【短編まとめ】おっさん+男前+逞しい受詰め合わせ

天城

文字の大きさ
上 下
15 / 76
騎士団のエースに捕縛された盗賊の頭領ですが尋問も拷問もなく囲われて溺愛されています。

一話

しおりを挟む



 ここが貴方の部屋です、と言われて通されたのはベッドと机があるだけの簡素な部屋だった。しかし一人部屋にしては広すぎるし、平民にとってはテラス付きの窓など見たことがない代物だ。

 一瞬呆気にとられて動きを止めた俺に、騎士服のままの男はエメラルド色の瞳をやわらげて微笑みかけてくる。見惚れるほどの美丈夫が目の前にいるのも現実味がないが、言われた事の方がもっと不可解だった。
 ここが俺の部屋って、何言ってんだお前は?

「気でもおかしいのか?」
「いたって正常です」
「牢屋には見えねぇんだが?」
「当たり前です。ここは私の家ですので」
「はぁ?てめぇの家ぇ?」

 この屋敷に入る前に、捕縛用の縄はとっくに解かれていた。
 逃げ出そうとしても捕まえられるという自信の表れかと密かに冷や汗をかいていたが、目の前の男は隙だらけに見える。もういっそ逃げちまおうか、と一瞬魔が差したが小さく唸って俺は動きを止めた。

 こちとら名の知れた盗賊団の頭領で、こいつは王都の犯罪を取り締まる騎士団のエースと呼ばれている男だ。馴れ合うどころか正反対、火に油……じゃねぇ、水と油みてぇなもんだ。混ざり合うはずがない。

 それなのになんで家に俺を連れ込んでるんだよこいつは。――これで気が触れてねぇって、なんの冗談だ?

「私は貴方に勝ったので」
「っぐ……」
「貴方は私のものですよね?」
「……」

 ぐうの音も出ない。確かに俺はこいつの『戦利品』だった。

 騎士団の人数と武力があれば盗賊団の一つや二つ簡単にぶっ潰せるくせに、こいつはわざわざ一騎打ちを挑んできた。俺はそれを真っ向から受けて立って、そして負けた。

 それが俺の、今の状況だ。
 苦虫を噛み潰したような俺の表情に楽しげな笑いを零した男は、俺の腕を引きエスコートでもするような仕草で……ベッドに押し倒した。そのあざやかな手並みに抵抗も忘れて天井を見上げる。

 このベッド、めちゃくちゃ柔らかいな。見た目の簡素さに騙されそうだがちょっといい品だ。こんなベッドで寝たらよく眠れそうだなと思ったところで思考が現実逃避から戻ってきた。
 ……いや待て。ちょっと待て。

「な、……オイ……何だ?」

 しなやかな手が、ぐいっと俺の額にかかったざんばらな黒髪を掻き上げる。俺の右目は眼帯に覆われているが、男は恭しくその革の眼帯の表面に口づけてきた。

「ようやく、……」
「んあ?」
「ようやく手に入ったんです……確かめさせてください」
「はあ?なに訳のわからねぇことを……って、オイ!!」

 シャツの下に男の手がごそごそと入ってくる。脇腹から腹筋にかけて、直接身体を撫でさすられて、くすぐったさにぞわりと肌が泡立った。

 自慢じゃないが俺の身体は傷だらけで、どこも酷い有様だ。男にとっては勲章といえる傷でも、見目はあまり良くない。
 盗賊団の頭領は忙しいし危険と隣り合わせだった。魔獣や騎士、冒険者や同業者、色んな相手と斬り結び、俺の身体は大小様々な傷で覆われていた。それに食事も若いモンやガキ抱えてる女達に食わせるほうが先で、栄養の回りきってない肌は日焼けして浅黒くかさついている。こんな身体撫でて何が楽しいのだか。

 目の前の男はうっとりとした表情で、俺の胸に走る大きな白い傷痕に指を滑らせた。そしておもむろに両手で左右の膨らみを掴み、揉み始める。毎日の実戦と、それなりに鍛えている俺の胸筋は結構立派だ。ガキの三、四人は腕に引っかけて回れるくらいには。

 その胸筋を男の白い手が掴み、両手で揉み上げてこね回す。さらには、ちゅうっと乳首の先に食い付かれて強く吸い上げられた。慣れない刺激にビクンと身体が震える。途端、もう片方の乳首を指で捻られて息を飲んだ。

「オイ、やめろ!なんのつもりだ!」
「――なんの、とは?」
「いや、……なんでてめぇは俺の胸揉んでるんだよ」

 本当は、判りきっていた。俺はベッドに押し倒されていて、乗り上げてくる男の股間はハッキリと盛り上がっている。服を半分剥かれて腹を晒し、こんな風に乳首を弄られていて他に何の意図があるっていうんだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...