5 / 31
5話 芽生えたばかりの想い
しおりを挟む
「クラーラ、今日は子どもたちだけでなく、あなたにとっても良い日となったようね」
「あんなにスープを褒められたのは初めてで……正直、舞い上がりました」
女の子たちを寝かせ終え、物置を改装した寝室に戻って来たクラーラは、同じく男の子たちを寝かせ終えた院長のドリスと合流する。
陽の当たる部屋は子どもたちに明け渡し、クラーラとドリスは窓のない暗い部屋を寝室にしていた。
「エアハルトさんやフリッツさんと話してみて、どうだった?」
「お二人のやり取りがおかしくて、声を上げて笑ってしまって」
「単なる旅人だと言っていたけれど、あの二人はおそらく貴族よ。態度も紳士的だったし、クラーラの嫌がることはしないと判断して招き入れたの。同世代との交流は、垣根なんてすぐに無くなったでしょう?」
クラーラの秘めた寂しさは、ドリスに見抜かれていたようだ。
部屋の明かりを消して、サイドテーブルに小さなロウソクを灯す。
そうするとクラーラの瞳の中に、橙色の星が煌めき出した。
その美しい星を見て、ドリスがぽつりと心情を漏らす。
「あなたに王族の血が流れていることは、変えられない事実だわ。もしかしたら今後、望む望まないに関わらず、王城へ帰る未来があるかもしれない。――それまで私は、出来る限りここでクラーラを護りましょう」
「でも、王城には……」
「今は王太后となったダイアナさまも、齢を取られたわ。いつまでも、権力を握っている訳ではないのよ」
クラーラを可愛がってくれた両親はもういない。
そんな状況の王城へ行くのが、クラーラにとって幸せかどうか。
不安げな顔を見せるクラーラへ、ドリスは別の話題を振った。
「エアハルトさんは、クラーラに好印象を抱いたようね。あの様子では、また近いうちに訪れてくれるでしょう。そのときはあなたが、おもてなしをしてあげてね」
「は、はい。頑張ります」
薄暗がりでも、クラーラの頬が赤らんだのが分かる。
誠実で優しい好青年のエアハルトへ、クラーラが淡い想いを抱くのも仕方がない。
20歳になるまで、若い男性との出会いすらなかったのだ。
クラーラが年頃になった辺りから、その美貌を隠すため、なるべく裏手の仕事をドリスは任せた。
治安が悪化の一途を辿る中、修道院へ不埒な輩がやって来ないとも限らない。
だが、このまま護られてばかりでは、クラーラは世間知らずに育ってしまう。
(そろそろ、表舞台との接触を図ってもいいでしょう。あまりに経験不足では、かえって危ないかもしれないから)
王城へ呼び戻されるにしても、どこかで隠れて暮らすにしても、クラーラが身につけた知識は力になる。
ダイアナだけでなくドリスも、クラーラを預かって10年が経ち、それだけ齢を取った。
いつまでも堅固な盾となり、クラーラを匿い続けるのは難しいだろう。
(信じてクラーラを預けてくれた国王陛下への大義として、私がこの世を去る前に、クラーラを庇護してくれる者を見つけなくては)
女手では限界がある。
できればクラーラを心から大切に想い、クラーラも同じ想いを返せる男性が望ましい。
果たしてエアハルトは、その大役を果たせるかどうか。
今はまだ芽生えたばかりだろう二人の想いを、ドリスは見守ると決めた。
◇◆◇◆
「この前のお兄ちゃんたちだ!」
「また来てくれたんだね!」
結局、エアハルトとフリッツは野菜や果物が詰まった木箱を抱え、孤児院を再訪した。
玩具はどうだろうか? と思ったが、エアハルトもフリッツも、子どもたちの年齢に適したものが何か、まるで分からなかったのだ。
エアハルトは幼児の頃から、玩具として木剣を握らされていたが、それはベルンシュタイン辺境伯家だけの常識だろう。
同じくエアハルトの側近として育てられたフリッツも、遊びなど二の次で、勉強漬けの少年期を過ごした。
ふたりとも、この分野の経験則が不足していて、早々に諦めざるを得なかった。
「俺たちの当たり前が通用しない場面は、世の中にたくさんあるな。これもまた、貴重な学びだ」
「食べ物をいただいたのですから、食べ物を返すのが一般的かもしれませんね」
「貴族同士だと、相手が思っている量の倍は贈れと言うが……普通はどうなんだろうな?」
こうして知識の偏りを自覚しながら、エアハルトはフリッツと共に、持てるだけの量を持っていくと決めた。
それが大きめの木箱に山盛りの野菜と果物だったのだ。
ちゃんとフリッツの持っている木箱は、エアハルトよりも軽くしてある。
「お久しぶりです、エアハルトさん、フリッツさん」
子どもたちに呼ばれて、クラーラが庭へ顔を出す。
どうやら奥で洗濯をしていたらしい。
クラーラからは、しゃぼんの香りがした。
「先日のスープのお礼になればと思って、勝手に持ってきたのだが……」
本当にこれで良かったのか、今でも分からない。
その自信のなさがエアハルトを口ごもらせた。
多くの部下を従え、いざとなれば越境してきた敵と剣を交えるエアハルトだが、クラーラの前では初心な少年のようだった。
「こんなにたくさん! ご支援に心から感謝します」
大量の野菜と果物を前に、クラーラは笑みを弾けさせる。
これだけあれば、数週間はやりくりができる。
想像していた以上にクラーラに喜んでもらえて、エアハルトはホッと胸をなでおろした。
「よかったら今日は、夕食を召し上がっていきませんか? ニンジンは入れませんから」
クラーラからの申し出に、エアハルトは一も二もなく頷いた。
ニンジンのくだりは、赤い顔で聞き流して。
「ハル、僕は子どもたちと遊んでくるから、クラーラちゃんのお手伝いを任せます」
フリッツはしびれた腕を揉むと、子どもたちと庭へ出て行った。
どうやら持ってきた木箱が、フリッツには相当な負荷だったらしい。
「どちらも厨房へ運ぶよ。クラーラは先に、洗濯を済ませてくるといい」
「洗濯は院長先生が交代してくれたんです。私は、エアハルトさんたちに挨拶をしてくるように、と言われて……」
クラーラの紅潮した頬からは、再び会えたエアハルトへの好意があふれていた。
それが嬉しくて、自然と口角が持ち上がったエアハルトは、フリッツが置き去りにした木箱も軽々と肩に抱え上げる。
今ならどんな敵が現れたって、簡単に倒せそうだった。
◇◆◇◆
クラーラの夕食作りの邪魔にならないように、厨房まで木箱を運んだ後は、エアハルトも子どもたちの仲間に混ぜてもらった。
フリッツが絵本を読み聞かせている隣で、エアハルトはカード遊びに参加する。
「これは頭を使う。みんな、よくカードの場所を覚えていられるな」
伏せられたカードをめくり、絵合わせをしていく単純なルールだが、そもそもカードの枚数が多い。
それが床にバラバラに配置されていて、エアハルトは自分がどれをめくったのか、もう怪しかった。
「なんにでもコツがあるんだよ」
カードを一番多く取っているデレクが、内緒話をするように教えてくれる。
「全部の位置を、最初から完璧に覚えるのは難しいよ。頭の中でカードの配置を、東西南北に分けるんだ」
「四分割するということか?」
「そして最初は北にあるカードだけ、確実に覚えていく」
「ふむ、それならなんとかなりそうだ」
「そうして北のカードを取ったら、次は東……って順番にね。僕くらいになると、同時に北も東も南も覚えられるよ」
えっへんと胸を張るデレクに、妹のチェリーが手加減をしろと憤慨していた。
そんなチェリーよりも枚数が劣っているエアハルトは、また知見を得たと喜ぶ。
「本当はもっとズルいやり方もあるんだけど、それをしちゃうと面白くないからね」
「ズルいやり方?」
「エアハルトお兄ちゃんは強そうだから絡まれないだろうけど、フリッツお兄ちゃんは気を付けた方がいいかも。昼間から酒を飲んでるおじさんたちに、賭けを挑まれても絶対に乗っちゃ駄目だよ」
名前を出されたフリッツが、振り返ってデレクを見る。
「僕がどうかしましたか?」
「フリッツお兄ちゃんが弱そうだから、カモにされるって話。イカサマのカードゲームに誘われて、お金を巻き上げられる観光客がいるんだ」
「なるほど……」
フリッツは自分の細腕をつまむ。
体質なのか、フリッツはいくら特訓しても筋肉がつかなかった。
それゆえ早々に鍛錬するのを諦め、戦略を習得する方へ能力を全振りしたわけだが。
痩身のフリッツを心配してくれたデレクへ、エアハルトが訊ねる。
「デレクはそんな場面を目撃したのか?」
「そうだよ、実際に見て分かったんだ。おじさんたちはやり方が汚い。あらかじめカードの裏に、分かりにくい小さな印がつけられていて、それを覚えているから狙ったカードを正確に引けるのさ」
「これだけカードには種類があるのに……全て違う印が付いているのか?」
「その才能を、もっと別のことに使えばいいのにって思うよ」
呆れたようにデレクが言うが、エアハルトも頷かざるを得ない。
「才能のある者まで、犯罪に手を染めているのが、オルコット王国の現状なのだな」
「数年前に、あちこちで工場とか潰れちゃって。そのときに、酒場のおじさんたちは失業者になったんだ」
僕の両親もそうだよ、とデレクが付け足す。
「僕とチェリーを院長先生に預けて、必ず迎えにくるって約束して別れたんだ。でも全然……戻ってこない」
デレクの表情からは諦めがうかがえる。
エアハルトは孤児院の子どもたちだけでなく、失業者もまとめて何とかできないかと考え始めた。
「あんなにスープを褒められたのは初めてで……正直、舞い上がりました」
女の子たちを寝かせ終え、物置を改装した寝室に戻って来たクラーラは、同じく男の子たちを寝かせ終えた院長のドリスと合流する。
陽の当たる部屋は子どもたちに明け渡し、クラーラとドリスは窓のない暗い部屋を寝室にしていた。
「エアハルトさんやフリッツさんと話してみて、どうだった?」
「お二人のやり取りがおかしくて、声を上げて笑ってしまって」
「単なる旅人だと言っていたけれど、あの二人はおそらく貴族よ。態度も紳士的だったし、クラーラの嫌がることはしないと判断して招き入れたの。同世代との交流は、垣根なんてすぐに無くなったでしょう?」
クラーラの秘めた寂しさは、ドリスに見抜かれていたようだ。
部屋の明かりを消して、サイドテーブルに小さなロウソクを灯す。
そうするとクラーラの瞳の中に、橙色の星が煌めき出した。
その美しい星を見て、ドリスがぽつりと心情を漏らす。
「あなたに王族の血が流れていることは、変えられない事実だわ。もしかしたら今後、望む望まないに関わらず、王城へ帰る未来があるかもしれない。――それまで私は、出来る限りここでクラーラを護りましょう」
「でも、王城には……」
「今は王太后となったダイアナさまも、齢を取られたわ。いつまでも、権力を握っている訳ではないのよ」
クラーラを可愛がってくれた両親はもういない。
そんな状況の王城へ行くのが、クラーラにとって幸せかどうか。
不安げな顔を見せるクラーラへ、ドリスは別の話題を振った。
「エアハルトさんは、クラーラに好印象を抱いたようね。あの様子では、また近いうちに訪れてくれるでしょう。そのときはあなたが、おもてなしをしてあげてね」
「は、はい。頑張ります」
薄暗がりでも、クラーラの頬が赤らんだのが分かる。
誠実で優しい好青年のエアハルトへ、クラーラが淡い想いを抱くのも仕方がない。
20歳になるまで、若い男性との出会いすらなかったのだ。
クラーラが年頃になった辺りから、その美貌を隠すため、なるべく裏手の仕事をドリスは任せた。
治安が悪化の一途を辿る中、修道院へ不埒な輩がやって来ないとも限らない。
だが、このまま護られてばかりでは、クラーラは世間知らずに育ってしまう。
(そろそろ、表舞台との接触を図ってもいいでしょう。あまりに経験不足では、かえって危ないかもしれないから)
王城へ呼び戻されるにしても、どこかで隠れて暮らすにしても、クラーラが身につけた知識は力になる。
ダイアナだけでなくドリスも、クラーラを預かって10年が経ち、それだけ齢を取った。
いつまでも堅固な盾となり、クラーラを匿い続けるのは難しいだろう。
(信じてクラーラを預けてくれた国王陛下への大義として、私がこの世を去る前に、クラーラを庇護してくれる者を見つけなくては)
女手では限界がある。
できればクラーラを心から大切に想い、クラーラも同じ想いを返せる男性が望ましい。
果たしてエアハルトは、その大役を果たせるかどうか。
今はまだ芽生えたばかりだろう二人の想いを、ドリスは見守ると決めた。
◇◆◇◆
「この前のお兄ちゃんたちだ!」
「また来てくれたんだね!」
結局、エアハルトとフリッツは野菜や果物が詰まった木箱を抱え、孤児院を再訪した。
玩具はどうだろうか? と思ったが、エアハルトもフリッツも、子どもたちの年齢に適したものが何か、まるで分からなかったのだ。
エアハルトは幼児の頃から、玩具として木剣を握らされていたが、それはベルンシュタイン辺境伯家だけの常識だろう。
同じくエアハルトの側近として育てられたフリッツも、遊びなど二の次で、勉強漬けの少年期を過ごした。
ふたりとも、この分野の経験則が不足していて、早々に諦めざるを得なかった。
「俺たちの当たり前が通用しない場面は、世の中にたくさんあるな。これもまた、貴重な学びだ」
「食べ物をいただいたのですから、食べ物を返すのが一般的かもしれませんね」
「貴族同士だと、相手が思っている量の倍は贈れと言うが……普通はどうなんだろうな?」
こうして知識の偏りを自覚しながら、エアハルトはフリッツと共に、持てるだけの量を持っていくと決めた。
それが大きめの木箱に山盛りの野菜と果物だったのだ。
ちゃんとフリッツの持っている木箱は、エアハルトよりも軽くしてある。
「お久しぶりです、エアハルトさん、フリッツさん」
子どもたちに呼ばれて、クラーラが庭へ顔を出す。
どうやら奥で洗濯をしていたらしい。
クラーラからは、しゃぼんの香りがした。
「先日のスープのお礼になればと思って、勝手に持ってきたのだが……」
本当にこれで良かったのか、今でも分からない。
その自信のなさがエアハルトを口ごもらせた。
多くの部下を従え、いざとなれば越境してきた敵と剣を交えるエアハルトだが、クラーラの前では初心な少年のようだった。
「こんなにたくさん! ご支援に心から感謝します」
大量の野菜と果物を前に、クラーラは笑みを弾けさせる。
これだけあれば、数週間はやりくりができる。
想像していた以上にクラーラに喜んでもらえて、エアハルトはホッと胸をなでおろした。
「よかったら今日は、夕食を召し上がっていきませんか? ニンジンは入れませんから」
クラーラからの申し出に、エアハルトは一も二もなく頷いた。
ニンジンのくだりは、赤い顔で聞き流して。
「ハル、僕は子どもたちと遊んでくるから、クラーラちゃんのお手伝いを任せます」
フリッツはしびれた腕を揉むと、子どもたちと庭へ出て行った。
どうやら持ってきた木箱が、フリッツには相当な負荷だったらしい。
「どちらも厨房へ運ぶよ。クラーラは先に、洗濯を済ませてくるといい」
「洗濯は院長先生が交代してくれたんです。私は、エアハルトさんたちに挨拶をしてくるように、と言われて……」
クラーラの紅潮した頬からは、再び会えたエアハルトへの好意があふれていた。
それが嬉しくて、自然と口角が持ち上がったエアハルトは、フリッツが置き去りにした木箱も軽々と肩に抱え上げる。
今ならどんな敵が現れたって、簡単に倒せそうだった。
◇◆◇◆
クラーラの夕食作りの邪魔にならないように、厨房まで木箱を運んだ後は、エアハルトも子どもたちの仲間に混ぜてもらった。
フリッツが絵本を読み聞かせている隣で、エアハルトはカード遊びに参加する。
「これは頭を使う。みんな、よくカードの場所を覚えていられるな」
伏せられたカードをめくり、絵合わせをしていく単純なルールだが、そもそもカードの枚数が多い。
それが床にバラバラに配置されていて、エアハルトは自分がどれをめくったのか、もう怪しかった。
「なんにでもコツがあるんだよ」
カードを一番多く取っているデレクが、内緒話をするように教えてくれる。
「全部の位置を、最初から完璧に覚えるのは難しいよ。頭の中でカードの配置を、東西南北に分けるんだ」
「四分割するということか?」
「そして最初は北にあるカードだけ、確実に覚えていく」
「ふむ、それならなんとかなりそうだ」
「そうして北のカードを取ったら、次は東……って順番にね。僕くらいになると、同時に北も東も南も覚えられるよ」
えっへんと胸を張るデレクに、妹のチェリーが手加減をしろと憤慨していた。
そんなチェリーよりも枚数が劣っているエアハルトは、また知見を得たと喜ぶ。
「本当はもっとズルいやり方もあるんだけど、それをしちゃうと面白くないからね」
「ズルいやり方?」
「エアハルトお兄ちゃんは強そうだから絡まれないだろうけど、フリッツお兄ちゃんは気を付けた方がいいかも。昼間から酒を飲んでるおじさんたちに、賭けを挑まれても絶対に乗っちゃ駄目だよ」
名前を出されたフリッツが、振り返ってデレクを見る。
「僕がどうかしましたか?」
「フリッツお兄ちゃんが弱そうだから、カモにされるって話。イカサマのカードゲームに誘われて、お金を巻き上げられる観光客がいるんだ」
「なるほど……」
フリッツは自分の細腕をつまむ。
体質なのか、フリッツはいくら特訓しても筋肉がつかなかった。
それゆえ早々に鍛錬するのを諦め、戦略を習得する方へ能力を全振りしたわけだが。
痩身のフリッツを心配してくれたデレクへ、エアハルトが訊ねる。
「デレクはそんな場面を目撃したのか?」
「そうだよ、実際に見て分かったんだ。おじさんたちはやり方が汚い。あらかじめカードの裏に、分かりにくい小さな印がつけられていて、それを覚えているから狙ったカードを正確に引けるのさ」
「これだけカードには種類があるのに……全て違う印が付いているのか?」
「その才能を、もっと別のことに使えばいいのにって思うよ」
呆れたようにデレクが言うが、エアハルトも頷かざるを得ない。
「才能のある者まで、犯罪に手を染めているのが、オルコット王国の現状なのだな」
「数年前に、あちこちで工場とか潰れちゃって。そのときに、酒場のおじさんたちは失業者になったんだ」
僕の両親もそうだよ、とデレクが付け足す。
「僕とチェリーを院長先生に預けて、必ず迎えにくるって約束して別れたんだ。でも全然……戻ってこない」
デレクの表情からは諦めがうかがえる。
エアハルトは孤児院の子どもたちだけでなく、失業者もまとめて何とかできないかと考え始めた。
14
お気に入りに追加
603
あなたにおすすめの小説
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
氷の公爵の婚姻試験
黎
恋愛
ある日、若き氷の公爵レオンハルトからある宣言がなされた――「私のことを最もよく知る女性を、妻となるべき者として迎える。その出自、身分その他一切を問わない。」。公爵家の一員となる一世一代のチャンスに王国中が沸き、そして「公爵レオンハルトを最もよく知る女性」の選抜試験が行われた。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
貴方に私は相応しくない【完結】
迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。
彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。
天使のような無邪気な笑みで愛を語り。
彼は私の心を踏みにじる。
私は貴方の都合の良い子にはなれません。
私は貴方に相応しい女にはなれません。
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる