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十二話-02
しおりを挟むオレの痛みを軽減しようと、首筋に吸い付いたりさっき育てた乳首をくりくり撫でたりしてる。
「そよご、うごいて」
「しかし」
「へいき、へいきだから、……突いて。きもちいとこ」
とろんとした目で見上げると、冬青はぐうっと喉を苦しげに鳴らしてオレの腰を掴んだ。ぐり、ぐり、と少しずつ揺らして、一度腰を引く。ずるるる、と逸物が抜けていくと、背を這い上がる強い快感に襲われて悲鳴を上げた。
そのままズンッと突き上げられ、太い亀頭でイイ場所をゴリッと擦られる。パチパチと目の前に火花が散ったような気がした。
「ああっ、ぁっ、あっ、ああっ、ぁんっ、あっ、あっ、ひぃっ、あうっ、あっ、あっ、ああっ!!」
とちゅ、とちゅ、とゆっくりした動きで冬青が一点を突いてくる。痺れるような快楽が襲ってくるたびに腰を跳ね上げ、冬青の逸物を食い締めた。
ドクドクと熱を上げる冬青がオレの中で暴れ回って、限界まで膨れ上がる。オレの顔の横に手を突いて、動きを制限しているらしい冬青の腕がブルブルと震えていた。
オレの顔を見下ろし、快感を確かめながら嫌がる素振りがないかと探っている。
ずっと、ずっと感じている顔を冬青に凝視されていた。
カアァッと顔が熱くなって、ぺしっと冬青の顔に手の平を当てた。びっくりしたように瞬きする目が、すうっと黒い目に戻っていく。
オレが抱き締めてた白いもふもふも消えてしまって、滑らかな黒髪だけがそこにあった。これはこれで、火照った身体に冷たくて気持ち良い。
「ハル……?」
「か、かおばっかり、見ないで欲しいッ」
「それは出来ない相談だ。ハルの顔は可愛いから、ずっと見ていたい」
「……はっ……!?」
そ、そんなこと、初めて言われた。オレは髪と目の色はかあさま譲りでそこそこ綺麗だけど、容姿は全然ダメって里ではからかわれていたから。かあさまは凄く綺麗な妖狐だったっていうのに、どうしてだろうと思っていた。
きぬやエンジュが、可愛いとかなんかオレを褒めてくれるのは、『半妖のハル』という存在を好意的に見てくれているからだと思っていた。とりわけ容姿についての話は、ほぼ愛想か冗談だと思ってた。
戸惑って目を泳がせるオレを見て、冬青は何か察したようだった。オレの顎を掴み、自分の方を向かせるとジッと黒い目で見つめてくる。
「ハルの目は、大きくて吊り気味で可愛いんだ。睫毛が影になるくらい長くて、瞳も金色でキラキラしていて凄く美しい。鼻はちょっと小さくて可愛いし、唇も薄くて小さいな。すぐに口吸いがしたくなるほど可愛い」
「……そ、そよご……やめて……」
「痩せてて年齢より身体が小さく見えるけど、こうして触れていると色香で頭がおかしくなりそうだ。白い肌に、色っぽすぎる小さい乳首が背徳的で」
「んっ、……触、っあ、……ひ、んっ」
「細い腰に、華奢な足首、伏せて腰を上げてる格好なんて長老達が涎を垂らして見ていた。見せたくなかったが認めさせるためにも必要だった。すまない、もうあんなところに連れ出したりしないからな」
乳首を摘ままれたり、くりくり押して愛撫された。冬青はオレの美点を一つあげるごとにそこを触って、弄ってくる。腰を撫でられ、足首を持ち上げられてチュッと口付けされたら堪らず中を締め付けてしまった。
まだ、冬青の太い逸物は俺の中に埋まっている。どうやら半分と少しくらいは、入ったらしい。ギュウギュウそれを食い締めながら、赤面した顔を腕で隠した。もう真っ赤で顔から火が出そうだった。
「何でそんなに恥ずかしがる? ハルの顔が綺麗なのは昔からだろう」
「に、人間の、綺麗の基準は妖魔と、ちょっと、違うみたい……」
「……妖魔の里で、何て言われたんだ」
ええと、と口籠もって顔の熱をパタパタ冷ましてから、オレは説明した。
妖魔の里で鬼達に口淫する時、髪を掴まれながら言われた事。
気絶したあと水を掛けられて、笑われながら彼らに投げつけられた言葉。里の女達にかあさまを罵られ、オレの劣った容姿についても何度も馬鹿にされ、そのたびに頬を腫れるほど打たれたこと。
妖魔の中ではオレの顔は、平凡どころか下の下で、嫌悪感すら抱かせるらしい。
そう正直に話したら、冬青はぎゅっとオレを抱き締めて布団に突っ伏してしまった。
「元より焼き討ちにするつもりだったが雌の鬼達も手心を加える必要は全くなさそうだな……クソ鬼ども」
「……そよご?」
「ああ、ハル。妖魔にはどうか判らないが、俺達にはハルはとても綺麗に見えるんだ。だからたくさん愛でさせてくれ」
「……。う、うん……それは、オレも嬉しい……」
ボッと熱くなる顔をくしゃくしゃと手で隠しながら答えると、冬青はいきなりオレの手を掴んで顔を覗き込んできた。ちゅ、と鼻先に口付けされて瞬きを数度くり返す。
「かわいい。ハル」
「……ひ、……や、やめて」
顔を隠したいのに手を掴まれてて隠せない。そのうちに冬青はオレの頬や額、目尻やこめかみに唇を押し当てて、たくさん口づけしてきた。
ひとつ、触れるごとに愛おしいと伝えてくる。
柔らかいその感触が、冬青の気持ちそのものみたいでくすぐったかった。受け止めると胸の中にあたたかい熱が灯るようで、むず痒くて溢れてしまいそうになる。
「真っ赤だ。可愛いなハル」
「う゛う゛~~~ッ」
胎に埋め込まれた逸物をキュウッとまた強く締め付けてしまった。流石に『くっ』と息を飲んだ冬青は、苦笑しながらオレの腰を掬いあげた。
向き合うように抱き上げられて、腰を抱かれたまま下からゆっくり揺らされる。トン、トン、と柔い動きで快感を高められていった。
「んっ、……そよご、……こっち、も」
「ハル?」
口吸いをねだって顔を近付けると、少し腰が浮いて逸物が抜けていく。でも欲しくて冬青の唇を食んでいたら、大きな腕でぎゅっと抱き締められた。
冬青が頭を屈めてきてくれたから伸び上がらずに済んだけど、そのままぐぐっと押し込まれて抜けた分以上に性器が深い所に入ってくる。
「んっ、んんっ、……んっ、ぐ、……ンンッ、ァ、ッ……!」
「――ッ」
中のモノがドプッと熱を吐き出した。オレの中は歓喜するかのようにそれを受け止めて、吸い込んでいく。あれ、と思った時には不思議な満腹感でいっぱいになっていた。美味しい、てこういう気持ちだろうか。
冬青はオレの精液が力の足しになるっていってたけど、オレもそんな気がするな。エンジュの言い方だと一方通行のように聞こえたけど。
「ハル。……これからずっと、お前の心も身体も絶対に守るから」
深くまで入れられていた逸物を抜かれ、ヒクヒクとそこが震えるのと同時にドッと疲労感が襲ってきた。はあ、はあ、と息をつきながらぼんやりと冬青を見上げる。
頬を撫でてくれる大きな手が心地良くて、うっとりしてしまった。
冬青が、守ってくれるって。うれしい。
かあさまともまた話せたし、かあさまの死もオレとは別の理由があった。妖魔の里で聞かされた言葉は嘘ばかりだったって判ったんだ。
なら、オレは……まだこの心地良い腕の中で生きていてもいいだろうか。愛おしい気持ちを抱えたまま、泣きたくなるくらいの幸福に包まれて、良いのかな。それが許されるといいな、と思う。
「ハル、おやすみ」
頬を撫でられ、柔らかい口付けが降りてくる。
オレはその心地良さに身を任せ、そのまま瞼を閉じた。
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