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10話 再婚して1年目
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泣き崩れてしまったスミレを慰めながら、テオドールはカスナー家とは縁を切ると決めた。
そして今後は、テオドールの求婚に頷いてくれたスミレの旧姓である三条を名乗る。
二人は、テオドール・三条、スミレ・三条として新たな道を歩んでいく。
そしてその頃、カスナー家では――。
「ジークフリートがこれだけ探しても、見つからなかったのだ。もうテオドールのことは、諦めなさい」
「でも、あなた! まだ一年じゃないですか! きっとどこかで、元気にしていますよ!」
テオドールについて、カスナー夫妻が意見を対立させていた。
ジークフリートは、スミレの母国にまで人をやって、消息を追った。
だが、そこでも二人を見たという者はおらず、じわりと嫌な考えがジークフリートの頭を過る。
(もしかして二人は、駆け落ちしたのではなく、心中したのではないか? すでにどこかへ身を投げて、海の藻屑となっているのだとしたら……見つからないのも頷ける)
実際は、口の堅い公爵家の使用人たちに護られ、スミレとテオドールは隠れていたのだが、まだそれをカスナー家の誰も知らない。
ぎりっ、とジークフリートは下唇を噛む。
たとえ死んだとしても、スミレとテオドールの裏切りを、許せそうになかった。
「いいか、ジークフリート。今度こそ、名家の令嬢を妻に迎えるんだ。すでに嫡男としてファビアンがいるが、できればもう一人、息子がいたほうが安心できる」
父に念を押されて、ジークフリートは曖昧に返事をする。
たとえどんな名家の令嬢と言えど、子種が無くては孕めるはずがない。
そして、業績がガタ落ち中のカスナー商会に、望んで嫁いでくるような名家の令嬢が、いるとは思えなかった。
「そうですよ、ジークフリートは36歳になったばかりでしょう。男性はそれくらいから、輝いてくるものです。きっと良いお嬢さんが見つかりますよ」
親の欲目しかない母の意見だが、ジークフリートは少しだけ耳を傾ける。
名家の令嬢でなくてもいい。
容姿の優れた娘であれば、スミレのような使い途もある。
(スミレほどの逸材はいないだろうが……探してみるか。俺に惚れこんで、何でも言うことを聞く娘だといいな)
下衆な思いつきを名案と勘違いしているジークフリートは、それから頻繁に夜会に顔を出すようになる。
◇◆◇
三条家への挨拶も済ませたテオドールは、スミレと住むための屋敷を購入し、そこから見える小高い丘に墓を建立した。
いつでも屋敷から歩いて訪れることができて、なおかつ見晴らしがいい場所で、スミレがとても気に入ったからだ。
性別も分からない内に、この世から消えてしまった命だが、二人で名前を考えてツキミと付けた。
スミレと同じく、スミレの母国の言葉で、黄色い可憐な花の名前なのだという。
「赤ちゃんはね、女の子だったと思うの。短い間だったけど、一緒にいられて幸せだった」
白い墓石を撫でながら、スミレが微笑む。
テオドールはスミレの体に腕をまわし、そっと力を込めた。
護りたい、と心から思った。
「スミレさん、あなたはとても強い人です。でも強いからと言って、傷つかないわけではない。だから僕は、あなたを傷つける者からあなたを護ります。そのために僕も、強くなります」
その夜――スミレとテオドールは、初めて結ばれた。
体を繋げようと、誘ったのはスミレだ。
娘の墓を参って、改めてテオドールの子を生みたいと、思ったからだった。
「テオちゃん、女の人が赤ちゃんを授かれる期間は、あまり長くはないの。私ももうすぐ、32歳になるわ。後悔したくはないから――」
「嫌悪感はないですか? これまで、こうした行為で、心身が傷ついてきたのですよね?」
「他の人だったら嫌だけど、テオちゃんなら大丈夫よ。……テオちゃん、これまでに女の人を抱いたこと、ある?」
「ありません。教えてください。僕は何をどうしたらいいんですか?」
勉強熱心なテオドールは、スミレの反応に忠実に、優しい愛撫を繰り返した。
もういいから、とスミレが懇願しても、秘められた場所を舐めるのを止めない。
「スミレさんのここは、気持ちがいいと言ってます。僕はもっと、愛を感じて欲しいのです」
傲慢な貴族たちは、スミレを物として扱った。
スミレを何度もいかせることに悦びを見出す者や、スミレに涙を流させることに快感を得る者、スミレを力で従わせることに満足する者など、手段は違えど、貴族たちはみな支配的だった。
スミレの体は熱く快楽に落とされても、心はいつも空虚で凍りついていた。
それをテオドールが、解けさせ、溶かしていく。
「テオちゃん……私」
スミレは泣いた。
愛し合って結ばれる幸せを、思い出したからだ。
ジークフリートとの結婚も、最初から破綻していたわけではない。
お互いを好ましく思い、愛していたから結ばれたのだ。
だが、それがいつ頃からか、気持ちがすれ違っていった。
「スミレさん、愛しています」
テオドールの言葉がしみる。
愛し愛される関係は、なんて甘いのだろう。
スミレは、幸せだと思った。
「テオちゃん、中に入って」
今度はテオドールも素直に従う。
ゆっくりと、あくまでもスミレを慮る態度を崩さない。
スミレはテオドールの愛だけで、達しそうだった。
「動きます。痛かったら、言ってください」
すっかりふやけたスミレの女壺は、温かくテオドールを迎え入れる。
ぶるりと、テオドールが身震いをしたのが見えた。
挿抜にあわせて、スミレにも痺れるような快感が走る。
若いテオドールの陽茎は硬く、スミレの中で、雄弁に存在感を主張していた。
さすがに初めてだからか、まもなくテオドールが射精する。
「ごめんなさい、すごく気持ちよくて……」
顔を赤らめたテオドールが可愛くて、スミレはその頭を胸に抱きこんだ。
「いいのよ、何も悪いことしてないわ」
小ぶりながらも、豊かなスミレの乳房に顔を挟まれ、テオドールは興奮する。
ぐっと中で雄棒が持ち上がったのを感じ、スミレはその回復の早さに驚いた。
「もう一度、してもいいですか?」
「ええ、もちろん。いくらでも」
柔和に微笑むスミレに、ちゅっと口づけを落とすと、テオドールは先ほどよりも慣れた動きで腰を振りだした。
そしてペロリと親指を舐めると、それをスミレの秘粒にあてがい、細かく震わせる。
「ん……、テオちゃん、それ……」
「スミレさんも、ちゃんと達してください」
すでに前戯の段階で、何度もスミレはいかされているのに、テオドールはそんなことを言う。
「もう、たくさん、いって……るのに」
「そうなんですか? いつですか? 分からなかったので、ちゃんと教えてください」
真面目な顔つきのテオドールからは、学ぼうという姿勢しか感じられない。
スミレに卑猥なおねだりをさせて、悦んでいた貴族たちとは違う。
それがなんだか可笑しくて、スミレは感泣する。
「僕、なにか変なことを言いましたか?」
途端に、動きを止めて心配顔になったテオドールに、スミレは「いいえ」と首を横に振る。
「テオちゃんとするのが、好きだなあって思っただけだから」
「スミレさん、それって……」
すでに硬かったテオドールの肉棹に、さらに力が漲った。
まだ正常位しか知らないテオドールは、スミレの両脚を抱え上げて無心に腰を打ち付ける。
ズンズンと奥を突くテオドールの動きに、スミレも嬌声をあげて応える。
そしてスミレは、20歳というテオドールの若さを侮っていたのを、抱き潰されてから知るのだった。
そして今後は、テオドールの求婚に頷いてくれたスミレの旧姓である三条を名乗る。
二人は、テオドール・三条、スミレ・三条として新たな道を歩んでいく。
そしてその頃、カスナー家では――。
「ジークフリートがこれだけ探しても、見つからなかったのだ。もうテオドールのことは、諦めなさい」
「でも、あなた! まだ一年じゃないですか! きっとどこかで、元気にしていますよ!」
テオドールについて、カスナー夫妻が意見を対立させていた。
ジークフリートは、スミレの母国にまで人をやって、消息を追った。
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(もしかして二人は、駆け落ちしたのではなく、心中したのではないか? すでにどこかへ身を投げて、海の藻屑となっているのだとしたら……見つからないのも頷ける)
実際は、口の堅い公爵家の使用人たちに護られ、スミレとテオドールは隠れていたのだが、まだそれをカスナー家の誰も知らない。
ぎりっ、とジークフリートは下唇を噛む。
たとえ死んだとしても、スミレとテオドールの裏切りを、許せそうになかった。
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父に念を押されて、ジークフリートは曖昧に返事をする。
たとえどんな名家の令嬢と言えど、子種が無くては孕めるはずがない。
そして、業績がガタ落ち中のカスナー商会に、望んで嫁いでくるような名家の令嬢が、いるとは思えなかった。
「そうですよ、ジークフリートは36歳になったばかりでしょう。男性はそれくらいから、輝いてくるものです。きっと良いお嬢さんが見つかりますよ」
親の欲目しかない母の意見だが、ジークフリートは少しだけ耳を傾ける。
名家の令嬢でなくてもいい。
容姿の優れた娘であれば、スミレのような使い途もある。
(スミレほどの逸材はいないだろうが……探してみるか。俺に惚れこんで、何でも言うことを聞く娘だといいな)
下衆な思いつきを名案と勘違いしているジークフリートは、それから頻繁に夜会に顔を出すようになる。
◇◆◇
三条家への挨拶も済ませたテオドールは、スミレと住むための屋敷を購入し、そこから見える小高い丘に墓を建立した。
