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1.『10人目の恋人にフラレた』
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しおりを挟むアルファは上位種族や優等種と呼ばれていて、身長が大きかったり運動能力にも恵まれていて、IQも高いという。某財閥の一族なんかアルファの多い獅子獣人だったり、オリンピック選手はだいたいアルファ、経営者とか金持ちとかもう全部アルファって感じなんだよね。全人口の一割に満たない数しかいない、選ばれた人種だ。
逆にオメガは、あまり身体に筋肉がつかず華奢で運動能力が低く囲われて生活すること前提みたいな劣等種だった。男で女でもオメガであれば容姿は特に優れていて、発情期にフェロモンを発し、アルファを誘う。そうして絡め取ったアルファから庇護と愛情を受け、生活するのがオメガだった。簡単に言えばヒモだ。愛妾とか呼ぶ時代もあったかもだけど。
実はそのオメガっていうのは、アルファよりも数が少ない。劣等種だ下位種族だ、孕み腹だのと言われていた時代はすっかり終わって今やレアもの扱いされていた。
ご先祖のオメガが人権侵害を訴えてくれたおかげだね、ありがたいね、というのが教科書にも載っている。今や発情期のための抑制剤も、副作用が少なくて効果の高い物が出回ってるしジェネリックも出てるし。市販されてる薬もあるから病院に行かなくても薬剤師さんに言って、よく使う成分入りの抑制剤がいつでも買えるってわけ。
これに慣れてるオレはどう考えても数百年前とかのオメガ不遇期では生活できないなと思う。
そういうわけで現代のオメガというのは稀少、レアもの、一度はヤりたい高嶺の花だ。そこへもってきてオレは抱きたいランキング一位種族の兎獣人で、ビッチちゃん、セフレにピッタリ、の追加タグがついている。SNSならタグ検索でまず引っかかるやつだ。
レアかけるレアで、それはもうSSレアなんだよな。
オレ、鈴音リリはアルビノの兎獣人ってだけで小さい頃からよくモテた。
男なのに、老若男女問わず可愛がられた。色は真っ白で目がサクランボみたいに赤くて珍しかったからか、新生児・幼児モデルもやったし、小学生くらいまではスチルも動画もよく出てた。
ただ二次成長を向かえる中学の時に、オメガだってことが判明して全ての仕事を断るようになったんだ。両親が、オレの身を案じたからだった。可愛いオメガの誘拐事件とかってまだわりと多くあったからね。
それに、ただでさえアルビノってのは普通より身体が弱い。日の光に当たりすぎるとクラクラするし日焼けが火傷みたいになるし、体力はないし季節の変わり目には必ず体調崩すしオレもよく熱を出す子どもだった。そんなオレを両親は大事に大事に、宝物みたいに育ててくれた。
だからまあ、世の中の『ビッチちゃん』イメージに比べるとオレって結構硬派な箱入りなんだよね。
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