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騎士団のエースに捕縛された盗賊の頭領ですが尋問も拷問もなく囲われて溺愛されています。
三十一話【了】*とある養い親の独り言
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防音結界が張られていても、天幕の中のアレコレは僕には筒抜けだった。傍らを見るとレヴィが苦々しい表情で装備を外している。
僕らの天幕はルーファスのお隣さん。
距離はもうぴったり横って感じだから、アンアン喘ぐ声もばちゅばちゅと激しい性交の音まで筒抜けだ。いや、僕らが耳の良いエルフなせいなんだけどね、これ。普通に迷惑だけどね。
「まあ何にせよ上手くいって良かったよ」
「……そうだな」
「ぜんっぜん思ってなさそうな顔するぅー」
レヴィは言葉少なに同意するだけでこっちを見ない。魔道具を作ったのは僕だし、ルーファスの願いをひとりで聞いてたのも僕。それがどうやら、ルーファスの『父』気分のレヴィには気に入らなかったらしい。
「ルーファスもそろそろ『先祖返り』を隠せなくなってきたじゃない?」
「……ああ」
「なるべく早くザザの時を操作して、止めてあげないと。ルーファスはまた一人になるよ」
「判ってる」
ルーファスの祖父の友人です、なんて実は嘘だ。
彼の祖父は同じ森の出身の純血のエルフだった。数百年前に出奔して行方知れずになっていた人で、僕達はエルフの里を出てから大変世話になった。
だって右も左も判らない状態でただ出てきてしまったんだもの。森があれば生きていけるとかレヴィは言ってたけど、そういうんじゃないんだよ。人間と関わるなら認識阻害の魔法は必要不可欠だし、魔術を使うのも程度を弁えないと大変なことになる。ポーションや薬草の知識なんかも人間にとってはまったく未知の領域の知識を僕達は保有している。
下手をすれば捕獲されて魔力を奪われ続ける奴隷になるかもしれない。そうじゃなくても、囚われて一つの国に縛り付けられることになる可能性は高かった。
純血のエルフなのに悠々と人間の中で暮らしていた『彼』は、エルフの里から逃げ出してきた僕達を導き、必要な常識と知識を与えてくれた。
恩人であり、森の外での唯一の理解者であり、一番信頼していた識者だ。
そんな彼が死んでしまったのは、とても残念なことだった。エルフにだって死は平等に訪れる。最期の時、妻として迎えたローザと一緒に暮らして彼はとても楽しそうだった。ローザには感謝しかない。長い時を生きる僕達だけど、一時の幸せを得るのは一生の宝物なんだ。彼はとても幸福な気持ちで旅立っただろう。
そうして残されたのが、孫のルーファスだ。
ひと目見た時から、これは血が濃いなと思った。娘のリリアも確かに美しかったけれど、ローザの気質を色濃く受け継いだらしくハーフエルフの力を得ることはなかった。それが、皮肉なことに孫の代になって現われてしまった。
そんなこともあろうかと、彼ら家族を遠くから監視していた僕達は、せめてもの恩返しにとこっそり手助けを続けていた。僕らの存在がバレないように、隠密しながら過ごすのはとっても大変だったけど。
転機がきたのは、ザザが生死の境を彷徨う大怪我をした時だ。
これはもう隠れている場合ではないと思った。遠目に観察していても、ルーファスにとってその人間はとてもとても大切な存在だったようだし。黒装束どもはルーファスをターゲットとしていたから。
――少しだけ。もう少しだけ手を貸そう?ルーファスが一人でも大丈夫になるまで。
レヴィはあくまで隠れて手を貸すべきだと言っていたけど、僕はそうは思わなかった。ルーファスにとってのローザやザザ、そういう存在はこれからも必要になる。だけど、二人は今ルーファスの側にはいない。なら、昔途方に暮れていた僕達を導いてくれた『彼』のように、今度は僕達が陰日向になって助けていくしかないだろう。
『ルー、ファス!……待っ、ぁ、……こわれ、ちまっ……アァァッ!』
『大丈夫ですザザ。この魔道具は体力も回復できますから』
『余計な、機能っ……着けてんじゃっ……ぁ、ん、ああっ!』
ガタタ、と何か倒れる音がする。次いで、パンパンと肌を叩きつける性交特有の音。粘着質な水音まで聞こえる始末だ。ああ、今日もルー坊は元気だなあ。
「こちらの天幕にも『防音』を張れ」
「ええー?ルーファスがあんなに楽しそうなのに?」
「その覗き見趣味を止めろ、この悪趣味がッ!」
叱られたので仕方なく、防音結界を発動させる。
あの体格が良くてがっちりムチムチおっぱいのザザが。騎士団の面々をその男の魅力でたちまち味方につけてしまったザザがだよ?ルーファスに触れられるだけでトロンとした目をして、渋い男前がメス顔になっちゃうのが凄いんだよ。
魔道具のお礼として映像録画魔道具を設置させてもらってるんだけど。ルーファスメモリアルは最近とってもアダルティだ。
「『ザザ、初めての潮吹きにルー坊大歓喜』」
「やめろ……」
「こっちは『初エッチ!強姦じゃないです同意ですスペシャル耐久24時間ぶっ続け』」
「やめろと言ってる!」
記録魔道具は小さな水晶玉のかたちをしている。どれになにを録ったか忘れないように、一つ一つに名前をつけてあるんだ。
ちなみに小さいルーとザザの筆おろし映像も隠し撮りで存在する。僕は有能な魔術師だからね。隠し撮りもお手の物なんだよ。
「そんなに怒らないでよレヴィ。君だってはじめは心配で見てたじゃないか」
「そ、それはルーファスが……」
「二人の性交があまりにもえっちで股間がムラムラしちゃったのは?」
「っぐ……」
「僕がこすこすしてあげたら堪えきれなくなって、とろっとろの顔で『入れて』っておねだりしてきたのだーれ?」
レヴィの色素の薄い頬がふんわりと薔薇色に染まっている。あの時はアナルまでヒクヒクしちゃって指で慰めても足りなさそうだったから、僕のを入れてあげた。
僕のペニスはちょっと普通と違ってて、獣みたいな瘤があるせいで痛いらしいんだよね。これは俺がエルフと聖獣の間の子だから仕方ない。
だからなるべくレヴィとする時は挿入しないで済むようにしたいんだけど。おねだりされると弱いんだよなあ~。だって可愛いんだもん。いつもあんな無愛想な顔してるレヴィが、トロ顔で僕のペニスに頬ずりしてくるのなんか。ああ、思い出すだけで堪らない。
「ねえ、ルーファスに作ってあげた下着の魔道具。試作品が別にあるんだよねぇ~。まだ魔力紋を未設定のやつ」
「……」
「ああいうの好きでしょ、レヴィ。……僕らの愛の逃避行はこれからもずーっと続くんだから。少しはスパイスのきいたプレイなんかどう?」
にっこり微笑みかけると、レヴィは悩むように少し俯いてから僅かに頷いた。
まったくザザといいレヴィといい、この顔面フェチが強すぎてちょろいったらない。先日、ルーファスにも『ザザはお前の顔が大好きだから、お願い事がある時はにっこり笑って至近距離でオネダリするんだよ?』って言ってある。
すごい!ザザが本当に聞いてくれました!と報告にきたルーファスに『しぃーっ』と内緒するよう言ったけど。ちゃんと聞いてたかなあ。
まあ、あれだけザザとラブラブだったら、暫く心配は要らないと思うけどね。
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