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助産院の章

10.閑話_3.11_あのときはトノサマガエル

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 上の子は、今年5歳になります。
 5年前と言えば、何があったか……。
 そう、東日本大震災です。
 そのとき我が子は安定期前の胎児で大きさはトノサマガエルほどでしたでしょう、私はやっとつわりが治まってきた妊婦でした。

 地震が起こった時、義母とお茶をしていたら、グラグラッと揺れが来ました。
 その時はいつものことだと、のんきに構えていたのですが…。

「ぷにちゃん!テーブルの下入って~!あ~!駄目だ!ひー!」
 義母の大あわて声。
「はい~!」
 私もあわててテーブルの下へ。

 ガッシャン! ガッシャン!ガチャ ガチャガシャシャシャ! 

 食器棚から食器がどんどん落ちて、割れていきます。
 大きな揺れで、グラユーラーという横揺れのブランコに乗せられているような感覚。
 グラグラッという小刻みじゃない地震ってめったにない。
 今まで経験したことのない揺れ方でした。

 収まるまで、5分ほどもたったでしょうか?
 感覚的にはかなり長い時間だったんですが、実際には3分ほどの揺れだったのでしょうが、余震などもすっかり収まり、収束するまでは5分ほどの時間で地震の長さとしては、ありえないほどに感じました。
 実際ありえなかったわけですが……。
 家の中はグチャグチャ。外も鉢植えが散らかったり、コンクリート塀が崩れたり。シッチャカメッチャカです。
 金魚を飼っていたのですが、水槽から水が7割外に出て床がびしゃびしゃ。とにかく、こぼれた水を拭いて。

 やっとどういう被害だったか知ろうとしても、停電、断水、ラジオは手近になく、ケータイで見たネットニュースは信じられないような大規模の被害を伝えてます。
 いわく4mの津波、いわく海岸線に600名の遺体。
 いや、いくら何でも誤報なんじゃ、と思うような被害状況。
 小雪ちらつく寒い日々、反射ストーブで暖を取り、妊婦は動くなとコタツ布団にくるまって1週間。
 実家の方が環境がいい、電気も水道も使えるってことで、旦那は旦那宅での仕事もあるので、私のみ避難。

 何百キロも離れたとこから、高速も使わず、つうか使えず。

 車で父が迎えに来てくれて、各地の割れた道路や倒れた家、割れた看板等の被害というマイナスと、土嚢を使った取り急ぎの地割れ復旧に道の駅の仮設トイレという回復への素早い動きのプラス。
 様々目に実家にたどりつきひさしぶりの風呂に、ああ親ってのはありがたいもんだ、としみじみ感謝の気持ちを持ったのでした。

 風呂の後、落ち着いて地震後から見れていなかった新聞を見ていくと、嘘だろうと思っていた被害が事実で、実はそれ以上だったという現実…。

 季節は巡り、また3月11日がやってきます。
 あの日被害に遭い、無くなられた方々への哀悼とご冥福をお祈りいたします。


**********


タイトルにカエルが居るのは、このとき(殿様ではない)カエルを飼っていたからです。
一緒に避難しました。
餌が生餌で確保が大変でした。
飼ってた金魚は、ヒーターが無くてお亡くなりになっちゃいました。
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