15 / 27
3.『俺のじゃないから』
③
しおりを挟むくすくすと笑いながら腰を抱き寄せられて、グイッと腕の力だけで上半身が湯船から上げられた。
見下ろす角度で顔が近づいたから、こちらからも屈んで唇を合わせた。ちゅ、ちゅ、と触れるだけのものから、舌を絡めてまさぐり合う濃厚なものへとどんどん加速していく。
黒崎さんの大きな手がオレの股間に伸びて、緩く勃起したものを軽く扱いてくれた。
キスされながら同時に刺激されると快感が強すぎてくらくらする。
浴槽の縁に座らされて、黒崎さんの大きな口でフェラされた。ばくって食べられちゃうみたいなソレは、やられるたびにすぐイッてしまう。
おっきい熊獣人に急所を噛まれるんじゃないかっていう恐怖と、口淫の快感とがせめぎ合って混乱するからだった。ゾクゾクする快感が強すぎると、もう食べられちゃってもいいかななんて倒錯的な事も考えた。
それくらい気持ち良くて、もっともっと触って欲しくなってしまう。
「く、ろさき、さんっ……そこじゃなくて、中がいいッ……」
いつの間にか、オレは性器を扱かれるより穴を弄って貰うのが好きになっていた。
前までの恋人もここには触れたけど、そんなに気持ち良くなかったんだよね。
いまは、オレの倍くらいの太さのある黒崎さんの指が、愛撫で濡れそぼったオレの穴に入ってきて中をじっくり刺激してくれる。
激しい抜き差しとかはしないし、ぬるーっと内壁を撫で擦られてビクビク震えちゃうだけなんだけど、うっとりするほど気持ち良い。
「中もたくさん触るから、……キスから逃げないで、リリ」
宣言通り、指が奥のほうまで入ってきて、腰が快感に震えた。声を出す間もなく口付けが降りてきて、ちゅっと唇を吸われる。
上唇を舐められて口を開けると、太い舌が入ってきてオレの口の中をいっぱいにしてしまった。引っ込んだ舌を絡め取り、ちゅうって吸われると腰が砕けるみたいに力が抜けてしまう。
中を指でじゅぷじゅぷ弄られている間も、口は完全にキスで塞がれていて、呻き声も出せなかった。口いっぱいに黒崎さんの舌が入り込んできてて息が苦しくて、酸欠で頭がくらくらする。
無意識にナカの指をぎゅーっと締め付けてしまった。ふ、と黒崎さんの目が楽しそうに細められたのが見える。その一瞬に、きゅうっと中を締め付けてしまった。
だって、黒崎さんのその顔凄く好きなんだ。俺のこと慈しんで可愛がって食べちゃいたいってカオ、してる。
黒崎さんの獣性は熊だ。最初の頃に中型の熊獣人と付き合ったことがあるけど、本能なのか始めから執着心が強めだった。『獲物への執着は熊の習性なんだから仕方ないだろ』っていうのが口癖で、ついでに言うと絶倫だったからたくさん抜き合いっこした。
熊獣人の獣臭い精液でオレの胸とか股間をどろどろにして、それで真っ赤になって興奮していたのを思い出す。
なんか、獲物を征服した気持ちになって凄くイイんだって。
黒崎さんもそういうの、好きかな。
熊だから執着心強めとはいえ、恋人がいるからオレに対してはそんなに発揮してくれなさそうだ。
とても残念だけど。
175
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
だが夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
記憶も婚約者も失くしましたが私は幸せです ~貴方のことは忘れました~
Rohdea
恋愛
───目覚めたら記憶喪失になっていて婚約者は妹の夫になっていました。
身体中の痛みに魘されながら目を覚ますとそこは見知らぬ天井。
目が覚めたのね、と呼びかけられてもなんの事かもさっぱり分からない。
どうやら、自分は記憶喪失になったらしい。
侯爵令嬢のヴァレリアは、
馬車に轢かれる事故にあって生死をさまよい過去の記憶を失ってしまう。
目覚めた時、その場に集まったのは医師を除くと、
両親、妹、そして家族の一員ではなさそうな一人の男性。
その男性こそが自分……ヴァレリアが婚約していた王子だった。
しかし、その後に聞かされたのは自分が眠っている間に、
妹、アルレットと婚約者だった王子、ビンセントが
結婚したという話だった────……
思い出せない過去にしがみつくことはせずに、
新たな人生を歩んで幸せになろうと決めたヴァレリア。
そんなヴァレリアの前に現れたのは、
事故の当事者でもある伯爵フロリアン。
彼はヴァレリアの馬車事故になにやら疑問を抱いているようで────
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王命って何ですか?
まるまる⭐️
恋愛
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
死んだあとに運命だと言われても、
社菘
BL
最期に聞いたのは、望んでいない結婚をした冷たい夫の声。
「煮るなり焼くなり殺すなり、好きにしろ」
オメガは『神の使い』と呼ばれ崇められている国で出会った、運命の番であるオメガのノエル・ヴァレンタインとアルファのレイシス・ブラウン。
ただ、二人の愛は冷め切っていた。
夫から距離を取り辛い日々を送っていたある日、ノエルは何者かに捕えられて命を落とす。
だが次に目覚めたら、ノエルはなぜか学生時代に戻っていた。
今度は穏やかな人生を歩みたい。
それなのに、ノエルが離れていくごとになぜか婚約者のアルファ・レイシスに迫られて――!?
「僕の"運命の番"はあなただけです、ノエル・ヴァレンタイン」
「――ッ死んだあとに運命だって言われても!」
死んでから始まる、オメガとアルファの運命の物語。
※オメガバース特殊設定あり
※R18展開は遅めです
※際どい描写がある話数には『*』をつけています
✧毎日18時更新予定✧
✧土日祝2回更新(9時+18時)予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
要らないと思ったのに人に取られると欲しくなるのはわからなくもないけれど。
しゃーりん
恋愛
フェルナンドは侯爵家の三男で騎士をしている。
同僚のアルベールが親に見合いしろと強要されたと愚痴を言い、その相手が先日、婚約が破棄になった令嬢だということを知った。
その令嬢、ミュリエルは学園での成績も首席で才媛と言われ、一部では名高い令嬢であった。
アルベールはミュリエルの顔を知らないらしく、婚約破棄されるくらいだから頭の固い不細工な女だと思い込んでいたが、ミュリエルは美人である。
ならば、アルベールが見合いをする前に、自分と見合いができないかとフェルナンドは考えた。
フェルナンドは騎士を辞めて実家の領地で働くために、妻を必要としていたからである。
フェルナンドとミュリエルの結婚を知ったアルベールは、ミュリエルを見て『返せ』と言い出す、というお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
義母の企みで王子との婚約は破棄され、辺境の老貴族と結婚せよと追放されたけど、結婚したのは孫息子だし、思いっきり歌も歌えて言うことありません!
もーりんもも
恋愛
義妹の聖女の証を奪って聖女になり代わろうとした罪で、辺境の地を治める老貴族と結婚しろと王に命じられ、王都から追放されてしまったアデリーン。
ところが、結婚相手の領主アドルフ・ジャンポール侯爵は、結婚式当日に老衰で死んでしまった。
王様の命令は、「ジャンポール家の当主と結婚せよ」ということで、急遽ジャンポール家の当主となった孫息子ユリウスと結婚することに。
ユリウスの結婚の誓いの言葉は「ふん。ゲス女め」。
それでもアデリーンにとっては、緑豊かなジャンポール領は楽園だった。
誰にも遠慮することなく、美しい森の中で、大好きな歌を思いっきり歌えるから!
アデリーンの歌には不思議な力があった。その歌声は万物を癒し、ユリウスの心までをも溶かしていく……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる