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スパダリ領主様に雇われたおっさんシーフですが、夜伽は業務範囲外です!

二話

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 朝になると、俺の仕事はようやく終わる。
 厨房で軽い食事を貰って、与えられた部屋に戻って食って、寝る。たまに残り湯が貰えることもあって、夜中ジェラルドに弄られまくった身体を拭いてから寝られるのは正直助かった。
 ここが領主の館で良かった思うべきか、いや不運だと思うべきなのか。

 ひと息つくと、俺はホッと息を吐いてベッドに向かった。
 窓には分厚いカーテンをかけているから、眠るのには支障は無い。

 しかし、まだ目が冴えてしまって眠れそうになかった。いわゆる、興奮状態だ。ため息をついて寝るのを諦め、俺は『準備』を始めた。

「……」

 ジェラルドに初めて身体に触れられた日、俺は少しだけ興奮していた。
 この年になってもまだ性欲はある。ただ恋人もおらず、娼館にも最近行っていなかった。少し弄られただけで身体が反応するのは、仕方の無いことだろう。

 不味かったのは、部屋に戻ってから自分で抜いてしまったことだ。
 それも、ジェラルドに触れられた感触やアナルを弄られた記憶を辿りながら。

 香油で解されたアナルをヒクヒクとさせながら射精してしまった時、正直『しまった』と思った。これではジェラルドの思うつぼだ。あの愛撫と性感を直結させてしまって、さらには射精までしてしまった。
 これはまずいことになった。溜まっていたとはいえ迂闊過ぎる自分を呪った。

 それから、ジェラルドに触れられてもなんとか平静を保てるように努力した。勃起しないよう性器の根本にリングを付け、下着も締め付けの強いものに変えた。これは勃起しようとすると食い込んで痛み、萎えるようにするためだ。

 それでなんとか性欲を押さえつけ、ジェラルドの前では勃起しないように気をつけている。態度もあくまで素っ気なく、たまに罵るくらいで留めていた。

 だが、そのあと部屋に戻ってくるともう限界だった。服を脱いで身体を拭いている時からギチギチと性器にリングが食い込んで、涙が滲みそうになる。

 『準備』と共に股間を圧迫していた下着を脱ぐと、ムワッと先走りと汗の籠もった匂いがする。どれだけ興奮していたんだと自嘲の笑みが漏れた。
 股間もきれいに拭いてから全裸でベッドに上がると、大きめの手ぬぐいをベッドに敷いて自慰を始める。唾液で濡らした指をアナルに押し込み、もう片方の手で性器を擦り上げた。

 本当は尻をぐにぐに揉んだり、乳首も弄りたかったが、手が足りない。ひたすらジェラルドの手を思い出してアナルと性器を刺激していると、ふと装備を解いた時に外した革ベルトが目に入った。

 手を布で拭ってからベルトを手に取り、乳首に掛るようにして強くベルトを締める。ぎゅっと端を引いて留めると、乳首が圧迫されて気持ちがいい。胸をぐっと揉まれた時のように膨らみが潰され、少し痛いくらいだった。

「ん、……ふ、……っく、……」

 ベッドにうつ伏せになって、腰を上げる。後ろ手にアナルを弄りながら性器を擦り、シーツの上で身体を捩った。ベルトが食い込み、シーツに擦れて乳首がずりずりと擦れる。

 は、と小さく息を飲んで、俺はもっと身体を揺さぶった。
 潰される乳首がイイ。ひしゃげて捻られて、革ベルトに苛められているソコが、腫れて勃起してくるのが判る。

「ふ、く、……ぁ、ぁっ……ふ、……あ、ぅっ……」

 ベルトがシーツに擦れる度、乳首がビリビリと痛む。食い込んだ胸のあたりに跡がついてしまうかもしれない。それでも、心地良くてやめられなかった。
 腰を振って、身体をねじって、シーツの上で悶える。
 少し痛いくらいが、気持ち良くなってしまった。クソ、これもジェラルドのせいだ。
 毎日毎日乳首を弄ってきて、赤く腫れていても許されない。指でくりくりと摘まんで捏ねられてから、舌でねっとり舐め、強く吸われるのだ。

 ひどくいやらしい愛撫を、脳に刻むように教えこまれた。
 初めての時よりも肥大して、俺の乳首はすっかり開発されていた。今では服に擦れるだけで少し痺れた感じがする。ジェラルドに触れられて反応を押し殺すのも困難になってきていた。

「ん、っ……ん、ん……んんっ、ぅ……」

 枕に顔を埋めて声を殺す。娼婦みたいに快楽に蕩けきった嬌声が、堪えきれない。まだ一本しか指を入れたことのないアナルがきゅんきゅん収縮して、絶頂が近いことが判る。

 じわ、と涙が滲んで視界が揺れた。息を殺しながら深い快感の中イッて、俺はベッドに沈み込んだ。はあはあと乱れていた息を整えて、冷めた湯で手や身体を洗って再び拭くと、ため息をつきながらベッドに戻る。

 そうして、快楽に疲れ切ってぐったりと脱力しながら眠るのが、俺の日課だった。







「レイモンド、見てくれ。新しい魔道具が届いた」
「……は?」
 
 夕食の後、部屋で晩酌をしていたジェラルドが俺に話しかけてきた。その手には丸い水晶玉のようなものがある。魔力の気配がするので、魔道具というのは確かなんだろう。見た事無い形状だが。

 俺の仕事はジェラルドが眠る夜中の警護だけなので、契約上はまだ勤務時間ではない。ただ、美味い酒があるので付き合えと言われて、部屋に連れ込まれた。俺もそろそろ抵抗しろよと頭の中では思うのだが、ジェラルドに言われると何故か従ってしまう。

 猛禽類のような金の瞳で見つめられると、背がぞわぞわとするような、不思議な感覚があった。腕を掴まれるだけで抵抗の意志が萎えていく。いやいや、意志をしっかり持て。冒険者として一人で、何十年渡り歩いてきたと思ってる。

 俺用にと渡されたグラスから、ぐいっと上等な葡萄酒を飲み干した。何だか飲まないと正気でいられないような気がした。

「なんの魔道具っすか」
「端的に言うと結界だな。防御特化のものだ。……よし、使ってみよう」
「はい?」

 ジェラルドは自分のグラスをあおって高級な酒をあっさり飲み干すと、ソファから立ち上がった。
 そして俺の腕を掴み、ダンスのターンのように軽い足どりで引き寄せる。いつの間にか腰を抱かれて天蓋付きのベッドに押し上げられていた。

「このくらいの規模が限界だが……」

 天蓋のカーテンを全て降ろし、ジェラルドは手の平サイズの丸い魔道具を、空中へと投げ上げた。
 ふわりとそれが空に浮き、白い霧のようなものが天蓋の内側に満たされていく。急に、外からの音が遮断されたように感じられた。

 シーフの技能に、聞き耳というものがある。気配の他に、この館の中の音くらいなら、何処でも聞くことが出来る。しかしそれが今は、耳を澄ませても何にも聞こえない。

「音……が……?」
「音だけじゃない。魔法も物理攻撃も遮断する」
「はあ?無敵じゃねぇか」
「そうだな。なかなか値が張ったが、素晴らしい魔道具だ」

 そんなもん国宝級じゃねぇか。値段考えるだけで恐ろしい。
 ……ん?いや待てよ。防御結界だと?

「じゃあ、アンタの寝所はこれから安全ってことだ」
「そうなるな」
「……じゃあ、俺は……」

 もう必要無いって事だな。
 言おうとした言葉が、喉につかえた。ジェラルドは相変わらず神秘的なほど美しい顔に笑みを浮かべて、俺を見つめている。

 そしてその白い手が、スッと上がって予想外に強い力で俺の身体を抱き寄せた。

「……そんな可愛い顔をしないでくれ。苛めたくなってしまう」
「は、……なに?」
「意地悪をし過ぎたかな。レイモンド、私はお前を逃す気はないよ」

 ぞくり、と背にあの不思議な感覚が走った。抱き締めてくる腕は、鍛えてはいるのだろうが冒険者の俺より明らかに細い。それでも払い除けることが出来ず、金色の瞳に魅入られて動けなかった。

「さあ、ここがどうなっているか見せてごらん」
「っ……」

 背後から抱き締めるようにして、ジェラルドの手が俺の股間に伸びてきた。すりすりと手の平で膨らみを撫でられ、びくんと腰が跳ねてしまう。

 ジェラルドは、今まで俺の胸や尻を執拗に触ってきた。だが、最初の日以来アナルには触れていないし、股間には一度も触れなかった。勃起しかけているのがバレなかったのは、そのせいだ。
 
 ――ジェラルドは、俺の男の部分に触れたくないのだと思っていた。

 何で俺が欲の対象になったのかは判らないが、ただ『女』のように抱きたいのだろうと思ったんだ。尻と胸は、それだから触るのだろうと。そう、思っていたのに……。

「素晴らしい下着だなレイモンド?」
「……ふ、……っく……」
「ここも食い込んでいて、とても良い」

 下穿きを半分ずり降ろされて、締め付けの強いあの下着が丸見えになった。股間を覆う小さな布に性器が窮屈そうに詰められている。そして後ろは尻の狭間に食い込む紐のような状態だ。少し引っ張られるだけでアナルと会陰が押されて息を飲んだ。

 ふ、ふ、と短く荒い息をくり返す俺の股間を撫でまわしていたジェラルドは、下着の端に指をかけた。ぐい、と引かれるとまた布が後ろに食い込む。それだけでなく、開けられた隙間から俺の性器がボロンとこぼれ出た。勃起しかけて震えるソレは、タマの根本からくびりだすように金属のリングで締められ、赤黒く変色していた。

「ペニスだけじゃなくてここまで締め付けてるのか。……痛いだろう?」
「ん、ぁ、ぁ、ァ……さわ、……さわん、なっ……」

 白い指先が、性器の先端のくぱくぱと動く尿道口に押しつけられる。思わず腰がひけてしまうと、ジェラルドの親指はグイッと俺の亀頭に食い込み、そこをぐりぐりと刺激した。

「ッ、……ァ――!!」

 声にならない悲鳴が漏れた。びく、びく、と打ち上げられた魚のように身体が跳ねる。
 しかし背後から抱き締められていて逃げることもままならない。リングに締められた性器は射精することもできず、ただただ気が狂いそうなほどの快感を俺の脳に叩き込んでくる。

「ッ!!――……ァ、……ァ――!」

 ぼろ、と歪んだ視界から涙が溢れた。一度決壊するとそれは止まらず、開きっぱなしの口からは唾液が零れる。
 暴力的なまでの快感で思考が蕩けていった。
 
「いいこだ、レイモンド。自分でよくここまで躾けたね」

 顎を取られ、振り向いた先には金色の瞳があった。
 いいこ、と褒められて何故だか胸が震えるような感覚がある。形の良い唇が重なってきても、もう受け入れる事しか考えられなかった。


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