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星の章

50.不育症、助成なし。

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 さて、嫌なあの病院にもう一度行かないと紹介状がもらえません。
 もらったら二度と来るか!と思いつつ、診察を受け、紹介状を受け取ります。
 大きい病院だけど、予約とかは特に取らなくても良かったので、夫の都合のいい日に一緒に行くことにしました。

「お出かけするの?」
「そうだよ~」

 子供も一緒に病院へ、しかし病院で降りるのは私のみ。夫と子供はデートです。

 着いたそこは不妊治療で有名な病院で、不育症治療も手掛けている病院でした。
 待合場所と診察室は、妊婦さんと不妊症とで別れていて、デリカシー的にちゃんとしています。
 不妊、不育治療の待合場所は結構込んでて、なんかいわゆる現代病なんだろうな~、としみじみ。結局晩婚化が進んでるから、妊娠しずらいし、流産しやすい、ってことなんでしょ?と。
 で、40分位待って、呼ばれました。

「紹介状を拝見しました、不育症のご相談だという事で。」
「はい……。」
「当院で受けられる検査はこれくらいで……。」

 リスト見せられながら説明されたけど、まあ~~~、お金掛かるよ!
 一般的な検査は保険が効くものも有りますが、特殊な検査は保険適用外とのこと。
一般的検査で保険効くのだって、検査だけで1項目5~6000円とか掛かるし、最低限5項目程度でも受けたらあっという間に2~3万だよ!検査だけでもそれなのに、治療も不妊治療と違って助成金受けられないんだってさ!!
 これは自治体によって違いが有って、「不育症」をあきらめない、では不妊と違って治療に対する助成金が少なく検査も高額と書かれてましたが、出版された時より助成金を出す所は増えているようでした。ですが、まだまだ少ない地域しか出ないし、不育症自体もまだあまり知られていない。私の住んでいる地域は、不育症治療に助成金出さない地域だったんですね。
 しかも、検査を受けたって、原因不明なのが50~60%だし。つか、私たち夫婦は高齢だから原因はほぼ高齢ゆえの染色体異常卵と染色体異常精子だろうし。

「検査を受けても原因不明の確立が半分以上ありますし、まだ流産2回目とのことで、何も治療しなくても次にちゃんと妊娠出産出来る確率も高いです。どうされますか?」
「あ~、じゃあ様子を見てみます。」

 結局さ、存在しない子のために金を使うのか?って話ですわ。無い物ねだりなんかせず、今いる子を大事にした方が良いじゃん。検査とかに使うお金で旅行にでも行って楽しんだ方が、家族のためになるわい。そもそも今いる子だって、持てると思ってなかった子だしな。大体にしてからに自分の中に結婚出産って事自体が無かったことだしさ、一人で御の字だよ。検査ヤメヤメと言う事で帰ることに。

「ママ、病院終わった?」
「終わったよ~、なんかおいしい物食べて帰ろう。」
「やった~!」

 なんか流れで結婚して、けれど遅い結婚で何年か出来なかったしもうだめかなと、子供をあきらめてた時にポっと出来た子なんですね、今いる子は。流産の時もこの子が居たから、ダメージが少なくて済みましたしね、今居る子を大事にしよう。原因不明の事にいつまでも執着してるわけにはいかんのです。
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