17 / 31
17話 肖像画に隠された謎
しおりを挟む
「――話を続けると、僕たちは数年かけて経済の立て直しを図った。母はその間に、肖像画を探したらしい。すでに父上が保有するすべての別荘は調べ済みで、どこにもクラーラがいないことは突き止められていたんだ」
「最後の手がかりを私たちに奪われないように、お義母さまは事あるごとに王城で騒ぎを起こしてまわったの。お義父さまが亡くなってからの数年間は、まるで悪夢のようで――」
ベンジャミンとファミーが、手を取り合う。
こうして支え合いながら、苦難を乗り越えてきたのだろう。
そこには政略による結婚とは思えない、愛の形があった。
「母の死は、本当にギリギリだった。というのも、クラーラの肖像画が父の隠し部屋から見つかった日に、母は亡くなったからだ。ようやく手にした糸口に、よほど興奮したのだと思う。いつもより母は深酒をして、おぼつかない足取りのまま、階段から転がり落ちたんだ」
「あっけない幕引きだったわ。私たちは、お義母さまが逝去したことを公表する前に、遺品を調査したの。そうしたら、側妃コリーンさまに関する証拠が出てきたというわけ」
クラーラは、早鐘を打つ心臓を上から押さえる。
急展開する事態に、必死についていくために。
「僕は、このままではいけないと思った。母の罪を明らかにし、王太后の肩書を剥奪するべきだと大臣たちに主張した」
「だけど、大臣たちがこれに反対したの。ようやく落ち着いてきた国政を、またしても混乱させるから……。なにしろベンは、お義母さまのただ一人の息子、影響しないはずがないものね」
苦しそうなベンジャミンとファミーの心の葛藤が、クラーラにも伝わってくる。
病死と扱われていたクラーラの母の死の真相を、詳らかにするのが果たしていいのか悪いのか。
「もし、ベンがお義母さまの件に絡んで王位継承権を失えば、次に王座に座る可能性が高いのはクラーラさんなのよ」
「そんな、まさか……!」
「クラーラにはちゃんと、王家の星が輝くだろう? 立派な王位継承者なんだよ」
ベンジャミンは優しく説くが、クラーラはそれどころではない。
そんな大それた役を担うために、王城へ来たわけではないのだ。
細いクラーラのうなじに、冷や汗が流れ始める。
そんなクラーラの顔色の悪さを察して、ファミーが口を挟んだ。
「私はクラーラさんの意見を聞くべきだと思ったわ。ベンや大臣がいくら検討を重ねたところで、望んでいない地位を押しつけてしまえば、結局はクラーラさんが不幸になるだけだもの」
ファミーの弁に、クラーラは必死で頷き返した。
クラーラは10歳のときから王城を離れ、今まで政治とはかけ離れた世界にいた。
いきなり王座と言われても、訳が分からなくて尻込みしてしまう。
「そこで、どこかに匿われているだろうクラーラを、本格的に探そうということになった。死の間際に父上が言い残した、クラーラの肖像画も見つかったしね。専門家も集まって、徹底的に肖像画を調べたよ。額装を外して、キャンバスの裏面も確認した。でも、どこにも何も書かれていなかったんだ」
「あのときは失望したわね。お義父さんが何を伝えたかったのか、私たちは分かっていなかったんじゃないかと落ち込んで……」
「でも、修道院へ馬車が来たということは、お兄さまたちは答えに辿り着いたんですよね?」
そうでなければ、迎えが来るはずがない。
ベンジャミンはクラーラを見つめると、柔らかく笑った。
「思い出したんだよ。誰がその肖像画を描いたのか。絵にはサインがなかったけれど、僕はクラーラがスケッチされる場に居たからね」
「私の絵を描いてくれた人が、手がかりを持っていたのですか?」
「当時のクラーラは、まだ3歳だったかな。あの方はすでに――髪が短かった」
「っ……! もしかして……」
「そう、ドリス院長だよ。著名な画家に師事していた経験があって、その腕前は玄人はだしだった」
クラーラとドリスが、あの始まりの夜よりも以前に会っていたなんて、驚きだった。
「私……院長先生のこと、覚えていませんでした」
「仕方がないよ、3歳だもの。でもドリス院長は、大きくなったクラーラに会って、懐かしく思っただろうね」
「あとでその肖像画は、クラーラさんに届けるわ。額装を外したから、今は修繕に出しているの」
ベンジャミンたちは、微かに繋がっていた糸を辿って、クラーラを探し出してくれた。
そして――もう、この王城から脅威は去ったのだ。
「クラーラ、今日からは王城で暮らして欲しい。そして今一度、兄妹愛を深めよう。僕たちは不幸にも、すれ違う時間が長かった。これからはその溝を埋めて――」
「また始まった。ベンのこれは病気ね。どれだけクラーラさんが好きなの?」
「ファミーだって、生まれたてのクラーラを見ていたら、心を射ぬかれたと思うよ! それはもう、ほやほやのふにゃふにゃのぷにぷにで――」
「私も妹が生まれたときに、初めて赤ん坊というものを見たけど、小さすぎて逆に怖かったわ」
「イライザも甘えん坊で可愛いよね。クラーラがいない間、僕がどれだけイライザに慰められたことか……」
「ベンが甘やかすから、あの子が調子に乗るのよ。私はもっと、厳しく躾けた方がいいと思うわ」
「息子のオーウェンみたいに、男の子ならそれでもいいけど――」
「今の時代は男も女も、逞しくないと駄目よ!」
目の前で国王と王妃による育児論争が始まって、クラーラは一気に力が抜けた。
強張っていた手足に、やっと血が通い出す。
それまで毒殺だとか王位継承権だとか、クラーラの想像の及ばない話が続いた。
クラーラの張りつめていた糸が、ぷつんと切れる。
「あら、クラーラさんの血色が良くないわ。鬱々した話が多かったせいね」
「大変だ、僕が抱えて運ぶよ!」
「クラーラさんは子猫みたいな少女じゃないのよ。ひょろひょろのベンに、任せられるはずがないでしょう」
ファミーが部屋の外で護衛をしていた騎士を呼ぶ声がする。
その声を最後に、クラーラの意識はことんと落ちた。
◇◆◇◆
「エアハルトさま、今日は少し体調がいいんです。それで良かったら……ご一緒に、散策でもいたしませんこと?」
ヨゼフィーネに誘われて、エアハルトは手入れの行き届いた王城の庭園を歩く。
多少、でこぼこした道のりもあるが、エアハルトの力強い手押しのおかげで、ヨゼフィーネの乗った車椅子は難なく進む。
ずっと室内にこもりきりだったエアハルトにとっても、外の空気は開放的で気持ちがよかった。
「快晴ですね。こうして日光を浴びるのは、健康にもいいそうですよ」
エアハルトは礼儀正しく、ヨゼフィーネの相手をした。
なにしろ婚約の申し出を引っ込めてもらわなくてはならない。
ヨゼフィーネの機嫌を取っておいて損はないのだ。
「エアハルトさまと一緒なら、外に出るのも楽しいですわ。……また、お誘いしてもいいかしら?」
「ヨゼフィーネさまの体調次第ですね。無理をさせてはいけないと、侍女長からは厳しく言われているので」
「侍女長は大げさなんですわ。心配してくれるのは嬉しいけれど……わたくしはもっと、エアハルトさまと過ごす時間が欲しいんです」
ヨゼフィーネはエアハルトを見上げ、美しいと評判の金色の瞳を潤ませた。
キースリング国でも珍しいピンクゴールドの髪がそよ風になびき、ヨゼフィーネの色白な肌をくすぐる。
「その意見には賛成ですね。俺もヨゼフィーネさまに、相談したいことがあるんです」
「でしたら、この後にお茶をしましょう。もう少し先にガゼボがあるんです」
やっと婚約について話しができる。
そう喜んでいたエアハルトだったが、楽観視しすぎていた。
辿り着いたガゼボでは侍女長が目を光らせていて、とても言い出せる雰囲気ではない。
始終ヨゼフィーネのご機嫌をうかがい、別れ際には手の甲にキスを求められた。
(何なんだよ、これは。俺はヨゼフィーネさまの騎士でもないのに、どうして――)
嫌々ながらもエアハルトは従う。
いつかヨゼフィーネと、婚約の話ができると信じて。
そのときはキッパリ断ろうと心に決めて。
だが、状況はエアハルトの思わぬ方へ転がっていくのだ。
「最後の手がかりを私たちに奪われないように、お義母さまは事あるごとに王城で騒ぎを起こしてまわったの。お義父さまが亡くなってからの数年間は、まるで悪夢のようで――」
ベンジャミンとファミーが、手を取り合う。
こうして支え合いながら、苦難を乗り越えてきたのだろう。
そこには政略による結婚とは思えない、愛の形があった。
「母の死は、本当にギリギリだった。というのも、クラーラの肖像画が父の隠し部屋から見つかった日に、母は亡くなったからだ。ようやく手にした糸口に、よほど興奮したのだと思う。いつもより母は深酒をして、おぼつかない足取りのまま、階段から転がり落ちたんだ」
「あっけない幕引きだったわ。私たちは、お義母さまが逝去したことを公表する前に、遺品を調査したの。そうしたら、側妃コリーンさまに関する証拠が出てきたというわけ」
クラーラは、早鐘を打つ心臓を上から押さえる。
急展開する事態に、必死についていくために。
「僕は、このままではいけないと思った。母の罪を明らかにし、王太后の肩書を剥奪するべきだと大臣たちに主張した」
「だけど、大臣たちがこれに反対したの。ようやく落ち着いてきた国政を、またしても混乱させるから……。なにしろベンは、お義母さまのただ一人の息子、影響しないはずがないものね」
苦しそうなベンジャミンとファミーの心の葛藤が、クラーラにも伝わってくる。
病死と扱われていたクラーラの母の死の真相を、詳らかにするのが果たしていいのか悪いのか。
「もし、ベンがお義母さまの件に絡んで王位継承権を失えば、次に王座に座る可能性が高いのはクラーラさんなのよ」
「そんな、まさか……!」
「クラーラにはちゃんと、王家の星が輝くだろう? 立派な王位継承者なんだよ」
ベンジャミンは優しく説くが、クラーラはそれどころではない。
そんな大それた役を担うために、王城へ来たわけではないのだ。
細いクラーラのうなじに、冷や汗が流れ始める。
そんなクラーラの顔色の悪さを察して、ファミーが口を挟んだ。
「私はクラーラさんの意見を聞くべきだと思ったわ。ベンや大臣がいくら検討を重ねたところで、望んでいない地位を押しつけてしまえば、結局はクラーラさんが不幸になるだけだもの」
ファミーの弁に、クラーラは必死で頷き返した。
クラーラは10歳のときから王城を離れ、今まで政治とはかけ離れた世界にいた。
いきなり王座と言われても、訳が分からなくて尻込みしてしまう。
「そこで、どこかに匿われているだろうクラーラを、本格的に探そうということになった。死の間際に父上が言い残した、クラーラの肖像画も見つかったしね。専門家も集まって、徹底的に肖像画を調べたよ。額装を外して、キャンバスの裏面も確認した。でも、どこにも何も書かれていなかったんだ」
「あのときは失望したわね。お義父さんが何を伝えたかったのか、私たちは分かっていなかったんじゃないかと落ち込んで……」
「でも、修道院へ馬車が来たということは、お兄さまたちは答えに辿り着いたんですよね?」
そうでなければ、迎えが来るはずがない。
ベンジャミンはクラーラを見つめると、柔らかく笑った。
「思い出したんだよ。誰がその肖像画を描いたのか。絵にはサインがなかったけれど、僕はクラーラがスケッチされる場に居たからね」
「私の絵を描いてくれた人が、手がかりを持っていたのですか?」
「当時のクラーラは、まだ3歳だったかな。あの方はすでに――髪が短かった」
「っ……! もしかして……」
「そう、ドリス院長だよ。著名な画家に師事していた経験があって、その腕前は玄人はだしだった」
クラーラとドリスが、あの始まりの夜よりも以前に会っていたなんて、驚きだった。
「私……院長先生のこと、覚えていませんでした」
「仕方がないよ、3歳だもの。でもドリス院長は、大きくなったクラーラに会って、懐かしく思っただろうね」
「あとでその肖像画は、クラーラさんに届けるわ。額装を外したから、今は修繕に出しているの」
ベンジャミンたちは、微かに繋がっていた糸を辿って、クラーラを探し出してくれた。
そして――もう、この王城から脅威は去ったのだ。
「クラーラ、今日からは王城で暮らして欲しい。そして今一度、兄妹愛を深めよう。僕たちは不幸にも、すれ違う時間が長かった。これからはその溝を埋めて――」
「また始まった。ベンのこれは病気ね。どれだけクラーラさんが好きなの?」
「ファミーだって、生まれたてのクラーラを見ていたら、心を射ぬかれたと思うよ! それはもう、ほやほやのふにゃふにゃのぷにぷにで――」
「私も妹が生まれたときに、初めて赤ん坊というものを見たけど、小さすぎて逆に怖かったわ」
「イライザも甘えん坊で可愛いよね。クラーラがいない間、僕がどれだけイライザに慰められたことか……」
「ベンが甘やかすから、あの子が調子に乗るのよ。私はもっと、厳しく躾けた方がいいと思うわ」
「息子のオーウェンみたいに、男の子ならそれでもいいけど――」
「今の時代は男も女も、逞しくないと駄目よ!」
目の前で国王と王妃による育児論争が始まって、クラーラは一気に力が抜けた。
強張っていた手足に、やっと血が通い出す。
それまで毒殺だとか王位継承権だとか、クラーラの想像の及ばない話が続いた。
クラーラの張りつめていた糸が、ぷつんと切れる。
「あら、クラーラさんの血色が良くないわ。鬱々した話が多かったせいね」
「大変だ、僕が抱えて運ぶよ!」
「クラーラさんは子猫みたいな少女じゃないのよ。ひょろひょろのベンに、任せられるはずがないでしょう」
ファミーが部屋の外で護衛をしていた騎士を呼ぶ声がする。
その声を最後に、クラーラの意識はことんと落ちた。
◇◆◇◆
「エアハルトさま、今日は少し体調がいいんです。それで良かったら……ご一緒に、散策でもいたしませんこと?」
ヨゼフィーネに誘われて、エアハルトは手入れの行き届いた王城の庭園を歩く。
多少、でこぼこした道のりもあるが、エアハルトの力強い手押しのおかげで、ヨゼフィーネの乗った車椅子は難なく進む。
ずっと室内にこもりきりだったエアハルトにとっても、外の空気は開放的で気持ちがよかった。
「快晴ですね。こうして日光を浴びるのは、健康にもいいそうですよ」
エアハルトは礼儀正しく、ヨゼフィーネの相手をした。
なにしろ婚約の申し出を引っ込めてもらわなくてはならない。
ヨゼフィーネの機嫌を取っておいて損はないのだ。
「エアハルトさまと一緒なら、外に出るのも楽しいですわ。……また、お誘いしてもいいかしら?」
「ヨゼフィーネさまの体調次第ですね。無理をさせてはいけないと、侍女長からは厳しく言われているので」
「侍女長は大げさなんですわ。心配してくれるのは嬉しいけれど……わたくしはもっと、エアハルトさまと過ごす時間が欲しいんです」
ヨゼフィーネはエアハルトを見上げ、美しいと評判の金色の瞳を潤ませた。
キースリング国でも珍しいピンクゴールドの髪がそよ風になびき、ヨゼフィーネの色白な肌をくすぐる。
「その意見には賛成ですね。俺もヨゼフィーネさまに、相談したいことがあるんです」
「でしたら、この後にお茶をしましょう。もう少し先にガゼボがあるんです」
やっと婚約について話しができる。
そう喜んでいたエアハルトだったが、楽観視しすぎていた。
辿り着いたガゼボでは侍女長が目を光らせていて、とても言い出せる雰囲気ではない。
始終ヨゼフィーネのご機嫌をうかがい、別れ際には手の甲にキスを求められた。
(何なんだよ、これは。俺はヨゼフィーネさまの騎士でもないのに、どうして――)
嫌々ながらもエアハルトは従う。
いつかヨゼフィーネと、婚約の話ができると信じて。
そのときはキッパリ断ろうと心に決めて。
だが、状況はエアハルトの思わぬ方へ転がっていくのだ。
12
お気に入りに追加
603
あなたにおすすめの小説
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
氷の公爵の婚姻試験
黎
恋愛
ある日、若き氷の公爵レオンハルトからある宣言がなされた――「私のことを最もよく知る女性を、妻となるべき者として迎える。その出自、身分その他一切を問わない。」。公爵家の一員となる一世一代のチャンスに王国中が沸き、そして「公爵レオンハルトを最もよく知る女性」の選抜試験が行われた。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

せっかくのお誘いですが、謹んでお断りさせて頂きます!~顔面至上主義の王子様との恋愛キャンセル界隈~
待鳥園子
恋愛
突然、王家からの使者が貴族令嬢をとっかえひっかえするという悪い噂がある王子様アレックスからの手紙を持って来た!
このままだと、顔面至上主義の最低王子様と恋人に……早く逃げなきゃ! と、架空の好きな人を設定して、彼からお誘いを断る手紙を書いたフォスター伯爵令嬢ローズ。
その数時間後、彼がフォスター伯爵邸へと訪ねて来て!?
※ヒロインの驚きと行く末を想像してにやにやするだけの短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる