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2.『イケメン黒崎さんはグルーミングも上手い』

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 垂れた長い耳の内側に唇を触れさせながらそんな風に言われれると、意識してなくてもゾクゾクしてしまう。身体の内側にぽっと熱が灯ったように全身が温かくなった。

 触れてる背中からトクントクンと黒崎さんの落ち着いた心音が聞こえてくる。

「ぁ、……」

 ふにゃ、と身体の芯から力が抜けていった。催眠術かと思うくらいの効果で、黒崎さんの声はオレの抵抗を鎮めてしまう。
 服の上から身体をまさぐられて、びく、びく、と身体が小さく跳ねた。
 大きな手が脇腹から胸の辺りを移動し、首筋をすうっと撫でおろす。臍の上のあたりまで降りてきた手のひらに腹をすりすりと撫でられたら、むず痒い快感が走った。

 はあ、はあ、と無意識に息が荒くなってしまう。

 黒崎さんの唇が耳に近づき、垂れ耳の端をつぅーっと舌で舐められた。『ひうっ』と掠れた声が出てしまう。

 膝をもじもじ擦り合わせていたらカプッと耳の薄いところを噛まれて、『ひっ』と声を上げ思わずソファから立ち上がりかけた。

 でも後ろから腕を掴まれて引き戻され、腰が少し浮いたくらいでオレの抵抗は終わってしまう。
 ドキドキと大きく脈打ってる鼓動が、黒崎さんの手に伝わってないか心配だった。

 それくらいオレの心臓は早鐘を打って、黒崎さんの一挙手一投足に過剰反応している。
 酸欠に近い頭がクラクラしていた。もう無理、もうダメ、と快感に追い詰められて完全にパニックを起こしている。

 シャツの裾から大きな手が入ってきて、スルッとじかに腹筋を撫で上げた。『あうっ』と小さく声を上げて無意識に身体を縮める。

 前のめりになって床から足を浮かせたオレを、黒崎さんは笑って抱き上げた。ひょいって感じに軽々と、彼の膝の上に横抱きにされる。

「え、……え?」
「グルーミングって言っただろう? 舐めるだけだから、逃げないで」

 顎を掴まれ、鼻先をぺろっと舐められる。頬にも舌が這って、そのうちにシャツの下の手がするすると胸の辺りにまで上がってきた。
 そして探り当てた乳首をキュッと摘ままれる。ビクン、と身体が跳ねてオレは黒崎さんの胸を押し返してしまった。
 気持ち良くて、腹の奥がじわっと濡れたような感じがして、怖かったからだ。



「怯えさせるのは趣味じゃないんだ。怖かったらこれ噛んでて」

 ポケットから出てきた黒崎さんのハンカチは、じんわり彼の体臭が移っていた。
 それを口に含まされて、ぎゅっと噛み締めたら黒崎さんの匂いでいっぱいになる。

 それだけでとろんと思考にモヤがかかって、ふわふわした酩酊感に襲われた。
 無意識に擦り合わせた膝の間、股間の奥がじわっと濡れてくる感じがする。こんなこと初めてだった。


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