いつでも屋敷から歩いて訪れることができて、なおかつ見晴らしがいい場所で、スミレがとても気に入ったからだ。
性別も分からない内に、この世から消えてしまった命だが、二人で名前を考えてツキミと付けた。
スミレと同じく、スミレの母国の言葉で、黄色い可憐な花の名前なのだという。
「赤ちゃんはね、女の子だったと思うの。短い間だったけど、一緒にいられて幸せだった」
白い墓石を撫でながら、スミレが微笑む。
テオドールはスミレの体に腕をまわし、そっと力を込めた。
護りたい、と心から思った。
「スミレさん、あなたはとても強い人です。でも強いからと言って、傷つかないわけではない。だから僕は、あなたを傷つける者からあなたを護ります。そのために僕も、強くなります」
その夜――スミレとテオドールは、初めて結ばれた。
体を繋げようと、誘ったのはスミレだ。
娘の墓を参って、改めてテオドールの子を生みたいと、思ったからだった。
「テオちゃん、女の人が赤ちゃんを授かれる期間は、あまり長くはないの。私ももうすぐ、32歳になるわ。後悔したくはないから――」
「嫌悪感はないですか? これまで、こうした行為で、心身が傷ついてきたのですよね?」
「他の人だったら嫌だけど、テオちゃんなら大丈夫よ。……テオちゃん、これまでに女の人を抱いたこと、ある?」
「ありません。教えてください。僕は何をどうしたらいいんですか?」
勉強熱心なテオドールは、スミレの反応に忠実に、優しい愛撫を繰り返した。
もういいから、とスミレが懇願しても、秘められた場所を舐めるのを止めない。
「スミレさんのここは、気持ちがいいと言ってます。僕はもっと、愛を感じて欲しいのです」
傲慢な貴族たちは、スミレを物として扱った。
スミレを何度もいかせることに悦びを見出す者や、スミレに涙を流させることに快感を得る者、スミレを力で従わせることに満足する者など、手段は違えど、貴族たちはみな支配的だった。
スミレの体は熱く快楽に落とされても、心はいつも空虚で凍りついていた。
それをテオドールが、解けさせ、溶かしていく。
「テオちゃん……私」
スミレは泣いた。
愛し合って結ばれる幸せを、思い出したからだ。
ジークフリートとの結婚も、最初から破綻していたわけではない。
お互いを好ましく思い、愛していたから結ばれたのだ。
だが、それがいつ頃からか、気持ちがすれ違っていった。
「スミレさん、愛しています」
テオドールの言葉がしみる。
愛し愛される関係は、なんて甘いのだろう。
スミレは、幸せだと思った。
「テオちゃん、中に入って」
今度はテオドールも素直に従う。
ゆっくりと、あくまでもスミレを慮る態度を崩さない。
スミレはテオドールの愛だけで、達しそうだった。
「動きます。痛かったら、言ってください」
すっかりふやけたスミレの女壺は、温かくテオドールを迎え入れる。
ぶるりと、テオドールが身震いをしたのが見えた。
挿抜にあわせて、スミレにも痺れるような快感が走る。
若いテオドールの陽茎は硬く、スミレの中で、雄弁に存在感を主張していた。
さすがに初めてだからか、まもなくテオドールが射精する。
「ごめんなさい、すごく気持ちよくて……」
顔を赤らめたテオドールが可愛くて、スミレはその頭を胸に抱きこんだ。
「いいのよ、何も悪いことしてないわ」
小ぶりながらも、豊かなスミレの乳房に顔を挟まれ、テオドールは興奮する。
ぐっと中で雄棒が持ち上がったのを感じ、スミレはその回復の早さに驚いた。
「もう一度、してもいいですか?」
「ええ、もちろん。いくらでも」
柔和に微笑むスミレに、ちゅっと口づけを落とすと、テオドールは先ほどよりも慣れた動きで腰を振りだした。
そしてペロリと親指を舐めると、それをスミレの秘粒にあてがい、細かく震わせる。
「ん……、テオちゃん、それ……」
「スミレさんも、ちゃんと達してください」
すでに前戯の段階で、何度もスミレはいかされているのに、テオドールはそんなことを言う。
「もう、たくさん、いって……るのに」
「そうなんですか? いつですか? 分からなかったので、ちゃんと教えてください」
真面目な顔つきのテオドールからは、学ぼうという姿勢しか感じられない。
スミレに卑猥なおねだりをさせて、悦んでいた貴族たちとは違う。
それがなんだか可笑しくて、スミレは感泣する。
「僕、なにか変なことを言いましたか?」
途端に、動きを止めて心配顔になったテオドールに、スミレは「いいえ」と首を横に振る。
「テオちゃんとするのが、好きだなあって思っただけだから」
「スミレさん、それって……」
すでに硬かったテオドールの肉棹に、さらに力が漲った。
まだ正常位しか知らないテオドールは、スミレの両脚を抱え上げて無心に腰を打ち付ける。
ズンズンと奥を突くテオドールの動きに、スミレも嬌声をあげて応える。
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