やり方があるんだから!」
ぷりぷりと怒るステファノが、ジゼッラには毛を逆立てた狸に見えた。
王城に入ってからずっと、緊張していた心がほっこり緩むのを感じる。
「ジゼッラ、まずは俺の話を聞いて欲しい」
だが、思いつめた真剣な顔をして迫るステファノに、せっかく緩んだジゼッラの心がまた緊張しだした。
「何でしょうか?」
「俺、人間に戻れたら、ジゼッラに言おうって思ってたことがあって……」
そこでモジモジと指を擦り合わせるステファノは、やっぱり狸だった頃を彷彿とさせる。
ふたたび緩みだしたジゼッラの心だったが、横から大きな声でベネデッタの活が入った。
「しっかりなさい、ステファノ! プロポーズも満足に出来ないようでは、ジゼッラちゃんに逃げられてしまうわよ!」
「もおおおおお!!!! 邪魔しないでよ!!!!」
ステファノは息子の晴れ舞台を見届けようとするベネデッタを、無理やり部屋から追い出した。
扉を閉めて鍵をかけて、ようやく場が静まり返る。
「その、ごめん。恰好がつかなくて……」
「いいえ、大丈夫ですよ」
取り成すジゼッラだったが、ステファノの瞳はすでに潤んでしまっている。
ジゼッラは居ても立っても居られず、ステファノに近づくと頭を撫でた。
狸だったステファノは、ジゼッラにこうされると気分が落ち着いたものだ。
「ありがとう、ジゼッラ。……俺、ジゼッラが好きなんだ。本当に、本当に大好きなんだ」
よしよしされて、勇気をもらったステファノは仕切り直す。
ベネデッタがすでに口走ってしまったせいで、ジゼッラには次の言葉の予想がついた。
「ジゼッラと、これからも一緒にいたい。ジゼッラはどう? 俺、もう狸じゃないけど……」
狸だったステファノの間の抜けた顔や尻尾の丸みを、ジゼッラがことのほか愛でていたのを知っている。
ベネデッタに似た美形な顔立ちよりも、もしかしたらジゼッラは狸面を好むかもしれないと、ステファノは本気で心配していた。
「私……ステファノさまのこと」
好きだけど身分が違う。
わきまえているジゼッラは、ありがたいと思いながらも、ステファノの申し出を断ろうとした。
だがそれよりも先に、閉めた扉の向こう側で、遠慮のない会話が始まってしまう。
「どうじゃ? うまくいったか?」
「いいところなんだから、話しかけないでよ! 耳をそば立てているのに、聞こえないじゃない」
「しかし、上級聖女を婚約者に選んだのは失敗したなあ……まさかステファノを狸にするなんて」
「あなたに見る目がないからよ! その節穴のせいで、私の可愛い息子は死にかけたんですからね!」
「まあまあ、そう怒らずに。おかげでステファノは、自分で花嫁を見つけてきたのじゃろ?」
「ちょうど今、そのプロポーズを盗み聞きしてるんだから、静かにしてってば!」
マイペースすぎる国王と、それに切れ散らかしているベネデッタのやり取りは、たちどころにジゼッラを無我の境地へ押しやった。
(これが国で一番偉い国王陛下と、その寵妃の会話なんだ)
そう思うと、なんだかジゼッラは、悩んでいたのが馬鹿らしくなった。
(田舎町の夫婦ケンカと、何も変わらない。身分は違えど、どこの夫婦も似たり寄ったりなんだわ)
それなら、第三王子のステファノと田舎娘のジゼッラが夫婦になったって、いいんじゃないだろうか。
ジゼッラは腹をくくって、ステファノへ了承の返事をしようと顔を上げる。
すると――。
ひっくひっく……
深く考え込んでいたジゼッラには聞こえていなかったが、目の前ではステファノがしゃくりをあげて泣いていた。
「どうして……一世一代のプロポーズを、台無しにするんだよ。俺、けっこう頑張ったのに……」
強烈な両親の間で育ったにしては、ステファノはずいぶんまともだ。
いまだ、扉越しにぎゃーぎゃーと騒ぐ声がしている。
この状況が可笑しくて、ジゼッラはついに噴き出した。
「あは、あはは、なにこれ。変なの、もう、笑っちゃう」
「ぐすっ……ジゼッラの、笑った顔も好きだよ」
ステファノがまだ諦めずにプロポーズを続行しようとするから、ジゼッラは涙まで出てきた。
こんなに好かれているだけで、もう幸せは確定している。
「ステファノさま、私も好き。大好きよ」
「変な両親がついてくるけど、け、け、結婚して欲し……えええ?」
結婚と発音するのに緊張していたステファノは、ジゼッラの言葉を周回遅れで理解する。
「いいの? 俺と、結婚するんだよ?」
「いいわ、結婚しましょう」
「もう狸じゃないよ?」
「うふふ、知ってますよ」
いつまでも笑いが治まらないジゼッラ。
まだ現実味がないステファノ。
これが、狸と下級聖女として出会った二人が、身分違いの夫婦になった瞬間だった。
上級聖女のエミリアーナが聖力を悪用、婚約者だった第三王子を呪って狸にした凶行が明らかになったのだ。
監督不行き届きで司教たちにも飛び火したこの事件は、それだけでは終わらなかった。
次いで、下級聖女たちに関する労働の搾取や不当な囲い込みまで、広く白日のもとへ晒される。
これらは全て、国王の寵愛を独り占めしているステファノの母ベネデッタが、事態を重く見たことが発端だった。
「狸でいる間に何度も死にかけた。それを助けてくれたのが、下級聖女たちだった。その恩に報いるため、彼女たちを聖堂から救いたい」
という愛息ステファノの証言を聞くやいなや、国王の首根っこを捕まえ、「どういうこと!?」と恫喝したらしい。
国王が自供させられた結果、何が聖堂で行われていたのか、あまねく国民も知るところとなったのだ。
これまで聖女になるからと旅立たせた娘たちが、奴隷のように働かされていたとあって、親たちは激怒する。
あわや、聖堂の取り潰しになるかどうかの瀬戸際まで追い込まれて、司教たちは初めて罪の重さを認識したようだった。
◇◆◇◆
「みんなとは、ここでお別れね」
ジゼッラは下級聖女たちとの最後の時間を名残惜しむ。
彼女たちはそれぞれ、自分たちの故郷へ戻るのだ。
ひとり王都に残るジゼッラは、みんなと抱擁を交わした。
「まさか、本当に狸が王子さまだったなんてね」
「私、いっぱい撫でまわしちゃったよ」
「おかげで聖堂から出て行けるわ、ありがとう」
狸さんによろしくね、と手を振って、元下級聖女だった少女たちは去っていく。
伝言を託したのは、これからジゼッラが、ステファノに会うと知っているからだ。
「みんな、狸さんに聖力を分けてくれてありがとう! いつかまた、会いましょうね!」
姿が見えなくなるまで見送ると、ジゼッラは王城を目指す。
ステファノを命懸けで池から助けたジゼッラには、特別な褒賞が用意されているという。
(褒賞はどうでもいいけど、もう一度、ステファノさまに会えるのは嬉しいわ)
事件が公になってから、ずっとステファノとは離れ離れだ。
それぞれ検察官からの事情聴取があったし、そもそもステファノの住まいは王城なので、ジゼッラが気軽に遊びに行ける場所ではない。
(ステファノさまは本物の王子さま、私は元下級聖女の田舎娘。――この身分差は埋められない)
それでも、ジゼッラは久しぶりにステファノと邂逅するため、おっかなびっくり初めて王城訪問をするのだった。
◇◆◇◆
「あなたが、ジゼッラちゃんね」
しかし、ステファノとの再会より前に、なぜかゴージャスな美女に捕まって、ジゼッラは過剰なもてなしを受けていた。
前に並べられたティーセットが、きらきらしていて目に痛い。
「私の可愛い息子の窮地に、ありがたくも手を差し伸べてくれて、しかも二度も命を救ってくれたと聞いたわ。私からもぜひ、お礼をさせてちょうだい」
「ステファノさまの、お母さまですか?」
にっこりと妖艶に微笑まれたので、国王の寵妃ベネデッタに間違いないだろう。
真向かいの席から顔をよく見れば、目元や鼻筋にステファノとの共通点があり、国王の愛を独り占めするのも頷ける美しさだった。
「ジゼッラちゃんは、ステファノをどう思ってる? あの子って顔はいいけど、顔だけでしょう? パパが甘やかして育てるから、公務のひとつもしたことがないし、夫にするには心配しかないと思うのよ」
「ちょっとちょっとちょっと! いつまでたってもジゼッラが来ないと思ったら、なんでこんなとこで足止めしてるんだよ!」
顔を真っ赤にしたステファノが、ベネデッタの会話を遮って部屋に飛び込んできた。
「母上が勝手に話を進めないでよ! 俺には俺の、やり方があるんだから!」
ぷりぷりと怒るステファノが、ジゼッラには毛を逆立てた狸に見えた。
王城に入ってからずっと、緊張していた心がほっこり緩むのを感じる。
「ジゼッラ、まずは俺の話を聞いて欲しい」
だが、思いつめた真剣な顔をして迫るステファノに、せっかく緩んだジゼッラの心がまた緊張しだした。
「何でしょうか?」
「俺、人間に戻れたら、ジゼッラに言おうって思ってたことがあって……」
そこでモジモジと指を擦り合わせるステファノは、やっぱり狸だった頃を彷彿とさせる。
ふたたび緩みだしたジゼッラの心だったが、横から大きな声でベネデッタの活が入った。
「しっかりなさい、ステファノ! プロポーズも満足に出来ないようでは、ジゼッラちゃんに逃げられてしまうわよ!」
「もおおおおお!!!! 邪魔しないでよ!!!!」
ステファノは息子の晴れ舞台を見届けようとするベネデッタを、無理やり部屋から追い出した。
扉を閉めて鍵をかけて、ようやく場が静まり返る。
「その、ごめん。恰好がつかなくて……」
「いいえ、大丈夫ですよ」
取り成すジゼッラだったが、ステファノの瞳はすでに潤んでしまっている。
ジゼッラは居ても立っても居られず、ステファノに近づくと頭を撫でた。
狸だったステファノは、ジゼッラにこうされると気分が落ち着いたものだ。
「ありがとう、ジゼッラ。……俺、ジゼッラが好きなんだ。本当に、本当に大好きなんだ」
よしよしされて、勇気をもらったステファノは仕切り直す。
ベネデッタがすでに口走ってしまったせいで、ジゼッラには次の言葉の予想がついた。
「ジゼッラと、これからも一緒にいたい。ジゼッラはどう? 俺、もう狸じゃないけど……」
狸だったステファノの間の抜けた顔や尻尾の丸みを、ジゼッラがことのほか愛でていたのを知っている。
ベネデッタに似た美形な顔立ちよりも、もしかしたらジゼッラは狸面を好むかもしれないと、ステファノは本気で心配していた。
「私……ステファノさまのこと」
好きだけど身分が違う。
わきまえているジゼッラは、ありがたいと思いながらも、ステファノの申し出を断ろうとした。
だがそれよりも先に、閉めた扉の向こう側で、遠慮のない会話が始まってしまう。
「どうじゃ? うまくいったか?」
「いいところなんだから、話しかけないでよ! 耳をそば立てているのに、聞こえないじゃない」
「しかし、上級聖女を婚約者に選んだのは失敗したなあ……まさかステファノを狸にするなんて」
「あなたに見る目がないからよ! その節穴のせいで、私の可愛い息子は死にかけたんですからね!」
「まあまあ、そう怒らずに。おかげでステファノは、自分で花嫁を見つけてきたのじゃろ?」
「ちょうど今、そのプロポーズを盗み聞きしてるんだから、静かにしてってば!」
マイペースすぎる国王と、それに切れ散らかしているベネデッタのやり取りは、たちどころにジゼッラを無我の境地へ押しやった。
(これが国で一番偉い国王陛下と、その寵妃の会話なんだ)
そう思うと、なんだかジゼッラは、悩んでいたのが馬鹿らしくなった。
(田舎町の夫婦ケンカと、何も変わらない。身分は違えど、どこの夫婦も似たり寄ったりなんだわ)
それなら、第三王子のステファノと田舎娘のジゼッラが夫婦になったって、いいんじゃないだろうか。
ジゼッラは腹をくくって、ステファノへ了承の返事をしようと顔を上げる。
すると――。
ひっくひっく……
深く考え込んでいたジゼッラには聞こえていなかったが、目の前ではステファノがしゃくりをあげて泣いていた。
「どうして……一世一代のプロポーズを、台無しにするんだよ。俺、けっこう頑張ったのに……」
強烈な両親の間で育ったにしては、ステファノはずいぶんまともだ。
いまだ、扉越しにぎゃーぎゃーと騒ぐ声がしている。
この状況が可笑しくて、ジゼッラはついに噴き出した。
「あは、あはは、なにこれ。変なの、もう、笑っちゃう」
「ぐすっ……ジゼッラの、笑った顔も好きだよ」
ステファノがまだ諦めずにプロポーズを続行しようとするから、ジゼッラは涙まで出てきた。
こんなに好かれているだけで、もう幸せは確定している。
「ステファノさま、私も好き。大好きよ」
「変な両親がついてくるけど、け、け、結婚して欲し……えええ?」
結婚と発音するのに緊張していたステファノは、ジゼッラの言葉を周回遅れで理解する。
「いいの? 俺と、結婚するんだよ?」
「いいわ、結婚しましょう」
「もう狸じゃないよ?」
「うふふ、知ってますよ」
いつまでも笑いが治まらないジゼッラ。
まだ現実味がないステファノ。
これが、狸と下級聖女として出会った二人が、身分違いの夫婦になった瞬間だった。
13
お気に入りに追加
135
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

嫌われ聖女は魔獣が跋扈する辺境伯領に押し付けられる
kae
恋愛
魔獣の森と国境の境目の辺境領地の領主、シリウス・レングナーの元に、ある日結婚を断ったはずの聖女サラが、隣の領からやってきた。
これまでの縁談で紹介されたのは、魔獣から国家を守る事でもらえる報奨金だけが目当ての女ばかりだった。
ましてや長年仲が悪いザカリアス伯爵が紹介する女なんて、スパイに決まっている。
しかし豪華な馬車でやってきたのだろうという予想を裏切り、聖女サラは魔物の跋扈する領地を、ただ一人で歩いてきた様子。
「チッ。お前のようなヤツは、嫌いだ。見ていてイライラする」
追い出そうとするシリウスに、サラは必死になって頭を下げる「私をレングナー伯爵様のところで、兵士として雇っていただけないでしょうか!?」
ザカリアス領に戻れないと言うサラを仕方なく雇って一月ほどしたある日、シリウスは休暇のはずのサラが、たった一人で、肩で息をしながら魔獣の浄化をしている姿を見てしまう。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
研磨姫と姫王子 ~初めての殿方磨き!?~
つつ
恋愛
原石を磨くことだけに情熱を捧げる”研磨姫”こと公爵令嬢ケイティ (15) と、病弱で気弱な性格から ”姫王子” と呼ばれることになった第三王子エリオ(15)。
ある日、偶然、姫王子を目にした研磨姫はこう叫んだ。
「わ……わたくしの――原石!!!」
そこに輝き秘めたる原石あれば、磨きたくなるのが研磨姫。
原石扱いされた姫王子には、受難の日々が待っていた――!?
※たぶんラブコメです。ラブ薄め、コメディ薄め……あれ、何か残った??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる